「経営手がかりシート・全テーマ分」
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★経営手がかりシート・全テーマ分
0101自社の環境の認識(現在・今後)
●テーマ名(詳細版)
自社の環境(マクロ外部・ミクロ外部・内部)の認識(現在・今後)
自社の競争力の源泉(現在・今後)の洗い出し・明確化
外部環境分析全般
内部環境分析全般
市場(商圏)分析(市場規模調査・ニーズ調査)
業界分析(マクロ)
●テーマの説明
このテーマは、現在及び今後の経営戦略を検討する際の基盤となる、現状分析を行うこと(自社を取り巻く環境を分析・把握すること)に関するものです。自社を取り巻く環境を理解してこそ、現在及び今後の経営上の課題を設定することや、自社の経営戦略・ビジネスモデルの選定を行うことができます。
自社を取り巻く環境には、大きく分けて、外部環境と内部環境があります。
・外部環境
外部環境は、自社が直接制御しきれないことを意味します。外部環境は、自社にとっての機会を提供することもありますし、脅威となることもあります。ただし、あることが機会であるのか脅威であるのかは、必ずしも固定的なものではないです。
外部環境は、自社との近さにより、マクロ・セミマクロ・ミクロといった区分を行うことがあります。また、外部環境として、様々な具体的な分野があります。そのような分野のひとつとして、知的財産分野があります。
マクロ外部環境は、社会・業界・市場の状況といったものです。セミマクロ外部環境には、自社に直接的に影響を与える者の状況(例えば、競合や取引先である特定の企業の状況)が含まれます。ミクロ外部環境には、自社に直接的に影響を与える者の特定の行動の状況(例えば、競合や取引先である特定の企業の特定の行動の状況)が含まれます。
・内部環境
内部環境は、自社が直接制御できることを意味します。内部環境には、自社の強みや弱みを示すものがあります。ただし、あることが強みであるのか弱みであるのかは、必ずしも固定的なものではないです。
内部環境は、自社の資源をヒト・モノ・カネ・情報の各側面でみるといった古典的な切り口のみならず、様々な切り口で検討することができます。そのような切り口として、自社の(技術・経営戦略(ビジネスモデル)・知的財産上の)強みを棚卸し(洗い出し、明確化)することがあります。
・外部環境と内部環境にまたがるもの
詳しくは別のテーマで解説していますが、自社と他社の知的財産(例えば、特許)のラインナップをマップ(特許マップ)上に表現することは、外部環境と内部環境の両方を検討したものであるといえます。製品(プロダクト)についても、同様のマップを検討できます。
・現状分析を行う方法
自社を取り巻く環境を分析・把握することは、自社が自前で行うことも可能ですし、外部の専門家の助けを借りて行うことも可能です。自社の置かれた状況次第で選択することになります。
自社が自前で行う場合には、下記の事例や参考情報を参考にすることができます。
外部の専門家の助けを借りて行う場合には、公的機関の各種支援窓口に頼ることもできますし、中小企業診断士などの企業診断・経営診断の専門家の助けを借りることもできます。
・環境を把握した後に行うこと
以上のような自社を取り巻く環境を分析・把握することにより、(次の段階における検討内容である、)経営戦略・戦術の検討を行うことができます。例えば、内部環境において見いだした、自社の強み(競争力の源泉)を用いて、外部環境にどのように働きかけるか、または、自社の強み(競争力の源泉)をどのように育成していき、外部環境に適応していくか、などです。
●参考テーマ
・0121…外国関連
自社の事業に外国が関係する場合。
・0131…競合他社分析
特定の競合他社との差異を比較検討したい場合。
・0136…技術分析・技術動向調査(特に特許以外)
社会・市場・業界の動向を分析する(外部分析する)際において、特に技術の動向を把握したい場合。
・0151、1601…知的財産に関する分析
業界・他社の知的財産の動向を把握したい場合。
・0656、1601…自社の現状を示すマップの作成。
自社の製品・特許・商標の現状を把握したい場合。
・0616…経営戦略・ビジネスモデルの構築
自社をとりまく状況(外部環境・内部環境)を把握し、自社の強み(競争力の源泉)を明確化した後で、それらの情報を踏まえて、自社の経営戦略・ビジネスモデル(事業により利益を如何に得るかなど)を検討したい場合。
●事例
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.26-27
ふくはうちテクノロジー株式会社
「地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
現状分析において、営業秘密管理体制の未整備、開発案件を多数抱えることに起因する知的財産活動の分散、共同研究における契約関係の複雑化等の課題を把握した。その後、自社のコア技術に関する特許調査・分析・パテントマップの作成を実施、他社特許との比較により自社技術の競争力を分析した。また契約関係の精査を実施した。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.27-28, 107-113
大丸産業株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「大企業から知財(特許・製造ノウハウ等)・人材・商標などを譲り受けて事業を行っている。
権利の譲渡元の大手化学メーカーとの契約の精査及び特許調査を実施し、譲渡を受けた基本特許の権利範囲が、自社の現在または今後の事業分野をカバーするものとなっているか、他社の参入を阻止できる内容になっているか、譲渡元との契約が今後の事業展開に制約を加える内容のものとなっていないかの検証を行った。
マーケティング戦略を考えるにあたり、まず、譲渡元の大企業における研究開発時代における、成功・失敗の履歴、引き合いと受注の状況、反応のいい業種、悪い業種、どのような訴求点に反応したか、などを整理した。その上で今後ターゲットにすべき候補業界を選定した。
譲渡元、共同出願企業、大手顧客などとの権利や契約を精査し、強みや弱みを把握した上で、マーケティングをさらに具体化させている。
当支援事業と、中小企業基盤整備機構の専門家継続派遣・OB人材派遣制度の支援が相乗効果を発揮して新規顧客開拓などに貢献した。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.40-47
クラスターテクノロジー株式会社
「地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
自社の有する要素技術ごとに特許調査(先行する類似出願の有無の調査)を行い、自社技術の独自性・優位性を評価した。その結果、課題の斬新さのため、類似の出願がほとんど見当たらないことに加えて、材料特性の特許により、階層構造的に特許網が固められていることを確認した。
ニーズの調査を、(1)ニーズ調査アプローチ(公開資料を調査することで、自社技術の用途となりうるものを探すアプローチ。自社技術を用いた製品を購入する顧客となりうる企業がどのような用途を想定しているかを調査した。また、自社が志向する特定の分野について、特定のキーワードでの調査も行った。)、(2)ニーズ発想アプローチ(知財ブルーオーシャン戦略。現製品・現技術からみた場合には実現困難であるが、「できれば売れる」という製品イメージを想定し、その製品・機能を達成するためにはどのような要素技術が必要かを逆に考え、特許網(ポートフォリオ)の構成に落とし込むアプローチ。ブレーンストーミング・マインドマップを利用した。)、(3)ニーズヒアリングアプローチ(現場のニーズを聞くアプローチ)の3つを用いて行った。プロダクトアウトではなくマーケットインを重視した。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.48-57
株式会社糖質科学研究所
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
「医療品の市場性を検証するために、国内外の製薬会社の治験情報を収集分析して、治験情報リストを作成した。
医療品の特許マップを作成し、関連医療品やその他関連製品への適用可能性の検証を行った。このような事業展開の裾野を広げる市場調査アプローチは必要である。特に、用途発明の活用については、特許マップ分析が効果的である。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.65-72
株式会社アクロス
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「特許調査の情報により自社が今後参入可能であると考えられる製品アイテムを(現在自社が参入済みの製品アイテムを含めて)リストアップした。それらについて市場調査(市場動向、規模、予測)を行った。これらは広く自社ビジネスの展開可能性を検討するために行った。
リストアップした製品アイテムそれぞれについて、技術的価値や完成度、参入容易度などを検討し、技術的評価点、市場的評価点という指標を用い、参入優先順位を点数評価した。
これらのすべての情報(出願と秘匿の切り分けや、「基本発明」「機能発明」「用途発明」の分類も含む。)を統合した特許マップによって、市場的観点、自社の保有技術の優位性から考えた場合に、どの市場から参入すべきかが一目瞭然であるようにした。
技術と市場のマトリックス上で、製品アイテムごとの戦略(例えば、自己実施・重点開発・ライセンス・資金調達(SPV移転)・ペンディング)を色分けしている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
pp.60-61
ショーワグローブ株式会社
「以前は、必ずしも特許に頼らなくても品質やサービスの違いで競争優位を維持できることが少なくなかった。ところが近年は、顧客に新製品を納品した数週間後には類似品が持ち込まれる例もある。このように、海外の競合他社がキャッチアップしてくる期間が短縮し(アジアのメーカーの開発力が向上し)、新製品への投資を回収するのに十分な期間にわたり、自社の優位性を維持することが難しくなっている。こうした状況に対処するために、開発部門への知的財産担当者の配置、出願の促進など、知的財産活動により力を入れている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.68
株式会社オークマ
「受注型で業務を継続することの弊害(価格要求)に直面した。
そのため、自主開発企業への脱皮、価格競争に巻き込まれない事業戦略、新規事業の参入を目指した。
知的財産情報に基づく技術課題の探索を行い、自社の従来事業(建具)における独自商品の開発、及び、知的財産による他社排除を行うようになった。
加えて、知的財産情報から、新規事業の探索を行うようになった。
事業テーマを仮決定すると、知的財産情報を分析して、自社が参入できそうな技術課題を探すことを、実開発に先んじて行うようになった。」
●参考情報
・経営デザインシート
内閣府知的財産戦略推進事務局
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html
現在と今後の自社を取り巻く環境を把握し、
経営課題などを明確にするために
一枚のシートで検討しようとするものです。
・ローカルベンチマーク
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/
・川喜多二郎,「発想法 改版 創造性開発のために」中公新書(KJ法)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07PMC128C/
・川喜田二郎,「続・発想法 KJ法の展開と応用」中公新書(KJ法)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B00LMB0FLK/
・中小企業活力向上チェックシート(2021年版)
https://www.keieiryoku.jp/category/files/checksheet.pdf
・企業経営の未病CHECKシート
神奈川県産業労働局中小企業部中小企業支援課
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jf2/mibyo/documents/checksheet.html
・経営診断チェックシート 基礎診断用
https://www.j-smeca.jp/attach/kenkyu/honbu/h22/seizougyou_manual05.pdf
・支援マニュアル
(中小企業支援者向け)
中小機構
https://www.smrj.go.jp/tool/supporter/regional1/index.html
本来は、支援者向けのコンテンツです。
しかしながら、
企業内で自ら経営課題を検討する際に
参考になる検討手法が示されています。
「初期診断」のみならず、
「創業」「売上拡大」「新商品開発・販売」
「経営力・生産性向上」
「事業承継・知的資産」
といった個別の項目についても、
検討手法が示されています。
・初期診断の進め方
中小機構
https://www.smrj.go.jp/tool/supporter/regional1/frr94k0000000uzv-att/shiennavi25-8_H28.pdf
・知的財産の価値評価について
2017年 特許庁、発明協会アジア太平洋工業所有権センター
・乾智彦,”知的財産ローカルベンチマーク”,パテント,2020,Vol.73,No.9,pp.70-83
https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3604
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
主として、支援者向けのコンテンツです。
中小企業に対して
知的財産戦略を含む支援を行う一連の流れが
示されています。
しかしながら、
企業内で自ら経営課題を検討する際にも
この資料が提示する手法は参考になります。
p.27
「業界の基準指標は法人企業統計調査年報(財務省提供)で把握できる。業界基準と比較した収益力の分析に役立つ。」
・法人企業統計調査
財務省財務総合政策研究所
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/index.htm
0121外国における制度・実効性の調査
●テーマ名(詳細版)
外国における制度(実効性を含む)の調査
外国におけるパートナーの選択
外国の国別の注意点
●テーマの説明
このテーマは、自社の事業に関与する外国か、今後関与しそうな外国について調査することに関するものです。調査して得られた知見を踏まえて、適切な対応が出来ることを目指します。
調査事項には、当該外国の市場調査・業界調査や、当該外国の法制度がどうなっているかということに加えて、当該外国における法の実効性がどうであるかということも含まれます。知的財産分野においては、知的財産権の取得は、原則として、国毎に行う必要があります。国によっては、知的財産権を取得しても、権利を侵害されたときに適時に救済されにくい事情を抱えている場合もあります。
また、外国の市場に進出する場合には、現地のパートナー選びが重要であると言われています。
外国の状況を自社が自前で集めることが難しい場合には、例えば参考情報や相談先に示されている公的機関が提供している支援を活用することができます。
●参考テーマ
・2176…外国への出願関連
自社の事業が外国に関係することを踏まえて、外国に出願(特許・意匠・商標など)を行うことを検討する場合。
●参考情報
・外国知的財産権情報
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/index.html
・新興国等知財情報データバンク
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/
・知的財産権保護の情報
日本貿易振興機構(JETRO)
https://www.jetro.go.jp/themetop/ip/
・知財総合支援窓口の知財ポータルの「よくあるご相談」
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://chizai-portal.inpit.go.jp/faq/
・中小企業の海外への特許出願を行う場合の注意事項 知財経営の視点から
パテント Vol.72, No.6. pp.104-110, (2019)
https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3249
●相談先
・知財総合支援窓口
工業所有権情報・研修館(INPIT)
知的財産が関係する相談先の第一候補です。
https://chizai-portal.inpit.go.jp/
・海外展開知財支援窓口
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/gippd/service/
0131競合他社分析(自社他社比較)
●テーマ名(詳細版)
競合他社分析(セミマクロ)(競合他社の存在調査、比較検討(ベンチマーキング))
●テーマの説明
このテーマは、自社の事業に競合する他社の存在を調査することや、自社と競合他社の比較検討を行うことに関するものです。これらの調査・検討で得られた知見は、次の段階である、経営戦略・経営戦術の方向性の検討に用いることができます。
調査・検討の対象となる分野は様々なものがあります。そのうちのひとつの分野が、知的財産分野です。例えば、特定の目的をもって特許調査を行い、特許マップを作成することにより、競合他社の存在の確認や、自社や競合他社の特許網の比較を行うことができます。知的財産分野における調査・検討に加えて、自社や競合他社の事業展開・製品(商品)展開の比較を行うことにより、より的確な経営戦略・経営戦術を策定できます。
●参考テーマ
・1601…知財セミマクロ分析
特定の競合他社が保有する知的財産(特に特許網(パテントポートフォリオ))を把握して、自社との関係を分析したい場合。
・4601、4616、4621…競合他社に対する対応
競合他社の動向に対処する必要があるか、必要が生じる可能性がある場合。
●参考情報
・ベンチマーキング・ライバル比較シート・ベンチマーキング目標設定シート
中小企業基盤整備機構
https://www.smrj.go.jp/tool/supporter/regional1/frr94k0000000uzv-att/shientool25_5_h28.pdf
0136技術分析(特許以外)
●テーマ名(詳細版)
技術分析(技術動向調査(特に特許以外))
●テーマの説明
このテーマは、特許文献に対する調査以外の、技術動向の調査に関するものです。この調査により、特許文献だけでは足りない、技術動向の調査が行えます。技術動向の調査により、業界全体や競合他社の事業展開・製品(商品)展開を判断・予測することが期待できます。
特許文献に対する調査は系統だってやりやすい点で利点があります。その一方で、特許文献に対する調査だけでは、出願から出願公開までの原則一年半の期間分だけ情報が遅れること、特許出願されにくい性質を持つ技術的主題に関する情報が不足すること、最終製品に紐付けされた情報を得にくいこと、といった難点もあります。
特許文献に対する調査以外の、技術動向の調査のための情報源は、論文・技術雑誌・インターネット上の情報・見本市など多岐にわたります。調査する技術分野や調査目的にあった手法を選ぶことが必要になります。
●参考テーマ
・1601…知財マクロ分析・知財セミマクロ分析
技術の動向を、特許出願の動向を通じて把握したい場合。
●参考情報
・科学技術情報プラットフォーム
科学技術振興機構(JST)
学術論文等を探すときに活用できます。
0151知的財産ミクロ分析(侵害判断)
●テーマ名(詳細版)
知財ミクロ分析(特定の他社の特定の権利と自社の関係)
●テーマの説明
このテーマは、他社が有する知的財産権を、自社の事業(製品等)が侵害しているか否かを分析することに関するものです。(逆のケースの検討もありえます。)
個々の事案に関する侵害の有無の判断は、最終的には裁判所が行います。裁判で負けた場合の損害は大きくなる恐れがあります。そのため、裁判に至る前に、権利侵害については、慎重に検討しておく必要があります。
他社が有する知的財産権を、自社の事業(製品等)が侵害しているか否かの判断には、他社が有する権利の内容(例えば、特許請求の範囲の記載ぶり)と、自社の事業(製品等)(裁判では、「イ号物件」などと呼ばれることがあります。)の内容と、法令の規定ぶりそのものと、法令解釈の通説と、過去の判例・裁判例などを考えに入れる必要があります。大まかな判断手法は、知的財産権の専門家でなくても理解できるはずですが、重要な局面では専門家(弁理士など)の見解を得ておくことが無難です。
なお、上記のことを、競合する他社が有する権利について検討する以外にも、取引先や連携相手が有する権利について検討する場面もあり得ます。
●参考テーマ
・4601、4616、4621…他社との知的財産に関する紛争・トラブルへの対応
他社の権利に対する自社の対応や、自社の権利に対する他社の動きへの牽制などを検討する場合。
●参考情報
・角渕由英,「侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ 〜特許調査のセオリー〜」現在産業選書
・「知財情報の有効活用のための効果的な分析方法に関する調査研究報告書」,
平成22年度 工業所有権情報・研修館 請負調査研究事業
平成23年3月
みずほ情報総研株式会社
https://www.inpit.go.jp/blob/katsuyo/pdf/shiryo/chizaijouhou2010.pdf
知財分析の具体的手法が
多く取り上げられています。
・川上成年,”テキストマイニングをしようした特許マップ作成手法の開発”,パテント,2019, Vol.72, No.6, pp.78-85
https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3246
0616経営戦略・ビジネスモデルの構築
●テーマ名(詳細版)
経営戦略・ビジネスモデルの構築(利益の源泉の認識、技術力・競争力の源泉・知財の活用)
脱下請けを目指すための事業形態の検討
経営理念・ビジョン・ドメイン・全社戦略の明確化
ありたい姿と現状の差異の検討
経営課題の選定
研究開発の成果物の活用法の事前検討
●テーマの説明
このテーマは、自社の経営戦略・ビジネスモデルを構築することに関するものです。言い換えますと、自社が事業を行う際に、利益の源泉は何であると認識し、どのような道筋で利益を得るのか、ということを認識することに関するものです。
・前段階としての現状(将来予測)の把握
自社の経営戦略・ビジネスモデルを構築するためには、まず前段階として、現在及び今後における、自社を取り巻く環境を把握しておくことが重要です。自社を取り巻く環境を把握することには、自社が直接制御しきれない外部環境における、自社にとっての機会と脅威を把握すること、自社が直接制御できる内部環境における、自社の強みと弱みを把握すること、が含まれます。
・現状(将来予測)を踏まえた検討
自社を取り巻く環境を把握した上で、現在及び今後の自社の経営戦略・ビジネスモデルをどのようにするか検討します。例えば、内部環境において見いだした、自社の強み(競争力の源泉)を用いて、外部環境にどのように働きかけるか、または、自社の強み(競争力の源泉)をどのように育成していき、外部環境に適応していくか、などを検討します。
・検討の切り口
自社の経営戦略・ビジネスモデルの構築の検討には、様々な切り口が考えられます。
例えば、従前の受注生産型から自主提案型への転換という発想から検討を始めることや、自社で内製する事業形態と他社との連携を行う事業形態を比較検討することや、自社の競争力の源泉・利益の源泉を再定義することから検討を始めることや、自社が参入する市場と投入する製品の組み合わせの最適化を目指すことなど、実に様々です。
下記の事例では、自社の供給能力と社会の需要の関係に注目することや、KJ法等を用いて社員全員で知恵を絞るプロセスを取り入れることや、技術的に特許をとれないところをいかに守るかという発想を起点とすることや、知的財産の複数の獲得手法を組み合わせることを考慮することや、自社技術(特許)の実施権(ライセンス)を他社が受け入れやすい下地をいかに作るかという観点に立つことが示されています。
・全社的な経営戦略から個別分野・運用へ
自社の経営戦略・ビジネスモデルを十分に検討・認識しておくことは、個別分野の戦略や戦術の構築、企業活動の実際の運用、さらには、継続的に実施される現状分析のためには、重要です。
例えば、自社の経営戦略・ビジネスモデルを明確にすることにより、経営戦略における、知的財産活動の位置付けや、知的財産活動に期待する効果(何を効果と捉えるか)を明確にすることができます。このような位置付け・期待する効果を明確にすれば、知的財産活動として何を行うのか、どのような体制整備をすればよいのかが定まります。
・検討の実施手法
以上のような自社の経営戦略・ビジネスモデルの検討は、自社が自前で行うことも可能ですし、外部の専門家の助けを借りて行うことも可能です。自社の置かれた状況次第で選択することになります。
自社が自前で行う場合には、下記の事例や参考情報に示されている手法を参考にすることができます。
外部の専門家の助けを借りて行う場合には、公的機関の各種支援窓口に頼ることもできますし、中小企業診断士などの企業診断(経営診断)の専門家の助けを借りることもできます。
●参考テーマ
・0101、0121、0131、0136、0151、0656、1601…自社をとりまく現状分析全般
自社の経営戦略・ビジネスモデル(事業において利益をどのように得るかなど)を検討する前提として、自社をとりまく現状を把握したい場合。
・0616…提携
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、他社との提携を行うことを検討する場合。
・0631…M&A(企業買収)
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、他社を買収することを検討する場合。
・0636…OEM(納入先商標による受託製造)
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、他社のブランドの製品を受託製造することを検討する場合。
・0641…ファブレス化(製造を分離)
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、自社は研究開発を行い、研究開発の結果としての製品の製造は他社に委託するか、他社にライセンス供与することを検討する場合。
・0651…参入市場の選定
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、事業を行う市場の選択を検討する場合。
・0656…プロダクトミックス・製品開発計画・プロダクトライフサイクルの検討
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、自社の製品のラインナップ(ポートフォリオ)や製品開発計画を検討する場合。
・0666…価値分析(VE分析)に応じた研究開発
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、市場の需要に応じた、コストと機能の組み合わせを最適化する研究開発を検討する場合。
・0671…製品特性に応じた販路選択(販売委託を含む)
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、製品の特性に応じた販路を選択することを検討する場合。
・5101、1646…知財(特許)に関する活動の位置付け・期待する波及効果の検討
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、知的財産及び知的財産に関する活動を、経営上にどのように位置付けるか・どのような波及効果を期待するかを検討する場合。
・1606…自社ブランドの形成
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、自社ブランド(例えば、商標による。)の形成を検討する場合。
・1611…オープンクローズ戦略の検討
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、自社の強みに関する部分は他社に利用させず(クローズにして)、それ以外の部分については他社に利用させて(オープンにして)市場拡大を目指す戦略を検討する場合。
・1661…特許法上の発明該当性に関する検討
経営戦略・ビジネスモデルの構築の一環として、技術以外のもの(例えば、ビジネスモデルそのもの)に依拠する自社の強み(競争力の源泉)について、特許を取得することを検討する場合。
・1666…特許出願する対象の技術を絞る検討
経営戦略・ビジネスモデルを構築した結果として、ビジネスモデル上に重要な部分についてのみ特許出願等を行うことにより、効率的な知的財産活動を行うことを検討する場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.23-32
株式会社シード
「自社の供給能力だけでは社会の需要に対応することができない状況だと、模倣品を生む要因にもなる。そのため、他社にライセンスするという判断も必要になることもある。
自社で供給できない部分は他社に譲り、ライセンス収入を得ることによって、次の開発に取り組むという割り切りが必要なこともある。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.41-49
株式会社エルム
「特許の対象となる製品のビジネスモデルは、開発に着手する時点からある程度描いた。
特許戦略もビジネスモデルに基づいて考えている。
特許を取るべきところと、取っても意味がないところなど、全体のフレームワークは、ある程度最初にできている。
例えば、機械や装置を売るのではなく、消耗品を販売するビジネスのほうが自社の収益を支える基盤となると考えた。そのため、特許による保護も、消耗品について注力した。
他の装置に応用できる可能性のあるシステムも権利化している。
開発型の中小企業は、ビジネスモデルがしっかりできていないと生き残れない、と言及。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.59-68
株式会社ナベル
「蛇腹の適用対象をカメラから医療機器に展開するときに、蛇腹のドメイン(戦略領域)を再考した。そこで考えたのが「必要なときに伸びて、必要なときに縮むカバー」という概念である。そして、蛇腹へのニーズをいち早くキャッチして、要求されるレベル・新しい技術や工夫の余地を、素材と製法の両面で検討し、提案していくというスタイルを構築した。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.69-76
しのはらプレスサービス株式会社
千葉県中小企業知的財産戦略支援事業を活用した。
「バランススコアカードを使って、業務面・教育面を整理し、戦略マップを作成した。
支援を受けて良かったことは、策定した計画の進捗状況を、外部からモニタリング・コントロールされることである。中小企業に足りないところは、計画力と計画の継続力である。
自ら計画を立てて、事業を戦略的に実行することが大切である。
難しいところは、計画自体を生み出すところと、社員全員に参画してもらうための知恵を絞るところ(例えば、KJ法の活用)である。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.93-99
鍋屋バイテック株式会社
「技術的に特許がとれないところをどのように守るべきかを戦略として検討している。中部経済産業局の「地域における知財戦略支援人材の育成事業」により、知財アドバイザーの派遣を受けて、その対策を検討している。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.26-27
ふくはうちテクノロジー株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「特許調査・分析の結果をもとに、応用範囲の広いコア技術について重点的に投資すべき事業分野の絞り込みを実施した。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.40-47
クラスターテクノロジー株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
「ニーズ調査により抽出した自社技術を適用する用途の候補について、(1)特許的な観点での点数(障害となる他社権利が存在するか、自社技術以外の代替技術と比べたときの自社技術の優位性の有無などによる。)、(2)市場的な観点での点数(市場の構造と、市場規模による。また、自社技術がトレンドにあっているか、競合の有無、参入の容易性も考慮する。)をつけて、取り組み優先順位を付けた。
その上で、用途別に、知的財産の獲得戦略として、「先行特許の買い取り」「自社開発」「共同開発」のいずれの手法をとるかを検討した。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.114-121
株式会社東亜電化
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「新規技術開発の一環として地元大学と共同研究をしてきた。そこで得られた成果による有望な技術に対して、共同研究開発等の申し入れが内外の大手企業から寄せられた。その際に、他企業へのライセンシングと自社展開との線引き、ノウハウなどを含めた技術の囲い込み等に検討すべきことを抱えていた。
自社の特許の価値評価・パテントマップの作成を介して、特許を活用可能な産業分野の検討及び活用可能な候補先企業のリストアップ・リスク見積もりを行い、特許の具体的な活用分野・用途の検討を行った。
そのうえで、自社に貢献する知的財産戦略を目指して、4項目について機能強化目標を設定したロードマップを作成した。その4項目とは、「事業及び研究開発戦略(事業戦略及び研究開発戦略に知的財産戦略を組み込むこと)」「戦略的取得体制」「管理・活用体制」「他社対応体制(他社の知的財産により事業が制約を受けないこと)」である。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.67
株式会社エクセル電子
「競争の激化に伴い、自社にしかできない製品を開発し、積極的に提案することが求められるようになった。製品開発のためには先行投資が必要になるが、模倣品への対策をとらないと投資の回収が困難になるため、知的財産権を確保しておかなければならない。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.69
株式会社不二機販
「もともとは株式会社不二製作所が製造する装置の販社として設立された。競合他社との価格競争が激しく、付加価値の低い販社という事業モデルに限界を感じていた。
そこで、装置の新たな用途開発に取り組み、独自の技術(処理技術)を確立するに至った。これらの技術を特許権等で保護し、受託加工や技術ライセンスなど知的財産を活かした付加価値の高いビジネスに結び付けている。
知的財産活動の目的を、自社技術の囲い込みではなく、利用促進に置いている。
相手方の状況に応じて、受託加工・技術ライセンスのいずれにも対応している。その結果、自社技術は、大手から中小まで幅広い事業者に利用されるに至っている。多くの事業者の利用を促進することによって、自社技術の認知度の向上、ブランド化を図ることが、相手方がライセンス等を受け入れやすい下地となっていると考えられる。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.70
株式会社善管
「比較的差異化が難しい清掃業界での起業にあたり、他社では困難な特殊な清掃サービスを提供することを目指した。そして、清掃機材の開発に取り組んだ。そして、(清掃機材を用いた)清掃方法、清掃機材に関する特許出願に取り組んでいる。
独自手法が他社の目にとまって、特許ライセンスという形態の新たな事業提携に結びついた。」
●参考情報
・経営デザインシート
内閣府知的財産戦略推進事務局
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html
現在と今後の自社を取り巻く環境を把握し、
経営課題などを明確にするために
一枚のシートで検討しようとするものです。
・「中小企業のためのデザイン経営ハンドブック」
https://www.jpo.go.jp/introduction/soshiki/design_keiei/chusho.html
・アレックス、オスターワルダー他,
「ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書」,翔泳社
(ビジネスモデルキャンバス)
https://www.amazon.co.jp/ビジネスモデル・ジェネレーション-ビジネスモデル設計書-アレックス・オスターワルダー-ebook/dp/B0088L95XG/
・知的財産の価値評価について
2017年 特許庁、発明協会アジア太平洋工業所有権センター
・弁理士による知的財産価値評価パンフレット 特許編
2013年12月 弁理士会知的財産価値評価推進センター
https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/03/patent20150826.pdf
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
主として、支援者向けのコンテンツです。
中小企業に対して
知的財産戦略を含む支援を行う一連の流れが
示されています。
しかしながら、
企業内で自ら経営課題を検討する際にも
この資料が提示する手法は参考になります。
p.27
「事業モデルは企業によって千差万別だが、ほとんどの技術系企業は事業モデルをバックボーンに知的財産活動を構築している。」
「ファブレス型の研究開発企業のように、知的財産で開発商品の価値を強固にする事業モデル」
「知的財産とは直接関係しない商品優位性が事業環境の変化によって保持できなくなり、知的財産で新たな優位性を構築した事業モデル」
「自社のノウハウ蓄積で成り立っていた事業から他社との共同開発事業へ移行し、自社の技術資産の権利範囲を保持するために知的財産活動に取り組む例」
「自社の商品特性や商品ライフサイクル、競合環境やマーケットシェア、顧客特性など、市場環境を踏まえて、市場ポジションを考察する。事業モデルにおいて経営課題は何か、知的財産活動の経営戦略上の目的・位置付けと知的財産活動を実践する仕組みはどうするかという仮説を立ててみる。この際に、自社と競合の特許出願の登録・出願状況(特許マップ)を作成してみることも効果的である。」
0626提携(共同研究開発を含む)
●テーマ名(詳細版)
技術力・競争力の源泉・知財を根源とする提携(技術連携・共同研究開発を含む)
●テーマの説明
このテーマは、自社の事業を行うに際して、自社と他社の提携を行うことに関するものです。このような提携は、自社の資源のみで事業を行うことによる利益よりも、他社の資源を活用することにより自社の事業における利益が大きくなる場合などに、検討されます。
他社との提携の態様は様々です。例えば、技術連携や、共同研究開発や、自社と他社の多様な役割分担が挙げられます。
他社との提携を行いつつも、自社の経営戦略・ビジネスモデルの実現による利益の確保を行うためには、自社が主導権をとれるか対等の立場となる根拠(よりどころ)が必要となります。その根拠(よりどころ)として、知的財産権を活用できます。
他社と提携する際には、他社との契約や、提携の成果として生まれる知的財産権の扱いに注意を払う必要もあります。
下記の事例によれば、提携先(共同研究開発の相手方)が大学である場合(産学連携の場合)には、独特の配慮すべきこと(リスク要因や注意点)があるようです。
●参考テーマ
・0101、0616…自社の強み(競争力の源泉)の明確化・経営戦略・ビジネスモデルの構築
他社との提携・共同研究開発などを検討するに際して、自社の強み(競争力の源泉)を明確に認識する場合や、経営戦略・ビジネスモデルを検討する場合。
・4116…他社との契約における注意点
他社と提携するために、各種契約を行うことを検討する場合。
・4131…ライセンスの客体となる自社の権利の選択上の注意点
自社の権利に関する実施権(ライセンス)を他社に付与する場合において、対象となる権利の選択を検討する場合。
・3101…営業秘密管理
他社と提携する際において、秘密管理について検討する場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.41-49
株式会社エルム
「下請けをせずに、製造や販売などの面でパートナーを求める場合、自社より大きな会社であるパートナーと対等に取引するには特許を持つしかない。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.29, 98-106
株式会社ハルナ
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「企業及び大学との研究開発の協力・提携を積極的に行ってきた。
量産技術については大手メーカーの協力を得てきた。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.114-121
株式会社東亜電化
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「新規技術開発の一環として地元大学と共同研究をしてきた。そこで得られた成果による有望な技術に対して、共同研究開発等の申し入れが内外の大手企業から寄せられた。その際に、他企業へのライセンシングと自社展開との線引き、ノウハウなどを含めた技術の囲い込み等に検討すべきことを抱えていた。
大学との共同研究や技術移転は企業にとって有効な戦術である。ただし、大学からの技術移転は知的財産権の確保が不十分な場合が多い。また、大学側との人的なつながりの維持が時としてビジネス上の判断を大きく左右する、などのリスク要因が存在する。
共同出願に係る権利は、共有相手先の意向が強く反映された権利内容になっていると考えられる。自社の経営戦略・研究開発戦略にマッチした権利の取得・維持・活用・実施等を、共有相手先と交渉の上、明確にする必要がある。また、共同出願に係る特許とは別に独自プロセス・独自ノウハウの取り扱い体制の構築を図る必要がある。
第三者へのライセンシング供与を視野に置いた、産学連携における共同研究相手との権利関係の整理に取り組んだ。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.64
株式会社オプトニクス精密
「従来は、自社技術をノウハウとして秘匿保護することを基本方針としていた。技術流出を防止するため、内製を基本としていた。
しかしながら、社内資源の限界から特定の顧客への依存度が高くなる傾向にあり、経営の不安定化の要因となっていた。
そこで、顧客層と事業分野を広げるために、独自技術を顧客等と提携して共同利用する事業モデルへの転換を進めることになった。新しい事業モデルのためには、自社が提供する技術を明確にし、自社への利益配分を確保するために、技術資産の権利化が不可欠となった。
こうした事情から、ノウハウ管理のみではなく、特許出願・権利化を含めた知的財産活動が活発化することになった。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.67
株式会社エクセル電子
「現在のグローバルな市場展開を考えると、有力な海外メーカーとの提携を含めた新しい事業モデルの構築が必要になるが、パートナーとの関係を主導するのに知的財産権は有力なツールとなる。」
●参考情報
・経営デザインシート
内閣府知的財産戦略推進事務局
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html
現在と今後の自社を取り巻く環境を把握し、
経営課題などを明確にするために
一枚のシートで検討しようとするものです。
・知的財産の価値評価について
2017年 特許庁、発明協会アジア太平洋工業所有権センター
・弁理士による知的財産価値評価パンフレット 特許編
2013年12月
弁理士会知的財産価値評価推進センター
https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/03/patent20150826.pdf
0631M&A(企業買収)
●テーマ名(詳細版)
M&A(企業買収)
●テーマの説明
このテーマは、自社の資源・自社の強み(競争力の源泉)を補強する手段として、他社を買収することに関するものです。
他社を買収する場合には、事前に他社の内部環境の十分な調査(いわゆる、デューデリジェンス)が必要です。事前調査の対象分野は多岐にわたります。そのような調査のひとつとして、他社が保有する知的財産権の価値評価もあります。事前の調査が不十分であると、他社の買収後に、他社が抱えていた問題点が露見する事態がありえます。
●参考情報
・知的財産の価値評価について
2017年
特許庁、発明協会アジア太平洋工業所有権センター
0636OEM(納入先商標による受託製造)
●テーマ名(詳細版)
OEM(納入先商標による受託製造)
●テーマの説明
このテーマは、他社のブランド(商標)の製品を、自社が受託製造すること(OEM)に関するものです。他社にブランド力や営業力があり、自社に製造能力(技術力)がある場合に採用されるものです。
OEMの採用には、メリットとデメリットの両方があります。OEMのメリットとして、例えば、自社にブランド力や営業力がなくても、製品製造の機会を得ること、製造に関する技術・ノウハウが蓄積しやすいことが挙げられます。OEMのデメリットとして、例えば、受託生産型ゆえに利益率が低くなりがちなこと、自社のブランド力や営業力が上がらないこと、製品の消費者に対するチャネルが弱いので、消費者ニーズの動向を把握しにくいことが挙げられます。
受託生産型であることもあり、納品先との力関係が偏りやすいですので、特に契約等において不利な扱いを受けないように注意が必要です。以下の参考情報に挙げられている資料に記載された注意点や、契約書のひな形を参考にするとよいでしょう。
●参考情報
・知財取引に関するガイドライン
中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/chizai_guideline.html
ガイドラインでは、
「契約締結前」
「試作品製造・共同開発等」
「製造委託・製造販売・請負販売等」
「特許出願・知財権の無償譲渡・無償許諾」
の観点があります。
契約書のひな形もあります。
具体的には、
秘密保持契約書、共同開発契約書、
開発委託契約書、製造委託契約書の
ひな形があります。
・知的財産取引検討会報告書
中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/chizaitorihiki/2021/210331chizaitorihiki_report.pdf
知財取引の適正化の話題と、
中小企業による知財の活用の話題が
あります。
契約のひな形もあります。
・山本久美,”「中小企業における戦略的OEMの診断」
−菓子製造業の診断事例を基に−”
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmdayokoushu/8/0/8_0_13/_pdf/-char/ja
・中小企業経営者のための技術契約マニュアル
東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター
(秘密保持、共同研究、業務委託(受託)、共同出願、実施許諾(ライセンス)、譲渡、オプション、OEM/ODM、技術指導)
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/gijutsukeiyaku/
0641ファブレス化(研究と製造を分離)
●テーマ名(詳細版)
ファブレス化(製造を分離)
●テーマの説明
このテーマは、自社は研究開発を行って、知的財産権を取得するところまで行い、他社に知的財産権をライセンスして、製品の製造を任せることに関するものです。製造部門を持たなくて済む(ファブレス化できる)ので、設備投資がその分少なくできるメリットや、他社の権利を侵害する可能性を低くできる(他社からの攻撃を受けにくい)メリットがあります。反面、自社の知的財産権を確実にライセンスし、ライセンス料を回収するためには、事前の市場(ニーズ)調査や周到な知的財産権取得活動が必要となります。
下記の事例によれば、知的財産に関して独占排他的な地位を確立できる事業分野の範囲が限られる場合には、利益確保のために、国内市場だけではなく外国市場もターゲットにする必要が生じることがあるようです。その場合は、外国についても知的財産権を取得する必要が生じます。
●事例
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.48-57
株式会社糖質科学研究所
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
「医薬品の研究開発を行うバイオベンチャーである。
研究成果を知的財産として権利化し、主に医薬品への応用を中心にライセンスアウトする方針である。
この事業形態においては、技術進歩や市場の変化に対応した研究開発を行い、研究開発の成果を確実に権利化していくことが重要である。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.121-127
アーベル・システムズ株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「半導体の設計あるいは応用技術を収入源としてるファブレス指向の企業である。収入源としては、特許開示収入、開発業務支援収入、OEM供給事業収入がほぼ同額である。半導体の設計・応用技術とは別に、いくつかの要素技術も所有している。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
pp.59-60
株式会社日本開発コンサルタント
「開発に特化したファブレス企業である。
開発テーマを絞り込んでその分野での独占的なポジションを得ることと、(開発テーマを絞れば国内の市場規模が限られてしまうので、)市場を海外にも求めることを、事業展開の基本方針にしている。こうした事業展開を進めるためには特許の取得が必須と考え、海外でも売れる製品であること、特許を取れる製品であることが、開発テーマ選定の基準になっている。
特許にさける予算が限られるなか、出願分野を主力事業に集中するとともに、海外展開のための必要な外国出願の予算を確保するために、効率の高い特許出願への取り組みを進めている。」
●参考情報
・中小企業経営者のための技術契約マニュアル
東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター
(秘密保持、共同研究、業務委託(受託)、共同出願、実施許諾(ライセンス)、譲渡、オプション、OEM/ODM、技術指導)
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/gijutsukeiyaku/
0651参入市場の選定
●テーマ名(詳細版)
参入市場の選定(秘匿ノウハウ活用、大企業参入困難を考慮)
●テーマの説明
このテーマは、自社の事業が参加する市場を選ぶことに関するものです。
参加する市場を選ぶ基準は様々なものがあります。下記の事例や参考情報をヒントにするといいでしょう。例えば、市場規模的に大企業が手を出すほど大き過ぎないという観点や、市場特性・製品特性的に大量生産になじまず大企業が手を出しにくいという観点があります。
参加する市場を選ぶ際には、参加する市場において自社がどのように優位性を確保するのかも検討する必要があります。例えば、知的財産権を徹底的に確保して独占排他的地位を確立する手法や、ノウハウを蓄積して秘匿管理する手法や、顧客との信頼関係を構築して先行者利益を確保する手法があり得ます。
●参照テーマ
・0101、0131、0136、0656、1601、0616…市場や競合他社の分析・自社の強み(競争力の源泉)の認識・経営戦略・ビジネスモデルの構築
参入する市場を選定するのに際して、市場や競合他社の分析・自社の強み(競争力の源泉)の認識・経営戦略・ビジネスモデルの検討を行う場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.33-40
田川産業株式会社
「模倣することが難しい製品で、品質を維持しながら採算性を確保することに大きなリスクのある製品であれば、当該製品を扱う事業そのものの難しさが、参入障壁となる側面がある。
中小企業は、技術開発型で、オンリーワン、ナンバーワンでないと生き残れない、と言及。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.85-92
株式会社ナミックス
「ニッチ市場で量的には出なくても、金額は決して小さくない。しかし汎用製品が作りにくく(量産ビジネスではなくオーダーメイドビジネスなので、)設備投資して大量生産するものでない。そうすると、大手は手を出しづらい。
なお、この場合、特許を取る目的は、市場を押さえるというよりも、他社への牽制となる。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.65-72
株式会社アクロス
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「ある特定市場の参入の意図として、市場規模そのものの大きさより、市場参入による会社の知名度向上に狙いがある、ということもある。技術力に加え、ブランド力も必要との意向がある。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.107-113
大丸産業株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「大企業から知財(特許・製造ノウハウ等)・人材・商標などを譲り受けて事業を行っている。
大企業にとって事業規模などの点から魅力に欠ける市場でも、中小企業にとって利益を見込める市場は数多く存在する。大企業から中小企業に対する技術移転はそのような事実を背景にして生じることが多い。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.61
和光コンクリート工業株式会社
「自社事業地域では、自社特許に関わる製品を自社で販売する一方で、それ以外の地域では、自社特許を他社にライセンスしている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.72
テフコ青森株式会社
「ハイエンド市場をターゲットにすることで、事業規模の拡大を抑えつつも収益力を高めている。」
●参考情報
・西浦道明著,「高収益企業の”池クジラ”戦略」,株式会社ビジネス社,2021年4月26日発行
・宮田貞夫,”中小企業にとっての経営戦略と今後の営業展開 第3回 成長戦略と競争戦略”WING21いばらき,2007.2
https://www.iis-net.or.jp/files/wing21/012/20080924150255496.pdf
0656プロダクトミックスの検討・開発計画
●テーマ名(詳細版)
プロダクトミックスの検討・製品(サービス)開発計画
PLC(プロダクトライフサイクル、導入期・成長期・成熟期・衰退期)の検討
自社の現状(網、ポートフォリオ)を示すマップの作成(製品)
●テーマの説明
このテーマは、自社の事業において、どの市場にどのような製品等を投入するのかを検討することに関するものです。このような検討結果をもとに、製品等の開発計画を立てることになります。
投入先の市場・投入する製品等の選択するにあたっては、様々な観点や検討手法がありえます。下記の事例が参考になるでしょう。
・自社と他社の製品マップを作成
いくつかの軸を用いて、自社製品等と他社製品等の市場での位置付けを示す製品マップを作成し、自社の今後の製品開発の方向性を探ることが考えられます。なお、いくつかの軸を設定して製品等や特許の群を1つのマップに表現する手法は、視覚的に捉えやすく、状況を把握するのに便利です。また、軸のようなものは用いずに、属性が近いものどうしの距離が近くなるように、二次元平面上に配置する手法もあり得ます。
・PLC・PPM・成長マトリックスの検討
よく知られた枠組み(フレームワーク)を利用して、自社製品等の今後のラインナップを検討することがありえます。
例えば、自社製品等のそれぞれについて、プロダクトライフサイクル(PLC)上での位置(導入期・成長期・成熟期・衰退期のいずれであるのか)や、プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)分析上での位置(問題児・花形・金のなる木・負け犬のいずれか)を検討することがありえます。また、現在及び今後の自社製品等(の候補)が、アンゾフの成長マトリックス上での位置(市場浸透、新商品開発、新市場開拓、多角化)のいずれにあたるのかを認識することがありえます。これらの認識を踏まえて、自社製品等の今後のラインナップを検討することになります。
・知的財産権の取得可能性の観点
知的財産権(特に特許権)を取得できることを製品等の市場投入の条件とすることがありえます。
・製品毎の行動計画の策定
以上を踏まえて、製品等(あるいは権利)ごとの行動計画を策定することがありえます。行動計画には、製品等の開発の態様や、知的財産権の活用の態様や、製品の製造の態様が含まれます。例えば、開発の態様としては、独自開発・共同開発・開発期間の長短の設定が検討対象となります。知的財産権の活用の態様や製造の態様としては、独占排他的な活用(自社製造)・他社にライセンスアウト(他社に製造させる)・自社と他社で製造の役割分担・知的財産権の証券化による資金調達が検討対象となります。
●参考テーマ
・0101、0131、0136、1601、0616…市場や競合他社の分析・自社の強み(競争力の源泉)の認識・経営戦略・ビジネスモデルの構築
プロダクトミックス(製品のラインナップ)の検討・プロダクトライフサイクル(製品の置かれた状況)の検証を行うのに際して、市場や競合他社の分析・自社の強み(競争力の源泉)の認識・経営戦略・ビジネスモデルの検討を行う場合。
●事例
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.65-72
株式会社アクロス
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「技術と市場のマトリックス上で、製品アイテムごとの戦略(例えば、自己実施・重点開発・ライセンス・資金調達(SPV移転)・ペンディング)を色分けしている。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.92-97
株式会社緑マーク
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「自社の経営戦略や研究開発戦略を把握するために、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの表(PPMの表。市場成長率の軸と、マーケットシェアの軸がある。)、アンゾフの成長マトリクス(製品の軸と、市場の軸がある。)を作成した。これらの表により、自社製品について、自社内・市場での位置付けや今後の事業展開における方向性を明らかにした。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.29, 98-106
株式会社ハルナ
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「「他社の製品・技術と差別化できない、かつ、特許権が取得できない製品は開発しない」という方針に沿って製品開発を行っている。」
0666需要・価値分析による研究開発
●テーマ名(詳細版)
市場の需要・価値分析(コストと機能の組み合わせを最適化)に応じた研究開発
●テーマの説明
このテーマは、市場の需要を意識して研究開発を行うことに関するものです。市場の需要を軽視して研究開発を行うと、市場での需要が乏しい製品等が出来上がる危険性があります。そのため、市場の需要やその動向を見据えて、研究開発することを留意するほうがよいと考えられます。
市場の需要を考慮する方向性としては、様々なことがありえます。事例に示されるように、技術的な面のみでなく、デザイン(意匠)的な面も配慮することが挙げられます。また、市場や消費者が求める機能の程度を見誤ると、高すぎる価格の過剰な機能を有する製品を投入することになりますので、価格(コスト)と機能のバランスがとれた製品を開発するという観点(価値分析(バリューエンジニアリング)としての観点)もあります。
ただし、革新的な製品やサービスは、時として、自由な発想から生まれることもあります。中小企業の場合、そのような”遊び”の部分を残すことは、企業体力的に難しい面もありえますが、研究開発は論理一辺倒では済まないのが難しいところです。
●参考テーマ
・0101、0131、0136、0656、1601、0616…市場や競合他社の分析・自社の強み(競争力の源泉)の認識・経営戦略・ビジネスモデルの構築
価値分析(コストと機能の組み合わせの最適化)を行いつつ研究開発を行うのに際して、市場や競合他社の分析・自社の強み(競争力の源泉)の認識・経営戦略・ビジネスモデルの検討を行う場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.50-58
株式会社オナプス
「特許だけでなく、デザインの面・売り方などのマーケティングの面を強く意識した。
中小企業にありがちなことは、素晴らしい発明でも見た目が悪くて、顧客が、顧客の製品にはこんなものは付けられない、と言われること。」
●参考情報
・日本バリュー・エンジニアリング協会 ホームページ
0671製品特性に応じた販路選択
●テーマ名(詳細版)
製品特性に応じた販路選択(販売委託を含む)
●テーマの説明
このテーマは、自社の製品毎に、その製品の特性に応じた販売経路を選択することに関するものです。製品の特性に応じて、想定される顧客層を配慮しつつ、製品をどのように顧客のもとに伝達すると、売り上げや利益の面で最適化できるかを検討します。
このような検討は、いわゆるマーケティング戦略の基本である4P(「商品(Product)」「製品(Product)」「価格(Price)」「販売促進(Promotion)」「流通(Place)」)のうち、「販売促進(Promotion)」や「流通(Place)」に近いものです(「価格(Price)」とも関係します。)。「製品(Product)」の特性に対応して、「販売促進(Promotion)」や「流通(Place)」も最適化することが望まれます。例えば、製品・顧客の特性によっては、電子商取引(Eコマース)による販売が適しているケースがありえます。また、高付加価値な製品に関しては、その製品の高級感のイメージを損なわないような販売方法を模索する必要があります。
●参考テーマ
・0101、0131、0136、0656、1601、0616…市場や競合他社の分析・自社の強み(競争力の源泉)の認識・経営戦略・ビジネスモデルの構築
製品の特性に応じた販路の検討を行うのに際して、市場や競合他社の分析・自社の強み(競争力の源泉)の認識・経営戦略・ビジネスモデルの検討を行う場合。
●参考情報
・新商品の販路開拓実行支援
中小機構
https://www.smrj.go.jp/tool/supporter/regional1/frr94k0000000uzv-att/shiennavi25-6_H28.pdf
●相談先
・中小機構(販路開拓支援)
https://www.smrj.go.jp/sme/market/index.html
0677研究開発・知財の予算規模
●テーマ名(詳細版)
研究開発・知財にかけられる予算規模の検討
●テーマの説明
このテーマは、研究開発にかける予算と、知的財産活動にかける予算を検討することに関するものです。自社の財務状況を踏まえて予算をどうするか検討することになります。
予め予算枠を用意するのか、事案毎に必要性を検討してその都度予算を付けるのかは、自社の方針によります。どのような方針にするにせよ、当該方針にした経営上の理由を明確にすることが望ましいです。
知的財産活動にかける予算(コスト)をどのように定めるのかについては、自社の経営戦略における知的財産活動の位置付け・期待する効果をどのように定めるのか(何を効果と思うのか)ということに影響を受けます。つまりは、予算(コスト)と効果を見比べつつ、予算(コスト)を適正なレベルに定めることになります。
●参考情報
・中小企業の海外への特許出願を行う場合の注意事項 知財経営の視点から
パテント Vol.72, No.6. pp.104-110, (2019)
https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3249
・ミラサポplus
(中小企業向け補助金・総合支援サイト)
中小企業庁
中小企業向けの支援情報を発信しています。
支援制度、支援者・支援機関を探すときに
活用できます。
事例、経営のヒントも掲載されています。
・令和3年度「中小企業知的財産活動支援事業費補助金(中小企業知的財産支援事業)」
経済産業省関東経済産業局
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chizai/2021_chizai_hojyokin.html
・助成事業一覧(外国出願費用・外国侵害調査費用・特許調査費用等)
東京都中小企業振興公社
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/index.html
・中小企業等外国出願支援事業
https://seido-navi.mirasapo-plus.go.jp/supports/789
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
主として、支援者向けのコンテンツです。
中小企業に対して
知的財産戦略を含む支援を行う一連の流れが
示されています。
しかしながら、
企業内で自ら経営課題を検討する際にも
この資料が提示する手法は参考になります。
p.46
「無意味な出願を減らすためには、予算化するより、案件毎に必要性を精査して予算に縛られずに判断するのが望ましいという考え方もある。」
1601特許網・知財ミックスの構築
●テーマ名(詳細版)
特許網(パテントポートフォリオ)・知財ミックスの構築の検討
自社の現状(網、ポートフォリオ)を示すマップの作成(特許、商標)
知財マクロ分析(対業界全体。用途は対競合・対提携先)
知財セミマクロ分析(対特定他社。特許(知財)網調査。用途は対競合・対提携先)
●テーマの説明
このテーマは、知的財産の群(例えば、特許群・特許網)の現状や将来像を分析・把握することに関するものです。このテーマは、現状分析としての側面と、経営戦略の策定としての側面があります。また、対象とする知的財産の種類は、特許のみならず、意匠・商標・秘匿ノウハウも含まれます。分析・把握する対象は自社のみならず他社であることもあります。むしろ、自社と他社を比較検討することが、現状分析においても、経営戦略の策定においても重要となります。また、分析・把握する対象が、業界・市場全体の状況や動向である場合は「知財マクロ分析」と呼び、競合・提携先・取引先(または、その候補)の他社と自社の相互関係である場合は「知財セミマクロ分析」と呼ぶことがあります。
・特許(パテント)マップ
自社や他社(場合によっては、業界全体)が有する特許の群の現状や将来像を分析・把握するために、作成され活用されるものが「特許(パテント)マップ」です。「特許マップ」は様々な態様のものがあります。例えば、分析の目的により定められたいくつかの軸により形成される空間(多くは二次元平面)上に、自社や他社が有する特許(または特許出願)を配置(または、自社や他社の特許出願数を表示)したものや、二次元平面上に特許(または特許出願)を任意に配置し、配置した特許(または特許出願)の間を線で結ぶ表現を用いるものがありえます。「特許マップ」を作成することにより、視覚的に、自社と他社の現状把握が行え、自社の今後の方針を定めやすくなります。
実際に特許マップを作成する場合には、自社で作成する目的を踏まえつつ、下記の事例や参考情報からヒントを得るといいでしょう。
・知財ミックス
特許のみならず、知的財産の様々な種類のものもあわせた権利群(または、権利群を構築すること)を「知財ミックス」と呼ぶことがあります。技術的な側面では、特許権と秘匿ノウハウを組み合わせることは常道です。また、デザイン的な側面では意匠権を考慮し、ブランド的な側面では商標権を考慮することになります。
なお、特許(または特許出願)の群により形成されるものを、特許網(パテントポートフォリオ)と呼ぶことがあります。
●参考テーマ
・0136…技術分析・技術動向調査
特許出願以外(例えば、学術論文)の情報により、技術の動向を把握したい場合。
・0616…経営戦略・ビジネスモデルの構築
自社の特許網・知財ミックスの構築を検討するのに際して、経営戦略・ビジネスモデルの検討を行う場合。
・1666…特許出願する対象の技術を絞る検討
特許網・知財ミックスの検討を受けて、特許出願する対象の技術を絞ることを検討する場合。
●事例
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.27-28, 107-113
大丸産業株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「大企業から知財(特許・製造ノウハウ等)・人材・商標などを譲り受けて事業を行っている。
譲渡された特許及び譲渡元の大企業との契約内容を再確認した。
譲渡された特許が(他社周辺特許との関係も含め)どういうポジションにあるかを知るために、譲渡された特許をベースに、基本特許、関連する特許、公開特許出願を一覧にして特許マップを作成した。
競合他社の特許出願動向等を調査した上で特許マップを作成し、他社の市場参入の可能性について分析を行った。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.48-57
株式会社糖質科学研究所
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
「自社の保有する特許に関連する調査分析において重要なことは、それぞれの特許の事業戦略上の位置付けを把握し、注視すべき特許を見極めることである。注視すべき特許について重点的に調査分析を行った。
医薬品への応用を前提とした特許については、物質、用途、製剤(組成物・投与法)、製法(生成法・大量生産方法)の多面的な観点からの検討が必要になる。
自社の研究に関する特許情報をすべて明確にすることにより、自社特許の管理や他社特許の調査分析を戦略的に行える土台ができた。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.58-63
フィーサ株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
「共同作業形態でパテントマップを作成することにより、自社の開発状況の検証・他社の開発情報の検証を行って、現状の課題意識を明確化した。検証結果をロードマップ、開発計画、知財計画に反映させた。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.65-72
株式会社アクロス
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「自社に蓄積されている技術を特定する「知的財産の棚卸し」を行った。そして、自社の技術に関連する約2000件の公開特許公報を参照して、自社の技術に関する技術動向を調査した。これらの結果を踏まえて、出願すべき発明とノウハウとして秘匿すべき発明の切り分けや、「基本発明」「機能発明」「用途発明」に分類する作業を行い、戦略立案の基礎となる自社の「特許ポートフォリオデザイン」を作成した。
「基本(コア)発明」「機能発明」「用途発明」のそれぞれについて、適した知的財産戦略をとれるようになった。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.84-91
ナミックス株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「自社の保有特許の調査及び現状分析を踏まえ、関連技術分野における技術・特許の調査、パテントマップの作成、特許の価値評価等を実施していきながら、戦略的特許出願・権利化体制の確立を図った。
パテントマップの作成では、既存事業及び新規事業の技術領域における自社及び他社の特許保有状況、潜在的市場の提示を行った。
特許価値評価では、権利自体、技術、事業の観点からの評価を実施した。自社が保有する特許の価値を明確にした。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.92-97
株式会社緑マーク
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「特許庁のデータベースなどから自社の知的財産の保有状況を検索・調査し、審査経過等を含む詳細なデータベースを作成した。
自社のこれまでの知的財産権の傾向を分析するために、技術革新度合い・製品化志向度合いの軸で過去の特許をプロットした志向別パテントマップを作成した。これにより、以前は基本技術に近い革新的な発明が多くみられたが、最近は最終製品に近い用途に関する発明が多い傾向であることを認識した。
用途に関するパテントマップを作成した。自社のコア技術の各種応用用途について国内外の特許数を記載したパテントマップ、事業別に他社の特許出願状況を記載した競合分析マップなど各種のパテントマップを作成した。これらにより、知的財産の観点での競合に対する自社の位置付けを明確化した。
自社が保有する特許の価値を、権利自体・技術・事業の三軸から評価した。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.29, 98-106
株式会社ハルナ
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「自社のビジネスモデル・技術内容を踏まえ、コア事業に関して特許調査・分析・特許マップの作成を行い、他社との技術の差別化度合いを測定した。そして、投資家に対する知財情報の情報開示に利用する「知的財産報告書」の作成を行った。
競合と認識していた他社について、単なるプロダクト競合であるのか、知的財産競合でもあるのかを明らかにできた。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.114-121
株式会社東亜電化
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「新規技術開発の一環として地元大学と共同研究をしてきた。そこで得られた成果による有望な技術に対して、共同研究開発等の申し入れが内外の大手企業から寄せられた。その際に、他企業へのライセンシングと自社展開との線引き、ノウハウなどを含めた技術の囲い込み等に検討すべきことを抱えていた。
自社の関連特許の価値評価を行い、その特許の活用の方向を検討した。
さらに、自社の企業理念・環境を踏まえつつ、各種のパテントマップを作成した。例えば、パテントポジショニングマップ(第一の軸は、「革新」「改良」、第二の軸は「製品化志向」「製法技術志向」)、研究開発の方向付きマップ(シーズ志向(基礎ケミカル志向)、ニーズ志向(応用製品化))である。パテントマップの作成により、幅広い産業分野での自社技術の展開可能性や相対的な位置付けの確認を行うことができた。そのため、自社で取り組むべき産業分野と他社にライセンシングしても問題のない分野との線引きに一定のめどを見いだすことができた。
次に、特許の価値評価及びパテントマップにより、活用可能な産業分野の検討及び活用可能な候補先企業のリストアップを行い、自社と候補先企業の接触に関する問題点(リスク)を検討した。
特許群の具体的な活用分野・用途について、アイデアの抽出と具体案の検討を行った。
共同出願に係る発明(特に大学関連)に、基礎実験に基づくもの、学究的なもの、方法的な発明が多い場合には、基本発明を核として、改良発明や周辺発明、異なる分野への応用等を含めて権利に隙間がないように、特許網を構築することが重要である。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.121-127
アーベル・システムズ株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「半導体の設計あるいは応用技術を収入源としてるファブレス指向の企業である。収入源としては、特許開示収入、開発業務支援収入、OEM供給事業収入がほぼ同額である。半導体の設計・応用技術とは別に、いくつかの要素技術も所有している。
他社特許調査、自社の保有技術・特許の評価を行い、自社の技術・特許の置かれた位置を明確にした。注目した特許に関しては、技術発展状況、技術の応用分野について、技術発展マップを作成して、位置付けを明確にした。コアとなる技術の特許の権利評価、他社とその技術を明らかにして、特許網構築に向けて検討した。
大企業に対してライセンサーとして対等の立場となるためには、応用・改良・周辺特許などを特許網として権利化すべきである。また、一般的には外国特許も取得すべきである。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.26-27, 128-137
ふくはうちテクノロジー株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「自社技術の対象の関する特許出願動向を分析し、全体的な視野で眺めた。そして、個別の市場グループに分けてさらに詳細に特許動向を分析し、ビジネスプレーヤーや、その市場の特性等をつかんでいった。例えば、その市場はノウハウ重視の市場「ノウハウ優先市場」なのか、積極的に特許出願を行っていく市場「権利優先市場」なのか等の分析や、どのような企業グループによって成立している市場なのか等の分析を、特許出願動向から把握した。全体から、個別市場という流れで特許分析を行った。
競争優位を確保できる事業領域に特化していくために、特定事業の今後の方向性を探るには「パテントマップ」が有効である。パテントマップを作成することで、自社技術の周辺に、他社の様々な特許出願が存在し、それらは互いに技術的関係があることが明らかになる。その結果、自社技術がどの程度の競争力を有しているのか、今後の開発方向性をどこに持っていくべきかなどを検討することが可能になる。このようにパテントマップにより、自社技術の市場ポジションを把握すれば、さまざまな意思決定の参考とすることが可能になる。
実際にパテントマップを厳密に作成しなくても、同じ事業領域の複数の特許出願を眺めていくことで、頭のなかでパテントマップが作成されていくことも多い。これを経営者が把握し、知的財産戦略に反映させていくことが重要である。
パテントマップの検討によって、既に技術開発競争が激しい分野であることが判明した場合は、自社開発を中止して、製品投入による市場参入を行わないという判断もできる。
過去の開発で、その市場のキー(鍵)となる技術に関して特許出願を行っていた場合は、その特許出願をなんとしても権利化するという意思決定がありうる。権利化によって、競争が激しい分野であってもライセンス契約という手法で市場参入することも考えられるからである。つまり、知財権利化に高いウェイト、開発投資に低いウェイトという意思決定により費用対効果を高めることも戦略の一つである。
ノウハウ主導型(ノウハウ優先)市場では、知財権利化に低いウェイト、開発投資に高いウェイトという戦略がありうる。
知財戦略(知財権利化)と開発戦略(開発投資)のバランス感覚が重要である。
新規市場を開拓する計画がある場合は、競合技術の存在を特許分析によってみつけた。
特許分析とパテントマップ作成に基づく知的財産戦略の検討結果は、その後の特許出願の検討や特許事務所との打ち合わせで指針として用いている。また、当該検討結果は、知的財産面からみた事業環境を把握する上でも効果があり、事業を進めるべき方向性を固める上でも参考になった。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.72
テフコ青森株式会社
「創業当時は特許出願の主体が製造方法のみで、競合他社に真似されても防御力に乏しかった。その後、製品と製造方法を抱き合わせた出願戦略へ移行した。
特許出願した製品のみを製造販売することを事業方針に掲げている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
pp.76-77
株式会社東和電機製作所
「長年培ってきた技術力を活用した顧客ニーズ対応型である。
知的財産活動の目的は終始「防衛特許網の構築」にある。」
●参考情報
・戦略的な知的財産管理に向けて
−技術経営力を高めるために− <知財戦略事例集>(案)
2007年4月 特許庁
・三宅将之、宗裕二,姫野桂一,”戦略的知財ポートフォリオ・マネジメント 「テクノロジー・ヒートマップ」による技術評価”,知財資産創造,2004年10月号,pp.4-17
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8199327
・「知財情報の有効活用のための効果的な分析方法に関する調査研究報告書」,
平成22年度 工業所有権情報・研修館 請負調査研究事業
平成23年3月 みずほ情報総研株式会社
https://www.inpit.go.jp/blob/katsuyo/pdf/shiryo/chizaijouhou2010.pdf
知財分析の具体的手法が
多く取り上げられています。
・Excelを使ったパテントマップ作成方法
情報の科学と技術,60巻8号,pp.333-339,(2010)
野崎篤志
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/60/8/60_KJ00006543518/_pdf/-char/ja
・野崎篤志, 無料の特許検索データベースJ-PlatPatとMS Excelで特許分析・パテントマップ作成
https://note.com/anozaki/n/nfc08d642f2a4
・川上成年,”テキストマイニングを使用した特許マップ作成手法の開発”,パテント,2019, Vol.72, No.6, pp.78-85
https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3246
・特許出願技術動向調査
特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/gidou-houkoku/tokkyo/index.html
●相談先
・特許情報提供事業者リスト集 5.パテントマップ作成サービス
特許庁
https://www.jpo.go.jp/toppage/links/johoteikyou/05map.html
・ULTRA Patent(特許庁サイトでの紹介)
https://www.jpo.go.jp/support/general/ip-intelligence/intro-3.html
1606自社ブランドの形成
●テーマ名(詳細版)
自社ブランドの形成
●テーマの説明
このテーマは、自社の製品やサービスに関するブランド力の形成を検討することに関するものです。例えば、従前の受注生産型の事業の在り方から、自主開発により自社製品等を市場に投入する事業の在り方に転換する場合に、このテーマは検討対象となります。また、技術的優位性のみで市場での優位性を確保しきれない場合にも、ブランド力を向上させることは重要な検討対象となります。下記の事例によれば、自社の事業や製品(商品)・サービスが、企業向けではなく最終消費者向けである場合に、ブランド力をより意識する必要がありそうです。
ブランド力の形成には、法的な根拠となる商標権の取得とともに、自社ブランドに対する信用力・好感度・認知度の向上といった実質的な効果を得るための対策が求められます。
下記の事例によれば、自社がブランド力を持つことにより、自社の権利の実施権(ライセンス)を他社が受け入れやすくなる面がありそうです。
●参考テーマ
・0616…経営戦略・ビジネスモデルの構築
自社ブランドの構築を検討するのに際して、経営戦略・ビジネスモデルの検討を行う場合。
・2121、2141…商標登録出願関連
自社ブランドについて商標登録を行う場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.50-58
株式会社オナプス
「それまで扱っていた工業製品の部品とは違い、建築関係のものはユーザーにブランドが見える。そのため、ユーザーを意識して、ブランドを確立していかねばならないという課題があった。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.69
株式会社不二機販
「知的財産活動の目的を、自社技術の囲い込みではなく、利用促進に置いている。
相手方の状況に応じて、受託加工・技術ライセンスのいずれにも対応している。その結果、自社技術は、大手から中小まで幅広い事業者に利用されるに至っている。多くの事業者の利用を促進することによって、自社技術の認知度の向上、ブランド化を図ることが、相手方がライセンス等を受け入れやすい下地となっていると考えられる。」
1611オープンクローズ戦略
●テーマ名(詳細版)
オープンクローズ戦略の検討
自社技術を業界標準にする活動
●テーマの説明
このテーマは、自社が想定している経営戦略・ビジネスモデル上で、自社が独占する部分(クローズドにする部分)と、他社の利用を許容する部分(オーブンにする部分)を分ける戦略(オープンクローズ戦略)に関するものです。オープンクローズ戦略をとることにより、オープンな部分への他社の参加により市場全体の規模の拡大を図りつつ、クローズドにする部分で自社の利益を確保することができます。この場合、自社と他社を巻き込んだ経営戦略・ビジネスモデル上で利用が避けられない部分を、クローズドの部分として設定するのが常道です。
自社のクローズドの部分を守るための手段は、知的財産権(特に、特許)の取得と、ノウハウの秘匿が挙げられます。
また、オープンな部分に他社の参画を図るためと、利用を避けられないものをクローズドな部分にするために、標準化活動を活用することがあります。ただし、標準化活動においては独占禁止法違反とならないように注意が必要です。
●参考テーマ
・0616、0626…経営戦略・ビジネスモデルの構築・他社との提携
オープンクローズ戦略や自社技術の業界標準化を検討するのに際して、経営戦略・ビジネスモデルの検討や他社との提携の在り方を検討する場合。
●参考情報
・小川紘一,「オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件 増補改訂版」,翔泳社
https://www.amazon.co.jp/オープン-クローズ戦略-日本企業再興の条件-増補改訂版-小川/dp/4798144258/
・国際標準化の戦略的ビジネス活用セミナー資料 オープン&クローズ戦略
2017年1月20日
千村保文(沖電気工業)
https://www.ituaj.jp/wp-content/uploads/2017/03/1Chimura.pdf
・知的財産と標準化によるビジネス戦略
経済産業省産業技術環境局基準認証政策課
https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/text/document/h30_jitsumusya_txt/34_pp.pdf
・戦略的な知的財産管理に向けて
−技術経営力を高めるために− <知財戦略事例集>(案)
2007年4月 特許庁
・標準化に伴うパテントプールの形成等に関する独占禁止法上の考え方
平成19年9月28日改正 公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/patent.html
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/patent_files/patentgl.pdf
・鶴見隆,”標準化活動と特許情報調査”
https://paperzz.com/doc/6164990/標準化活動と-特許情報調査---株式会社戦略データベース研究所
1616クロスライセンス
●テーマ名(詳細版)
クロスライセンス
クロスライセンスに用いる特許権等の取得
●テーマの説明
このテーマは、自社の権利の実施権(ライセンス)を他社に付与するとともに、当該他社の権利の実施権(ライセンス)を自社に付与してもらう手法(クロスライセンス)に関するものです。例えば、一つの製品に多くの特許が関与するような分野においては、自社と他社のそれぞれが取得した権利が錯綜して、そのままでは自社も他社も法的な問題なく製品等を製造・販売することが出来ないことがあります。そのような場合に、クロスライセンスを行うことにより、法的な問題を解消することがあります。
クロスライセンスは、他社の権利を侵害することを回避するための有効な手段ですが、その反面、自社の権利による独占排他性が失われることになります。そのため、できる限り、クロスライセンスの対象に、自社の企業戦略・ビジネスモデル上の根幹をなす、利益の源泉となる権利を含めないことが重要です。
やや技巧的にはなりますが、他社とのクロスライセンスに備えて、クロスライセンスの対象とするための権利(特許権など)を計画的に取得しておくという手法もあります。このような手法により、自社の経営戦略・ビジネスモデル上の根幹をなす、利益の源泉となる権利をクロスライセンスの対象としないようにしつつ、クロスライセンスにより他社の権利を侵害するリスクを排除することができます。
●参考テーマ
・3101…営業秘密管理
自社と他社の間で権利に関する実施権(ライセンス)付与が行われる際に、秘匿しているノウハウの供与が伴う場合。
・4116…他社との契約における注意点
自社と他社の間で権利に関する実施権(ライセンス)付与が行われる際に、契約内容を検討する場合。
・4131…ライセンスの客体となる自社の権利の選択上の注意点
クロスライセンスの対象となる自社の権利の選択を行う場合。
●参考情報
・知的財産の価値評価について
2017年 特許庁、発明協会アジア太平洋工業所有権センター
・知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針
平成28年1月21日改正 公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/chitekizaisan_files/chitekizaisangl.pdf
独占禁止法と
特許法等や著作権法との関係について
示されています。
特に、
権利行使が行われる際に、
その行為が独占禁止法違反にならないか
確認する際に、この資料を参照します。
・中小企業経営者のための技術契約マニュアル
東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター
(秘密保持、共同研究、業務委託(受託)、共同出願、実施許諾(ライセンス)、譲渡、オプション、OEM/ODM、技術指導)
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/gijutsukeiyaku/
1641職務発明規程の整備
●テーマ名(詳細版)
職務発明規程の整備
●テーマの説明
このテーマは、特許法第35条に定められる「契約、勤務規則その他の定め」により、主に「職務発明について使用者等に特許を受ける権利を取得させ」るとともに、従業員が受ける権利を有することになる「相当の利益」についての定めを行うこと(職務発明規程を整備すること)に関するものです。
職務発明は、特許法上、「その性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明」と定義されます。
自社の従業員が行った発明について特許出願を行う場合、または行う可能性がある場合は、職務発明規程を設けておくことが重要です。特に、自社の従業員の発明について特許を受ける権利を会社側(使用者等)に取得させる代わりに、従業員が受ける権利を有することになる「相当の利益」についての定めを行うことが重要です。この定めがないか、定めの内容が不合理である場合には、特許法第35条第7項が適用されることになります。特許法第35条第7項が適用される場合に、裁判上で「相当の利益」の金額がどのように認定されるのかは予測困難な面があり、会社としてリスクを負うことになります。
職務発明規程の範疇を超えて、広く、自社において行われる知的財産活動に対する、従業員への報奨制度の在り方を検討することも重要です。経営戦略における、知的財産活動の位置付け・期待する効果(何を効果と捉えるのか)を踏まえて、報奨制度を定めるとよいでしょう。
下記の事例には、報奨制度の在り方のいくつかの例が示されています。
上記の様々な取り決めを踏まえて、取り決めが実際に機能するように、組織体制・業務フロー・書式のそれぞれを整備することも、検討することになります。各種の整備の実際については、参考情報として挙げられている、公的機関から提供されている情報が参考になります。
●参考テーマ
・5621…体制作り
職務発明規定や報奨制度を定めることに伴い、自社の組織体制・業務フロー・書式のそれぞれを整備する場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.12-22
株式会社ニッコー
「開発・特許出願に至るプロセスで貢献した社員には、特許取得の有無にかかわらず一定の報奨金を出している。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.41-49
株式会社エルム
「特許を取ったというだけでなく、その成果が売上につながってはじめて発明者に還元される仕組みにしている。特許の報奨金は売上の1%。
ノウハウとして秘匿管理する場合には、賞与などで配慮。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.107-113
大丸産業株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「大企業から知財(特許・製造ノウハウ等)・人材・商標などを譲り受けて事業を行っている。
社内の開発者から、次世代の技術者のためにも、発明を促進する一環として、職務発明規程の見直しをするべきとの意見があり、社長も支持した。弁理士からは、従業員が対価について自由に述べる機会が必要であり、その記録を残すことが大事であるなどの説明があった。以上を踏まえて、職務発明規程を作成することになった。」
●参考情報
・職務発明制度について
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/shokumu/index.html
・中小企業等の皆様へ 〜職務発明規程の導入〜
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/shokumu/shokumu_cyusyou.html
・中小企業経営者のための職務発明制度改正対応の手引
2016年9月 東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/shokumu/rmepal0000020rdc-att/shokumu_zentai.pdf
・ASEANに関する知的財産に関する情報
日本貿易振興機構(JETRO)
https://www.jetro.go.jp/world/asia/asean/ip.html
タイ・ベトナム・インドネシアの技術ライセンス契約・共同研究開発契約・職務発明契約のひな形がある。
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
主として、支援者向けのコンテンツです。
中小企業に対して
知的財産戦略を含む支援を行う一連の流れが
示されています。
しかしながら、
企業内で自ら経営課題を検討する際にも
この資料が提示する手法は参考になります。
p.44
「発明者の人数が多い企業や技術者の入れ替わりが多い企業では、権利の帰属や対価の問題などが顕在化するリスクが高くなりやすい。職務発明規程を設けていない場合は留意が必要である。」
p.45
「ノウハウを差異化要因とする企業(例えば、受託生産型の企業、サービス系の企業)では、職務発明規程に基づく報奨制度は社員のやる気を引き出すのに不十分であるおそれがある。こうした企業のなかには独自のアイデア提案制度を持っている企業がある。」
●相談先
・知財総合支援窓口
工業所有権情報・研修館(INPIT)
知的財産が関係する相談先の第一候補です。
https://chizai-portal.inpit.go.jp/
1646特許権取得目的の明確化
●テーマ名(詳細版)
特許出願する場合の権利取得目的の明確化
権利化する発明の特定
●テーマの説明
このテーマは、特許出願を行う際に、経営戦略における、当該特許出願(、または、権利取得後の特許権)の位置付け・目的・期待する効果を予め明確にしておくことに関するものです。知的財産活動全体についても、経営戦略における位置付け・期待する効果を明確にしておくことは大事ですが、個々の特許出願についても、改めて、同様のことを検討しておくことは有益です。
特許権を取得する目的は、法律上定められた権利を確保することのみならず、法律で定められた権利自体ではないものの、自社の経営に実質的に及ぼす効果を利用することでもあり得ます。
・法律上定められた権利等
法律上定められた権利の代表的な例は、特許権を侵害する第三者の行為を差し止める差止請求権と、特許権を侵害した第三者に賠償を請求する損害賠償請求権があります。また、特許権を根拠とする契約として、第三者と実施権(専用実施権・通常実施権など)を設定する(見返りとしてライセンス料の支払いを受ける)こともありえます。
・経営に実質的に及ぼす効果
法的に定められた権利自体ではないものの、自社の経営に実質的に及ぼす効果は、様々なものがあります。このような効果として、例えば、自社の特許権の取得により、顧客・取引先・提携先から自社の技術力に対する信用や信頼を得ることが挙げられます。この場合は、必ずしも自社の特許網により他社の参入を阻止するというスキーム(自社の特許網により独占排他的地位を確保するというスキーム)に拘ることはなく、特許出願する数も少なくすむことがありえます。また、(特許出願ではなく論文の公開という形でもよいことですが、)他社による権利化を阻止するための先行文献の提供という目的で、特許出願を行うケースもあります。
・目的に応じた対応
特許出願のそれぞれに対する目的により、権利化に至るまでの自社の対応も変わることがあります。例えば、基本特許として上位概念のままで権利化を目指す特許出願と、製品や実施例レベルの権利を確保することを目的としているため下位概念による権利化でも差し支えない特許出願とでは、出願時・出願後の自社の対応も異なります。具体的には、特許出願のそれぞれに対する目的に応じて、特許出願毎に、特許権の権利範囲を示す特許請求の範囲(請求項)に記載する発明(技術的思想)を何にするか、発明特定事項として何を記載して何を記載しないかを明確にすることを検討します。
特許出願の目的に応じて、自社の特許出願の数に影響があります。一般には、法律上定められた権利により独占排他的地位を確保することを目的とした場合は、必要な特許出願数が多くなる傾向にあります。
●参考テーマ
・0616…経営戦略・ビジネスモデルの構築
特許出願の目的を明確にするに際して、経営戦略・ビジネスモデルの検討を行う場合。
・5101、5601、5606、5116、5131…経営戦略上の知財活動の位置付け・期待する波及効果の検討
特許出願の目的を明確にするに際して、当該特許出願を介した知的財産に関する活動の位置付け・期待する波及効果を検討する場合。
・1651…知財の取得・維持のためのコストの時系列見積もり
特許出願の目的を明確にして、目指す特許出願数を明確にしたことを踏まえて、知財の取得・維持のためのコストを見積もる場合か。
●事例
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.82
株式会社ササキコーポレーション
「出願は、権利化・防衛・牽制という目的別にルール化されている。」
1651知財の取得維持のコスト
●テーマ名(詳細版)
知財の取得・維持のためのコストの時系列見積もり
特許権を取得するコストと、特許権を取らないことによるリスクの比較検討
特許庁に支払う料金の減免
●テーマの説明
このテーマは、知的財産権の取得のための費用(コスト)を見積もることに関するものです。経営における活動では、費用(コスト)と効果の関係を比較検討することが常であるところ、知的財産活動においても同様です。比較検討の結果として、知的財産活動をどのようにするか(例えば、知的財産権の取得を行うか否か)を判断することになります。
・費用(コスト)の見積もり
知的財産活動のうち、特許等の出願や権利化の費用(コスト)は、事前に見積もりやすいです。
経営戦略における知的財産活動全体や個々の出願(特許出願など)の位置付け・目的・期待する効果(何を効果と捉えるか)を踏まえて、出願数を見積もることになります。一般には、独占排他的地位を確保するために特許網を構築する必要がある場合には、出願数が多くなります。しかしながら、法的な効果以外の効果を期待する場合(例えば、営業的ツールとして知的財産(特許)を用いる場合)や、一製品一特許で済む技術分野の場合は、出願数が少なくなりえます。
個々の出願に係る費用(コスト)のうち、特許庁などに支払う料金は明確です。中小企業であれば、特許庁に支払う料金に関する減免制度を利用することもできます。下記の参考情報に挙げたリンク先「2019年4月1日以降に審査請求をした案件の減免制度(新減免制度)について」をご参照ください。例えば、特許出願に関する審査請求料と、特許査定後の特許料(最初の10年分)が、中小企業の場合で半額となり、小規模企業の場合で三分の一になります。
出願を行うための業務のうち、自社が自前で行うことと、外部の専門家(弁理士など)に依頼することをどのように切り分けるのかによって、個々の出願に係る費用のうち、外部の専門家(弁理士など)などに支払う報酬を見積もることになります。ただし、出願に関して、自社が自前で行う業務の比重を高めるためには、自社における人材確保・育成や体制整備等が必要になります。
・効果の見積もり
知的財産活動のうち、特許権等を取得することによる効果(、または、特許権等を取得しないことによる危険性(リスク))の見積もりは、一律に定められたものはありません。効果の見積もりは、自社が、経営戦略における知的財産活動全体や個々の出願(特許出願など)の位置付け・目的・期待する効果(何を効果と捉えるか)を、どのように定めているかによります。
ある市場・製品に関する自社の独占排他的地位を確保することが特許網構築の目的であれば、特許網構築を行わなかった場合における、他社参入による自社の売り上げや利益の低下の見積もり(時系列的な見積もり)が、必要になります。この見積もりのためには、競合他社の動向の予測なども必要になるでしょう。
独占排他的地位を確保することが知的財産活動全体や特許出願の目的ではなく、他に目的があれば、その目的に沿った効果の見積もりをすることになります。場合によっては、すぐには金額に表せない効果であっても、自社の目的に沿ったものであれば、それで十分であると判断できることもありえます。
・費用(コスト)と効果の見積もりを踏まえた判断
このように、知的財産権の取得のための費用(コスト)と、取得による効果を見積もることで、自社の意思として、費用(コスト)をかけて、知的財産権の取得を行うか否かを判断することができます。このような判断が、翻って、経営戦略における、知的財産活動の位置付け・期待する効果(何を効果と捉えるか)を再検討する契機ともなりえます。
●参考テーマ
・1646、1666…特許出願の目的の明確化・特許出願する対象の技術を絞る検討
知的財産(特許)を取得・維持するコストの見積もりや、知的財産(特許)を取らないことによるリスクを見積もる前提として、目指す特許出願数を明確にする必要がある場合。
・0101、0131、0136、1601…市場・業界・競合他社の分析
知的財産(特許)を取らないことによるリスクを見積もる前提として、他社の動向を予測する必要がある場合。
・1671…出願がノウハウ秘匿か(一般公開か)の選択判断
ある技術やノウハウを特許出願するか、ノウハウ秘匿するか(あるいは、一般公開するか)を判断する必要がある場合。
●参考情報
・産業財産権関係料金一覧
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/hyou.html
・2019年4月1日以降に審査請求をした案件の減免制度(新減免制度)について
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/index.html
・知的財産相談・支援ポータルサイト
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/type.html
「産業財産権」の項目として、
主に特実意商の権利化に関する情報が
示されています。
「営業秘密・知財戦略」の項目や、
「海外展開の知財支援」の項目もあります。
1661特許法上の発明該当性の検討
●テーマ名(詳細版)
特許法上の発明該当性に関する検討
●テーマの説明
このテーマは、自社の経営戦略・ビジネスモデルの根幹をなす自社の強み(競争力の源泉)が、特許法上の保護対象となり得るか否かを検討することに関するものです。
特許法第2条第1項では、特許法における「発明」の定義を「自然法則を利用した技術的思想の創作(のうち高度のもの)」としており、同法第29条第1項柱書にて「発明について特許を受けることができる。」としています。つまり、特許法第2条第1項は、特許法上の保護対象となる(特許権を付与する対象となる)「発明」とは何かを定義するものです。
自社の経営戦略・ビジネスモデルの根幹をなす自社の強み(競争力の源泉)が、特許法上の「発明」として表現出来るか否かが、直ちには明らかでない(、あるいは、一見して、特許法上の「発明」として表現出来ないようにみえる)ことがあります。例えば、いわゆるビジネスモデルそのものなどです。このような場合に、特許出願をすぐに断念するのは得策ではありません。
特許出願が特許法第29条第1項柱書の要件(発明該当性要件)を満たすか否かの判断は、特許庁においては、特許法第2条第1項や、特許・実用新案審査基準や、特許・実用新案ハンドブックに沿って行われます。特許庁の実務上も、裁判例においても、発明該当性は広く認められる傾向にあります。(なお、発明該当性の有無と、進歩性(特許法第29条第2項関連)の有無は、個別に検討すべきことである点に、ご注意ください。)
自社で検討する場合には、特許・実用新案審査基準や、特許・実用新案ハンドブックを参照にするとよいでしょう。(下記の参考情報に挙げたリンクにより、審査基準やハンドブックにアクセス出来ます。)その際に、特許請求の範囲における記載ぶりによって、発明該当性が認められるか否かが左右されることもありますので注意が必要です。また、自社では判断が難しい場合などは、弁理士のうち、発明該当性の判断経験の多いひとに助言を求めることもありえます。
・ビジネスモデルと密接した特許出願における発明該当性の考え方
ビジネスモデルと密接した特許出願が特許法第29条第1項柱書の要件(発明該当性要件)を満たすためには、ほとんどの場合、特許出願の特許請求の範囲(請求項)に記載されたものが、特許法第2条に規定されている「自然法則を利用した技術的思想の創作」であると言えることが重要です。
詳しくは、特許出願が特許法第29条第1項柱書の要件(発明該当性要件)を満たすか否かは、特許出願の特許請求の範囲(請求項)に記載されたものが、特許法第29条第1項柱書に規定されている「産業上利用することができる発明」であると言えるか否かにより定まります。そして、特許法第29条第1項柱書に規定されている「発明」であると言えるか否かは、特許法第2条に規定されている「発明」の定義である「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」に当てはまるか否かにより定まります(ただし、ここでいう「高度なもの」の部分は実質的な要件とはなりません。)。
特許出願の特許請求の範囲(請求項)に記載されたものが、特許法第2条に規定されている「自然法則を利用した技術的思想の創作」であると言えるためには、特許請求の範囲(請求項)に記載されたものが、何らかの理由付けで「自然法則を利用した」ものであると言えることが必要です。(正確な規定ぶりは、下記の参考情報で挙げた特許・実用新案審査基準や特許・実用新案審査ハンドブックを参照していただくとして、)大まかに言えば、(1)制御対象や処理対象に何らかの自然法則性(自然法則の利用)がある、または、(2)制御や処理を実現するハードウェアとソフトウェアの組み合わせ(協働)に何らかの自然法則性(自然法則の利用)がある(コンピュータの単なる使用ではない)と言えれば、発明該当性の要件を満たすことができます。((1)が特許・実用新案審査基準の第3部第1章で扱われ、(2)が特許・実用新案ハンドブック附属書B第1章で扱われています。)
ビジネスモデルと密接した特許出願の場合、上記の(1)を満たすことができるケースは少なく、多くは、上記(2)を満たすように、特許請求の範囲(請求項)、明細書、及び、図面を記載することになります。
●参考テーマ
・0616…経営戦略・ビジネスモデルの構築
経営戦略・ビジネスモデルの構築を検討することにより、他社に利用されたくない自社の強み(競争力の源泉)を明確にする必要がある場合。
●参考情報
・特許・実用新案審査基準
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/index.html
特許庁審査官はこの基準を踏まえて
特許出願の審査を行うことになっています。
・特許・実用新案審査基準 発明該当性及び産業上の利用可能性
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/03_0100.pdf
・特許・実用新案審査ハンドバック
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/index.html
特許・実用新案審査基準とセットで
運用されます。
事実上、
特許・実用新案審査基準の一部
のような扱いです。
・特許・実用新案ハンドブック 附属書B 第1章 コンピューアソフトウェア関連発明
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/document/index/app_b1.pdf
1666特許出願対象の技術を絞る検討
●テーマ名(詳細版)
公開不可避の技術のうち、特許出願する対象の技術を絞る検討
●テーマの説明
このテーマは、性質上、対外的に公開不可避である技術のうち、特許出願する対象となる技術を絞ることに関するものです。このことにより、特許出願に関する効率性を高めることができます。
自社の強み(競争力の源泉)のなかには、自社の事業活動に伴い、対外的に内容が明らかになることが不可避なものもあります。対外的に内容が明らかになる前に、特許出願をしたいと思うところです。しかしながら、自社の予算の都合上、網羅的に特許出願を行うことが困難となることがありえます。また、自社の予算内で網羅的に特許出願が出来るとしても、特許出願に関する活動の効率性が低くなる恐れもあります。
そこで、自社が有する(あるいは今後獲得する)技術のうち、いずれの技術を特許出願の対象とするかを検討することになります。
この検討に際しては、自社の経営戦略・ビジネスモデルの根幹は何であるのか(何が利益の源泉であるのか)を確認することと、経営戦略における、特許出願のそれぞれの位置付け・目的・期待する利益は何であるのかを確認することが、望ましいです。例えば、自社製品のうち、消耗品の販売が利益の源泉となるのであれば、当該消耗品に特許出願を集中させるといった判断も出来ます。
自社が特許を取得した場合に、当該特許を回避した代替品を他社が提供しうるかという観点も、特許出願するか否かの判断材料になります。代替品がありうる場合は特許出願する効果は薄いです。
自社が特許を取得した場合に、特許権侵害を発見しやすいかという観点も、特許出願するか否かの判断材料となります。例えば、物を生産する方法に関する発明については、物を検証しても生産に用いられた方法が分からないのであれば、特許権侵害を発見しにくいと言えます。特許になったときに特許権侵害を発見しやすい発明を優先的に特許出願することが望ましいです。
●参考テーマ
・0616…経営戦略・ビジネスモデルの構築
経営戦略・ビジネスモデルを検討することにより、特許出願する対象の技術を絞る検討を行うのに必要な判断材料を得たい場合。
・1646…特許出願の目的の明確化
特許出願の目的を明確にすることにより、特許出願する対象の技術を絞る検討を行うのに必要な判断材料を得たい場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.41-49
株式会社エルム
「機械装置に関して特許を取っても、回避する手段はいくらでもあることが多い。
シンプルなものほど特許を回避することが難しい。
複雑な構造に関する特許は回避されやすい。
効果の高い部分を狙ったピンポイントによる特許出願の戦略をとっている。」
1671出願かノウハウ秘匿かの選択判断
●テーマ名(詳細版)
出願かノウハウ秘匿か(一般公開か)の選択判断
●テーマの説明
このテーマは、自社の事業を行っていく上で、自社が有する(あるいは今後獲得する)技術やノウハウの内容を公開するか否かを制御できる場合において、当該技術やノウハウを特許出願するか(特許出願すると原則一年半経過後に出願公開されます。)、秘匿するかを判断することに関するものです。(なお、自社の経営戦略次第では、一部の技術の内容を単に一般公開するということもありえます。)
特許出願と秘匿のいずれを選択するかの判断に際しては、以下に示しますことに加えて、下記の事例や参考情報を参考にするとよいでしょう。
・判断における考慮事項
自社において特許出願と秘匿のいずれを選択するかの判断を行う際には、様々な点を考慮することになります。まずは、特許出願と秘匿のそれぞれの一般論的なメリットとデメリットを把握しておいたほうがよいです。そのような一般論に加えて、自社の経営戦略・ビジネスモデルをどのように構築するか(何を利益の源泉にするか)の認識や、経営戦略における、知的財産活動の位置付け・期待する効果(何を効果と捉えるか)の認識や、経営戦略における、個々の技術(あるいは、当該技術のための特許出願)の位置付け・目的・期待する効果や、自社が特許出願にかけられる費用(コスト)の大きさ(予算)を考慮することになります。
・解析技術の進歩への配慮
自社の事業を行っていく上で、必ずしも対外的に露見しない技術やノウハウは、特許出願せずに、原則的に秘匿するという選択を行うこともあるでしょう。
ただし、解析技術の進歩により、昔は秘匿できたノウハウであっても、最新技術で解析されてしまうこともありえます。その場合は秘匿していたことによる効果は失われます。このようなリスク要因は配慮したほうがよいです。
・後発他社による独自開発への対策
技術やノウハウを特許出願せずに秘匿する選択をした場合には、自社における営業秘密管理に不備がなくても、他社が独自に同じ技術やノウハウを開発するに至ることもあり得ます。さらに、(自社は秘匿しているゆえ、当該技術やノウハウの特許法上の新規性等は失われていませんので、)他社が、独自開発した技術やノウハウについて特許出願し特許権を取得する可能性があります。その場合には、後発である他社が特許権を取得するという事態も生じ得ます。このことを考慮して、自社としては、(1)秘匿したいところではあるが敢えて特許出願するか、(2)秘匿しつつ、先使用権を証明するための証拠の確保を行う、といった対応が考えられます。
●参考テーマ
・0616…経営戦略・ビジネスモデルの構築
出願か秘匿かの検討に際して、経営戦略・ビジネスモデルの検討を行う場合。
・1646…特許出願の目的
出願か秘匿かの検討に際して、出願するとした場合の目的の検討を行う場合。
・5101、5601、5606、5116、5131…経営戦略上の知財活動の位置付け・期待する波及効果の検討
出願か秘匿かの検討に際して、知的財産に関する活動の位置付け・期待する波及効果を検討する場合。
・1651…知財の取得・維持のためのコストの時系列見積もり、特許権を取得するコストと、特許権を取らないことによるリスクの比較検討
出願か秘匿かの検討に際して、知財の取得・維持のためのコストと特許(知的財産)を取らないことによるリスクの比較検討を行う場合。
・3126…先使用権確保のための証拠保全
ノウハウ等の秘匿を選択する場合であって、他社によるノウハウ等の後発的な独自開発に備える場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.33-40
田川産業株式会社
「ノウハウ秘匿するものと特許にするものとの区別が難しいものは、弁理士に相談している。
シンプルなところを特許で抑えて、ノウハウと併せて二重の防御にしている。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.41-49
株式会社エルム
「特許とノウハウの両面で他社の参入を阻むことができている。
重要な部品は物理的に分解できないように工夫するなど。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.93-99
鍋屋バイテック株式会社
「知財が製品の形に表現されるもの、権利行使ができるものは、特許を出願している。
製造技術は基本的に特許出願せず、ノウハウとして保持している。(例外あり)」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.84-91
ナミックス株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「以前は、出願はせずノウハウによる保護を行う方針だった。しかし近年の分析技術の進展等により、ノウハウ秘匿による保護の効果が薄れてしまった。そのため、出願による権利化を進めていくべく方向転換を行った。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.121-127
アーベル・システムズ株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「半導体の設計あるいは応用技術を収入源としてるファブレス指向の企業である。収入源としては、特許開示収入、開発業務支援収入、OEM供給事業収入がほぼ同額である。半導体の設計・応用技術とは別に、いくつかの要素技術も所有している。
他社にライセンスしない技術は、コア技術・自社実施技術として、完全なノウハウ温存・ブラックボックス化が望ましい。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
pp.68-69
ミツカワ株式会社
「リバースエンジニアリングで分かってしまうものは極力権利化し、そうでないものはノウハウとして温存・蓄積(秘匿)するよう、権利化とノウハウの両輪で、知的財産活動を進めている。」
●参考情報
・中小企業経営者のためのノウハウの戦略的管理マニュアル
不正競争防止法による営業秘密の保護 及び 先使用権制度の活用について
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/knowhow/knowhow_all.pdf
・西川喜裕,”知的財産戦略における権利化と秘匿化の選択”
https://www.inpit.go.jp/content/100644635.pdf
・鈴木英明、小田哲明,”ノウハウの保護戦略に関するフレームワーク”,2012-3,日本MOT学会
http://www.js-mot.org/journal/pdf/548_54.pdf
・新井信昭,亀山秀雄,”「見える化」による発明、技術、ノウハウのリスクマネジメント”,Journal of the International Association of P2M, 2012, Vol.7, No.1, pp.31-48
https://www.jstage.jst.go.jp/article/iappmjour/7/1/7_KJ00008274675/_pdf/-char/ja
・後藤時政,樋口武尚,井上博進,”わが国中小企業の知財マネジメント診断 特許出願における資金的および人的資源の状況について”,日本経営診断学会論集,2014,14, pp.27-33
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmda/14/0/14_27/_pdf/-char/ja
・高橋政治,「ノウハウ秘匿と特許出願の選択基準およびノウハウ管理法」,現代産業選書
●相談先
・営業秘密・知財戦略相談窓口
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/tradesecret/service/
https://www.inpit.go.jp/katsuyo/tradesecret/madoguchi.html
1681知的財産の維持・放棄の検討
●テーマ名(詳細版)
特許庁に登録されている知財の維持・放棄の検討
●テーマの説明
このテーマは、自社が維持している知的財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)のそれぞれについて、今後も維持するか否かを判断することに関するものです。
特許庁に登録している知的財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)については、権利期間中は、特許庁に年毎の「年金」(特許料・登録料)を納める必要があります。特に特許権を維持するための特許料は、登録年数が長くなると、年毎に収める金額が大きくなります。
年月の経過とともに、自社をとりまく状況や、自社の経営戦略が変化することがあります。そのため、年月の経過とともに、自社が維持している知的財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)のそれぞれについて、維持しておく必要性の程度も変わることがあります。
以上のことから、定期的に、自社が維持している知的財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)のそれぞれについて、今後も維持するか否かを判断して、知的財産活動にかける費用(コスト)の使い道を適正化することが望ましいです。
●参考テーマ
・0101、0131、0136、0656、1601…市場・業界・他社・自社の状況の分析
市場・業界・他社・自社の状況を踏まえて、自社の知的財産の維持・放棄を検討する場合。
・0677、1651…知的財産管理にかけられる予算規模の検討・知的財産を取得・維持するコストの時系列見積もり
自社の財務上の状況を踏まえて、自社の知的財産の維持・放棄を検討する場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.23-32
株式会社シード
「権利を取ったとしても事業につながらないと判断すれば放棄して、事業に有効なものに資金を集中するようにしている。
自社の特許や特許出願にランク付け(3段階)をして管理している。」
●参考情報
・弁理士による知的財産価値評価パンフレット 特許編
2013年12月 弁理士会知的財産価値評価推進センター
https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/03/patent20150826.pdf
2101開発・出願前の先行技術文献調査
●テーマ名(詳細版)
研究開発前・出願前の先行技術文献調査
先行技術文献調査の代わりのパイロット出願
●テーマの説明
このテーマは、研究開発前や特許出願前などに、自社が研究開発する(または、研究開発した)技術について、先行する技術・特許出願・特許権が存在するか否かを調査すること(先行技術調査・先行技術文献調査)に関するものです。
下記の事例によれば、先行技術調査を行うタイミングを、研究開発の様々な段階にあわせて設定することもあるようです。
・先行技術調査を行う目的
先行技術を調査することは、研究開発対象の技術が特許権を取得できるか否かを予見するために行われることが多いです。また、先行技術を調査することは、業界や他社の動向を把握して、自社の研究開発の方向性を探るために行われることもあります。事前の先行技術の調査をせずに、研究開発を行った場合には、時として当該研究開発が無駄になり、自社の研究開発のための資源の浪費につながる可能性があります。
・先行技術調査の実施主体
先行技術の調査を、自社で行うことも、外部の専門家(弁理士など)に依頼することも、いずれもありえます。自社で行う場合には、先行技術の調査の手法の実践を自社の人材ができるようにする必要があります。例えば、特許情報プラットフォームJ-PlatPatを用いた検索手法は比較的容易に習得できます。
・無料の特許文献データベースもそれなりの調査が可能
特定の発明(技術)について特許出願した場合の進歩性の有無を調べたいときに行うタイプの特許文献の調査であれば、無料で利用できる特許文献データベースでもそれなりのことが可能です。(なお、特定の技術分野における特許出願の動向を調べるタイプの特許文献の調査の場合は、市販の特許(知財)分析ソフトウェアを用いるか、自前の特許(知財)分析用データベースを構築することになる可能性が高いです。参考テーマの項目に挙げた5641のテーマ「データベース・知財分析ソフト」をご参照ください。)
・特許情報プラットフォームJ-PlatPat
日本語を利用できる無料の特許文献データベースとしては、日本国特許庁が管轄する工業所有権情報・研修館(INPIT)の特許情報プラットフォームJ-PlatPat(URLはこのテーマの参考情報の項目に掲載しています。)のものがよく知られています。J-PlatPatのマニュアル(URLはこのテーマの参考情報の項目に掲載しています。)もウェブ上で公開されています。
J-PlatPatの特許・実用新案検索においては、用語や出願人名といった検索キーのほかに、特許文献を技術内容で分類したものとして、国際特許分類IPC、(IPCをさらに細分化した日本国特許庁独自の分類である)ファイル・インデックスFI、Fタームを検索キーとして用いることが出来ます。IPC、FI、Fタームの詳細については、J-PlatPat内の特許・実用新案分類照会(PMGS)(URLはこのテーマの参考情報の項目に掲載しています。)にて調べることが出来ます。
・高度検索閲覧用機器(審査官端末)の利用
日本国特許庁の審査官・審判官や、先行技術文献調査の外注先である登録調査機関の調査員のための特許文献データベースを、高度検索閲覧用機器(審査官端末)を用いて利用することが出来ます。現状では、特許庁庁舎2階(令和4年(2022年)2月21日から4階)の公報閲覧室と、工業所有権情報・研修館近畿統括本部(INPIT関西)の高度検索用端末利用室にて、高度検索閲覧用機器(審査官端末)が公開されています。詳しくは、このテーマの参考情報の項目に示すURLの先の情報をご確認ください。審査官と同様の先行技術文献調査が可能ですので、特にJ-PlatPatよりも精度の高い先行技術文献調査を行いたいときには、高度検索閲覧用機器(審査官端末)を利用するという選択肢を検討することになるでしょう。なお、高度検索閲覧用機器(審査官端末)の利用は無料であり、印刷等はモノクロ1枚10円です。
・欧州特許庁(EPO)の特許文献データベース
英語で検索出来る特許文献データベースで、かつ、世界の特許文献を検索できるものとしては、EspacenetのPatent searchのAdvanced search(URLはこのテーマの参考情報の項目に掲載しています。)のものが知られています。外国での特許出願を調べる際や、ある特許出願のパテントファミリ(同じ技術(発明)の内容の特許出願を複数の国に行った場合の一群の出願)を調べる際に利用出来ます。検索キーとして、国際特許分類IPCをさらに細分化した分類であるCooperative Patent Classification(CPC)を用いることが出来ます。(なお、米国特許商標庁USPTOも特許文献データベースを公開していますが、Espacenetのほうが利用しやすいと思われます。)
・先行技術文献調査(特に、特許文献の調査)の際の留意点
先行技術文献調査(特に、特許文献の調査)を行う際に留意する点は多々あります。例えば、このテーマの参考情報の項目に挙げています「検索エキスパート研修(上級)テキスト 第四版 先行技術文献調査実務」や「INPITテキスト 調査業務実施者育成研修 検索の考え方と報告書の作成」をご参照ください。(なお、これらのテキストには、高度検索閲覧用機器(審査官端末)の使い方への言及もあります。)あるいは、特許審査や審判の経験のある弁理士に尋ねてみてもよいでしょう。
先行技術文献調査(特に、特許文献の調査)において留意する点を敢えて挙げるとすれば、以下のことを指摘出来ます。
第一に、どういう構成(発明特定事項)の技術(発明)を探そうとしているのかを踏まえて、漏れの少ない(そして、ノイズの少ない)検索式を立てることです。
例えば、技術(発明)の構成(発明特定事項)に関する観点について、観点Aと観点Bと観点Cを兼ね備えた技術(発明)に関する特許出願を探す場合には、観点Aと観点Bと観点Cのかけ算の検索式を立てることが基本となります。さらに、それぞれの観点について、同義語(場合によっては類義語)の漏れが少ないようにして、和積の検索式を立てます。
仮に、観点Aに対応する同義語(または、IPC・FI・Fタームなどの検索キー)がaとa'とa''で、観点Bに対する同義語(または、IPC・FI・Fタームなどの検索キー)がbとb'で、観点Cに対する同義語(または、IPC・FI・Fタームなどの検索キー)がcとc'とc''とc'''であれば、[a+a'+a'']*[b+b']*[c+c'+c''+c''']といった形式の検索式を立てます。(なお、ここでは単純な積による検索式を示しましたが、語の間の距離(例えば、用語aと用語bの間に挟まっている文字数)の上限を条件として指定する近傍検索もあり得ます。)
第二に、特許文献を探す範囲の設定を狭くし過ぎないことです。前述のような検索式を立てる際に、探す範囲を全く指定しないと、検索式によるヒット件数が多すぎる(ノイズが乗りすぎる)ことがあります。その場合には、IPC、FI、Fタームあるいはテーマ(IPCの一定の範囲やFタームの集合などの技術分野を示すものとして日本国特許庁で設定したもの。)といった検索キーによって探す範囲を予め限定した上で、その探す範囲のなかで検索式による検索を行うことが多いのです。その際に、探す範囲が狭すぎると、見つけるべき先行技術文献を発見出来ない恐れがあります。
例えば、探そうとする特許出願が、製品の要素技術に関する技術分野と、製品全体としての用途に関する技術分野の両方に関係しそうなときに、一方の技術分野だけを先行技術文献調査における探す範囲に設定すると、見つけるべき先行技術文献が発見出来ないことがあり得ます。
第三に、特許出願に付与されている検索キー(日本の場合には、IPC、FI、テーマ、Fターム)の正確性を過信しないことです。現実問題として、上記の検索キーを付与する作業において、付与漏れや付与間違いがあり得ます。そのことを踏まえた検索式の立て方や、探す範囲の設定が望まれます。
第四に、特定の発明(技術)について特許出願した場合の進歩性の有無を調べたいときには、複数の引用例(先行技術文献)に記載された引用発明(先行技術)の組み合わせにより、特定の発明(技術)についての進歩性が否定され得ないか、という観点を持つことです。その際に、組み合わせの態様は、自社において発明(技術)を想到した際の思考の道筋と同じであるとは限らない点に注意が必要です。(なお、複数の引用例(先行技術文献)に記載された内容を機械的に組み合わせれば、特定の発明(技術)と同様であるようにみえても、それだけで、特定の発明(技術)についての進歩性が必ず否定されるとは限りません。)
第五に、特定の発明(技術)について特許出願した場合の進歩性の有無を調べたいときには、先行技術文献調査で発見した、引用例(先行技術文献)に記載された発明(技術)をそのまま捉えるだけでなく、その発明(技術)から読み取れる技術的思想の上位概念も頭に置くことです。特定の発明(技術)についての進歩性の有無の検討の際には、引用例(先行技術文献)に記載された発明(技術)の捉え方には柔軟性が必要です。
・先行技術調査による進歩性判断の限界
先行技術の調査を行う際に注意したい点は、先行技術の調査によって得られた、特許権を取得できるか否かの予見は、必ずしも確度が高くないということです。仮に、先行技術として認識するものが同じであったとしても、技術者の進歩性判断の相場観(技術者が認識する先行技術と検討対象技術の類似度や、技術者が認識する検討対象技術の革新性の程度)は、審査官・審判官・裁判官の進歩性判断(特許法第29条第2項で規定される進歩性の有無に関する判断)と必ずしも同じではありません。(弁理士のうち、審査官・審判官の経験のないひとが予見を示す場合であっても、同様の問題はありえます。)そのため、特許権は取れないと予見した技術が、仮に特許出願していたら特許権を取得できるものであったであろうケースや、その逆のケースがあり得ます。
また、先行技術の調査を行うことにより、全ての先行技術を把握できる保証はありません。そのため、後になって、先行技術が新たに発見されることもあります。
以上のような、先行技術の調査の限界を認識しつつ、先行技術の調査を行うことが望まれます。
・先行技術調査を公的機関に行わせる裏技
裏技的な手ですが、先行技術の調査を必要とする技術内容について必要最小限のことを記載した書類による特許出願(仮に、「パイロット出願」といいます。)を行うことにより、先行技術の調査を事実上、日本や欧州の審査官に行わせる手法も考えられます。そのためには、特許出願の体を為す必要最小限の特許出願書類を、低費用(低コスト)で作成できることが必要となります。
通常の特許出願であるパイロット出願を日本国特許庁に行うのであれば、出願と同時に早期審査請求を行うことにより、ほとんどのケースで出願公開前に、日本国特許庁の審査官による特許法第29条第2項で規定される進歩性の有無の判断が得られます。英語による国際特許出願であるパイロット出願を行い、国際調査機関ISAとして欧州を指定するのであれば、原則として出願公開前に、欧州特許庁の審査官による先行技術の調査と進歩性の判断が得られます。
場合によっては、審査官の判断を得た後に、パイロット出願を取り下げることにより、パイロット出願の内容が公開されないようにすることが可能です。
民間で先行技術の調査を行うこととパイロット出願を行うことの費用対効果の比較検討結果によっては、このような裏技的な手もとりえます。
●参考テーマ
・0136、1601…技術分析・技術動向調査・知財マクロ分析・知財セミマクロ分析
先行技術文献調査として、特許文献や、特許文献以外の文献(論文など)を調査する場合。
・5641…データベース・知財分析ソフト
市販の特許(知財)分析ソフトウェアの導入や、自前の特許(知財)分析用データベースの構築を検討する場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.85-92
株式会社ナミックス
「先行技術の有無の検討がされるようになっている。
どう特許化するかを念頭において、特許のイメージを先につくり、さらにクレームをイメージして検証しながら開発するような取り組みができてきている。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.16-17
株式会社アクロス
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「基礎技術開発・アプリケーション開発の両段階(それぞれの開発を企画した段階)において、「開発に成功した場合にマーケットを主導できるか」という点について調査・分析を行った。そのために最初に行うべき実務手法が「特許調査」であった。
類似した技術内容の特許が出願されていなければ、技術開発を進めるとともに特許出願を積極的に行う判断になる。改良発明が生まれた場合も、改良発明が新製品のマーケット・コントロールに寄与するならば、権利化が望まれる。
類似した技術内容の特許が出願されていれば、仮に開発に成功しても、他社特許との抵触調整を強いられる。この場合は、クロスライセンス等の策がある場合を除いて、事業撤退も視野に入る。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
pp.76-77
株式会社東和電機製作所
「営業部が吸収してきた顧客ニーズを製品企画と開発に落とし込む際に、営業統括部長が先行技術などを調査する体制をとっている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.82
株式会社ササキコーポレーション
「商品企画から量産に至るまでの製品開発プロセスの節々で、知的財産担当者による先行技術調査情報が設計担当と共有化される。企画段階で特許性が見いだせないものは製品化されることはない。」
●参考情報
・特許情報プラットフォームJ-PlatPat
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
特実意商の公報検索ができます。
・特許・実用新案検索
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0100
・特許・実用新案分類照会(PMGS)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101
・改訂版J-PlatPatマニュアル
平成31年4月23日 工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://www.inpit.go.jp/j_platpat_info/manual/new.html
・高度検索閲覧用機器による閲覧
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://www.inpit.go.jp/data/koho/s_tanmatu.html
・「高度検索用端末利用室」を使った効率的な公報情報の検索閲覧
工業所有権情報・研修館近畿統括本部(INPIT関西)
https://www.inpit.go.jp/kinki/services.html#anchor2
・検索エキスパート研修(上級)テキスト 第四版
先行技術文献調査実務
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://www.inpit.go.jp/content/100646413.pdf
・INPITテキスト 調査業務実施者育成研修 検索の考え方と報告書の作成
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://www.inpit.go.jp/content/100798506.pdf
・EspacenetのPatent searchのAdvanced search
European Patent Office(欧州特許庁)
https://worldwide.espacenet.com/advancedSearch?locale=en_EP
・Cooperative Patent Classification
EPO(欧州特許庁)及びUSPTO(米国特許商標庁)
https://www.cooperativepatentclassification.org/
EPO(欧州特許庁)及びUSPTO(米国特許商標庁)における特許文献の分類であるCPCの一覧があります。
・角渕由英,「侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ 〜特許調査のセオリー〜」,現代産業選書
●相談先
・先行技術文献調査サービス
工業所有権協力センター(IPCC)
https://www.ipcc.or.jp/business/specific/
2106特許(実用新案登録)出願書類の作成
●テーマ名(詳細版)
特許(実用新案登録)出願書類の作成
●テーマの説明
このテーマは、特許出願または実用新案登録出願を行う場合に、出願に必要な書類を作成することに関するものです。出願に必要な書類は、少なくとも、願書、明細書、特許請求の範囲、(必要であれば)図面、要約書です。
・書類作成の役割分担
出願に必要な書類の作成は、自社が自前で行うことも可能ですし、外部の専門家(弁理士)に依頼することも可能です。また、自前で行う部分と外部に依頼する部分の比率は、自社の事情に合わせて調整することになります。
・方式的要件
出願する書類に求められる方式的な要件(例えば、ファイルの形式)は、下記の参考情報で挙げた公的機関が提供する情報を参考にするとよいでしょう。または、特許情報プラットフォームJ-Platpatにて、今までに公開されている公開特許公報等や、実際に提出された書類を、参考にすることもできます。
・実体的要件
出願する書類に求められる実体的な要件も、下記の参考情報で挙げた公的機関が提供する情報を参考にするとよいでしょう。考慮したほうがよい要件に対応する条文としては、特許法第2条、第17条、第17条の2、第29条、第29条の2、第30条、第32条、第36条、第36条の2、第37条、第38条、第39条、第41条、第42条、第44条、第46条、第46条の2、第49条、第50条、第53条、第121条、第159条、第162条、第163条、第164条が挙げられます。特に、特許法第2条、第17条の2、第29条、第29条の2、第30条、第36条、第39条、第50条、第53条、第121条の規定は、実務上実際に問題となりやすいものです。多分に専門的な面がありますので、必要に応じて、外部の専門家(弁理士)の助言や見解を得るとよいでしょう。
・実用新案出願について
実用新案登録出願については、実用新案登録の対象が「考案であって物品の形状、構造又は組合せに係るもの」(実用新案法第3条第1項柱書)に限定されています。つまり、方法そのものについては、実用新案登録の対象とはなりません。
●参考テーマ
・2111…特許請求の範囲と明細書等のバランスの検討
特許出願の書類作成において、出願目的に合致しつつ、かつ、必要十分な書類作成を行うことを希望する場合。
・1661…特許法上の発明該当性に関する検討
特許出願の書類作成において、特許法上の発明該当性要件を満たす書類作成に留意する必要がある場合。(特に、いわゆるビジネスモデル特許の出願の場合。)
・2126、2131…特許または実用新案登録の出願
出願手続に際して、特許事務所に一任するのではなく、自社で行う部分があると想定される場合。
●参考情報
・各種申請書類一覧
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/search/result/10939.html?event=FE0006
・知的財産相談・支援ポータルサイト
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/type.html
主に特実意商の権利化に関する情報が
示されています。
「営業秘密・知財戦略」の項目や、
「海外展開の知財支援」の項目もあります。
・出願(特許)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/index.html
・特許出願書類の書き方ガイド 書面による出願手続について
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://www.inpit.go.jp/blob/archives/pdf/patent.pdf
・実用新案登録出願書類書き方ガイド 書面による出願手続について
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/content/files/web_jitsuyou2020.pdf
・基準・便覧・ガイドライン(特許・実用新案)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/index.html
・特許・実用新案審査基準
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/index.html
特許庁審査官はこの基準を踏まえて
特許出願の審査を行うことになっています。
・特許・実用新案審査ハンドブック
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/index.html
特許・実用新案審査基準とセットで
運用されます。
事実上、
特許・実用新案審査基準の一部
のような扱いです。
・後藤時政,樋口武尚,井上博進,”わが国中小企業の知財マネジメント診断 特許出願における資金的および人的資源の状況について”,日本経営診断学会論集,2014,14, pp.27-33
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmda/14/0/14_27/_pdf/-char/ja
2111請求の範囲と明細書等のバランス
●テーマ名(詳細版)
特許請求の範囲と明細書等のバランスの検討
●テーマの説明
このテーマは、特許出願に必要な書類のうちの、特許請求の範囲、明細書、図面の作成の際に、適正化された書類作成を行うことに関するものです。
・書類作成に当たって両立すべき目標
特許出願を行うに際しては、「特許法上の要件を満たすこと」、「自社の目的に沿った特許権を取得すること」、「出願公開による情報の開示は必要最小限にとどめること」、「書類作成の金銭的・時間的コストを抑えること」を念頭に、書類作成の適正化を行うことが望ましいです。その際に、特許請求の範囲に記載する内容と、明細書及び図面に記載する内容と、この両者の内容の対応関係・バランスに注意を払うことになります。
・特許法上の実体的要件
特許法上の要件としては、特に、特許請求の範囲に関する要件である、「発明該当性要件(特許法第29条第1項柱書)」、「明確性要件(特許法第36条第6項第2号)」と、特許請求の範囲と明細書等(明細書及び図面)の関係に関する要件である、「サポート要件(特許法第36条第6項第1号)」、「委任省令要件(技術上の意義)(特許法第36条第4項第1号、特許法施行規則第24条の2)」、「実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)」が重要です。これらの特許法上の要件を満たすという制約の範囲内で、「自社の目的に沿った特許権を取得すること」、「出願公開による情報の開示は必要最小限にとどめること」、「書類作成の金銭的・時間的コストを抑えること」を目指して、明細書、特許請求の範囲、図面を作成することになります。
・書類作成手法の双方向性
実際の書類作成にあたっては、特許権の権利範囲を示す特許請求の範囲をどのように記載したいかということを、明細書及び図面の記載ぶりに反映するトップダウンの方向性と、発明の実施例等を示す明細書及び図面にどのようなことを記載することになりそうかということを、特許請求の範囲の記載ぶりに反映するボトムアップの方向性の、互いに逆方向の2つの方向性で検討することになるでしょう。
・明細書及び図面の記載の詳細さの程度
明細書及び図面の記載の詳細さは、あくまでも、特許請求の範囲により表現される発明(特許権を取得しようとする発明)に対応して定めるべきものです。
「実施可能要件」(特許法第36条第4項第1号)」に関してありがちな誤解は、技術者として最終製品レベルを作り上げることが出来る程度に詳細な設計仕様を、明細書及び図面に記載しなければならない、と思うことです。しかしながら、これでは、技術やノウハウの不必要な流出になりかねません。つまりは、「出願公開による情報の開示は必要最小限にとどめること」という目的からはずれることになります。また、明細書及び図面の記載があまりに詳細であると、「書類作成の金銭的・時間的コストを抑えること」という目的からもはずれることになります。
逆に、技術流出を恐れるあまり、明細書及び図面の記載が足りない状況であると、上記で挙げた特許法上の要件を満たさず、特許権を取得できないこともありえます。このように、明細書及び図面の記載が短ければ短いほどよいというほど単純な話でもありません。
つまりは、特許請求の範囲と、明細書等(明細書及び図面)は、正しい対応関係を確保しながら、記載する必要があります。
・資料及び外部専門家
以上のことは、自社が自前で検討することが可能です。その場合は、「特許・実用新案審査基準」や、「特許・実用新案審査ハンドブック」を十分に吟味した上で、書類作成に取りかかる必要があるでしょう。
外部の専門家(弁理士)の助言・見解を得ることも有益です。特に、弁理士のうち、審査官・審判官として十分な経験があるひとであって、自社の技術分野に近い分野の経験があるひとから、助言・見解を得ることが有益であると考えられます。
●参考テーマ
・2106…特許または実用新案登録の出願書類の作成
出願書類の作成手順全般を確認する必要がある場合。
●参考情報
・特許・実用新案審査基準 (特に第U部第1章と第2章)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/index.html
特許庁審査官はこの基準を踏まえて
特許出願の審査を行うことになっています。
・特許・実用新案審査ハンドブック
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/index.html
特許・実用新案審査基準とセットで
運用されます。
事実上、
特許・実用新案審査基準の一部
のような扱いです。
2116意匠登録出願書類の作成
●テーマ名(詳細版)
意匠登録出願書類の作成
●テーマの説明
このテーマは、意匠登録出願を行う場合に、必要な書類を作成することに関するものです。
出願に必要な書類の作成は、自社が自前で行うことも可能ですし、外部の専門家(弁理士)に依頼することも可能です。
出願する書類に求められる方式的な要件(例えば、ファイルの形式)は、下記の参考情報で挙げた公的機関が提供する情報を参考にするとよいでしょう。または、特許情報プラットフォームJ-PlatPatにて、今までの意匠公報等や、実際に提出された書類を、参考にすることもできます。
●参考テーマ
・2136…意匠登録出願
出願手続に際して、特許事務所に一任するのではなく、自社で行う部分があると想定される場合。
●参考情報
・各種申請書類一覧
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/search/result/10939.html?event=FE0006
・知的財産相談・支援ポータルサイト
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/type.html
「産業財産権」の項目として、
主に特実意商の権利化に関する情報が
示されています。
「営業秘密・知財戦略」の項目や、
「海外展開の知財支援」の項目もあります。
・出願(意匠)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/design/shutugan/index.html
・意匠登録出願書類の書き方ガイド 書面による出願手続について
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/content/files/web_ishou2020.pdf
・基準・便覧・ガイドライン(意匠)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/design/index.html
・意匠審査基準
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/design/shinsa_kijun/index.html
2121商標登録出願書類の作成
●テーマ名(詳細版)
商標登録出願書類の作成
●テーマの説明
このテーマは、商標登録出願を行う場合に、必要な書類を作成することに関するものです。
出願に必要な書類の作成は、自社が自前で行うことも可能ですし、外部の専門家(弁理士)に依頼することも可能です。
出願する書類に求められる方式的な要件(例えば、ファイルの形式)は、下記の参考情報で挙げた公的機関が提供する情報を参考にするとよいでしょう。または、特許情報プラットフォームJ-PlatPatにて、今までの公開商標公報・商標公報等や、実際に提出された書類を、参考にすることもできます。
●参考テーマ
・2141…商標登録出願
出願手続に際して、特許事務所に一任するのではなく、自社で行う部分があると想定される場合。
●参考情報
・各種申請書類一覧
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/search/result/10939.html?event=FE0006
・知的財産相談・支援ポータルサイト
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/type.html
「産業財産権」の項目として、
主に特実意商の権利化に関する情報が
示されています。
「営業秘密・知財戦略」の項目や、
「海外展開の知財支援」の項目もあります。
・出願(商標)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shutugan/index.html
・商標登録出願書類の書き方ガイド 書面による出願手続について
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/content/files/web_shouhyou2020.pdf
・基準・便覧・ガイドライン(商標)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/index.html
・商標審査基準
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun/index.html
2126特許出願(自社直接を含む)
●テーマ名(詳細版)
特許出願(自社直接、または、特許事務所経由)
●テーマの説明
このテーマは、特許出願の手続を特許庁に対して行うことに関するものです。
弁理士等を代理人として出願する場合であれば、出願手続は弁理士等に依頼することになります。
自社が自前で特許庁に直接出願することもできます。その場合は、下記の参考情報に示されている、電子出願ソフト等の扱いについて習得した上で、電子出願することが通常です。なお、紙ベースで出願手続を行うことも可能ですが、紙ベースで出願手続を行う場合、電子化手数料が別途必要になることがあります。
なお、特許出願が完了するまでは、出願書類に記載された情報のうち、秘密にすべき情報の管理は厳重に行うことが必要です。(特許法第30条による新規性喪失の例外規定もありますが、情報管理には注意が必要です。)
●参考テーマ
・2146…早期の権利化
出願するに際して、早期に権利化したい事情がある場合。
●参考情報
・出願(特許)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/index.html
・電子出願ソフトサポートサイト
特許庁
http://www.pcinfo.jpo.go.jp/site/
特許事務所に任せずに、
企業が自ら特許庁宛てに出願する際に
活用します。
・書面で手続する場合の電子化手数料について
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/madoguchi/tetuzuki/denshika.html
・弁理士の費用(報酬)について
日本弁理士会
https://www.jpaa.or.jp/howto-request/attorneyfee/
・後藤時政,樋口武尚,井上博進,”わが国中小企業の知財マネジメント診断 特許出願における資金的および人的資源の状況について”,日本経営診断学会論集,2014,14, pp.27-33
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmda/14/0/14_27/_pdf/-char/ja
2131実用新案登録出願(直接を含む)
●テーマ名(詳細版)
実用新案登録出願(自社直接、または、特許事務所経由)
●テーマの説明
このテーマは、実用新案登録出願の手続を特許庁に対して行うことに関するものです。
弁理士等を代理人として出願する場合であれば、出願手続は弁理士等に依頼することになります。
自社が自前で特許庁に直接出願することもできます。その場合は、下記の参考情報に示されている、電子出願ソフト等の扱いについて習得した上で、電子出願することが通常です。なお、紙ベースで出願手続を行うことも可能ですが、紙ベースで出願手続を行う場合、電子化手数料が別途必要になることがあります。
なお、実用新案登録出願が完了するまでは、出願書類に記載された情報のうち、秘密にすべき情報の管理は厳重に行うことが必要です。(実用新案法第11条第1項で準用する特許法第30条による新規性喪失の例外規定もありますが、情報管理には注意が必要です。)
・実用新案登録出願のメリットとデメリット
特許出願に比べて、実用新案出願は、費用(コスト)が安いこと、登録前の実体審査がないので登録されないリスクが少ないことといったメリットがあります。
その反面、第三者が自社の実用新案権の権利侵害を行っていると疑われるときに、実用新案技術評価書を提示して警告した後でなければ、権利行使ができないこと、特許法第103条のような権利侵害者の過失の推定規定が実用新案権にはないこと、方法そのものについては権利を取得できないこと、権利期間が特許よりは短いこと、といったデメリットがあります。
また、実用新案権は実体審査を経ずに登録されますので、紛争が生じた際に、実用新案権は無効になるリスクが(特許権よりも)高いです。
●事例
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.121-127
アーベル・システムズ株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「半導体の設計あるいは応用技術を収入源としてるファブレス指向の企業である。収入源としては、特許開示収入、開発業務支援収入、OEM供給事業収入がほぼ同額である。半導体の設計・応用技術とは別に、いくつかの要素技術も所有している。
特許出願に比べて、実用新案出願は、費用の安さ、登録前の実体審査の不存在の点でメリットがある。そのため、特許出願に加え、実用新案出願も選択肢としてありうる。」
●参考情報
・出願(実用新案)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/utility/shutugan/index.html
・電子出願ソフトサポートサイト
特許庁
http://www.pcinfo.jpo.go.jp/site/
特許事務所に任せずに、
企業が自ら特許庁宛てに出願する際に
活用します。
・書面で手続する場合の電子化手数料について
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/madoguchi/tetuzuki/denshika.html
・弁理士の費用(報酬)について
日本弁理士会
https://www.jpaa.or.jp/howto-request/attorneyfee/
2136意匠登録出願(自社直接を含む)
●テーマ名(詳細版)
意匠登録出願(自社直接、または、特許事務所経由)
●テーマの説明
このテーマは、意匠登録出願の手続を特許庁に対して行うことに関するものです。
弁理士等を代理人として出願する場合であれば、出願手続は弁理士等に依頼することになります。
自社が自前で特許庁に直接出願することもできます。その場合は、下記の参考情報に示されている、電子出願ソフト等の扱いについて習得した上で、電子出願することが通常です。なお、紙ベースで出願手続を行うことも可能ですが、紙ベースで出願手続を行う場合、電子化手数料が別途必要になることがあります。
なお、意匠登録出願が完了するまでは、出願書類に記載された情報のうち、秘密にすべき情報の管理は厳重に行うことが必要です。(意匠法第4条による新規性喪失の例外規定もありますが、情報管理には注意が必要です。)
●参考テーマ
・2146…早期の権利化
出願するに際して、早期に権利化したい事情がある場合。
●参考情報
・出願(意匠)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/design/shutugan/index.html
・電子出願ソフトサポートサイト
特許庁
http://www.pcinfo.jpo.go.jp/site/
特許事務所に任せずに、
企業が自ら特許庁宛てに出願する際に
活用します。
・書面で手続する場合の電子化手数料について
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/madoguchi/tetuzuki/denshika.html
・弁理士の費用(報酬)について
日本弁理士会
https://www.jpaa.or.jp/howto-request/attorneyfee/
2141商標登録出願(自社直接を含む)
●テーマ名(詳細版)
商標登録出願(自社直接、または、特許事務所経由)
●テーマの説明
このテーマは、商標登録出願の手続を特許庁に対して行うことに関するものです。
弁理士等を代理人として出願する場合であれば、出願手続は弁理士等に依頼することになります。
自社が自前で特許庁に直接出願することもできます。その場合は、下記の参考情報に示されている、電子出願ソフト等の扱いについて習得した上で、電子出願することが通常です。なお、紙ベースで出願手続を行うことも可能ですが、紙ベースで出願手続を行う場合、電子化手数料が別途必要になることがあります。
・商標登録出願前の秘密管理の留意点
商標登録出願を行う際においても、出願前の出願内容の秘密管理には注意が必要です。出願前に出願内容が公知になれば、原則として権利を取ることが出来なくなる特許出願や意匠登録出願ほどではないにせよ、商標登録出願も、出願内容が出願前に漏れることは極力避けたほうがよいでしょう。具体的には、商標法第4条第1項には「次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。」と規定され、同法同条同項第11号に「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定されています。つまり、先に出願された商標登録出願に係る登録商標(商標権)があると、その登録商標(商標権)の存在ゆえに、後から出願された商標登録出願は商標登録を受けることが出来ないリスクを負うことになります。基本的には、対外的な情報発信を行う前に商標登録出願も済ませておくことが無難です。
●参考テーマ
・2146…早期の権利化
出願するに際して、早期に権利化したい事情がある場合。
●参考情報
・出願(商標)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shutugan/index.html
・電子出願ソフトサポートサイト
特許庁
http://www.pcinfo.jpo.go.jp/site/
特許事務所に任せずに、
企業が自ら特許庁宛てに出願する際に
活用します。
・書面で手続する場合の電子化手数料について
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/madoguchi/tetuzuki/denshika.html
・弁理士の費用(報酬)について
日本弁理士会
https://www.jpaa.or.jp/howto-request/attorneyfee/
2146早期の権利化
●テーマ名(詳細版)
早期の権利化
●テーマの説明
このテーマは、特許庁に出願したものを、審査官や審判官に早期に審査・審理してもらうことに関するものです。昔に比べれば、最近は、審査官や審判官による審査・審理の着手時期は早まっています。それでもなお、自社の事業上の都合により、より早期に審査・審理を行ってもらいたいことがありえます。
特許法第48条の6には優先審査の規定がありますが、この規定が適用されるための要件は厳しいです。そこで、特許庁は、法律上の規定としてではなく庁における運用として、早期審査制度・早期審理制度を導入しています。早期審査・早期審理の適用についても、一定の要件を満たす必要がありますが、要件を満たすようにすることは比較的容易です。なお、早期審査・早期審理を請求する際に、特許庁に支払う料金は原則として発生しません。(通常の審査請求料・審判請求料は別途納付が必要です。)
●参考情報
・早期審査について(特許)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/index.html
・早期審査について(意匠)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/design/shinsa/soki/index.html
・早期審査について(商標)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/soki/index.html
・電子出願ソフトサポートサイト
特許庁
http://www.pcinfo.jpo.go.jp/site/
特許事務所に任せずに、
企業が自ら特許庁宛てに出願する際に
活用します。
2156特許庁からの通知に対する応答
●テーマ名(詳細版)
特許庁からの通知に対する応答
拒絶査定不服審判請求
審決取消訴訟
知財に関する期限管理
●テーマの説明
このテーマは、特許庁に出願(特許出願・意匠登録出願・商標登録出願)した後、特許庁から通知があったときに応答を行うことに関するものです。
特許庁からの通知には大きく分けて、方式審査(審理)に伴う通知と、実体審査(審理)に伴う通知があります。
・方式審査(審理)対応と期限管理
方式審査(審理)に伴う通知に対する正しい応答内容はほぼ決まっていますので、間違えずに応答することが大事です。その際、応答期限の管理には注意が必要です。
・実体審査(審理)対応
実体審査(審理)に伴う通知に対しては、応答する際に提出する書類の種類はほぼ決まっているものの、書類に記載する内容には、自社(出願人)の意向が強く反映されます。
例えば、特許出願において、審査官から拒絶理由通知が行われた場合に、出願人としては指定期間内に意見書や手続補正書を提出することになるのが通常です。ここで、意見書における出願人の主張や、手続補正書における補正内容(特に、特許請求の範囲の記載の補正内容)は、出願人がその特許出願をどのようにしたいかに応じて定まることになります。その際には、自社(出願人)における、経営戦略・知的財産活動の経営上の位置付けや期待する効果(何を効果と捉えるのか)・その特許出願の経営上の位置付けや目的や期待する効果などを、総合的に考慮することになるでしょう。
・分割出願の検討
特許出願における出願後の対応として、適時に、特許法第44条で規定される分割出願を行うことも、選択肢に入れておいたほうがよいでしょう。特に、その特許出願が自社(出願人)にとって重要な出願であるほど、分割出願の是非を考慮することは重要です。本来は、特許法第37条違反(単一性要件違反)の旨の拒絶理由通知を受けたときに、単一性を満たさないとされた部分を、別の出願(分割出願)にする、という対応の仕方をするのが、典型的です。しかしながら、実際には、分割出願の制度は、特許網を構築するために戦略的に用いられることも多いです。
・審判と裁判
拒絶理由通知の後に、さらに、審査官から拒絶査定を受けた場合には、拒絶査定不服審判を請求する選択肢があります。また、拒絶査定不服審判でも請求不成立審決(拒絶審決、Z審決)を受けた場合には、知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起することができます。審査官は単独審であるため、恣意的な運用をしていないとしても、出願毎・審査官毎に判断にブレが生じるのはありうることです。そのため、自社にとって特に重要な出願の場合は、審判や裁判も辞さないという判断があり得ます。
・外部専門家への依頼等
特許庁から通知があったときの応答は、専門性が高い面があり、外部の専門家(弁理士)に依頼するか、少なくとも、外部の専門家(弁理士)の助言や見解を得ることが無難であることが多いです。それでも、自社に、知的財産に関する人材・知識・体制が整っていれば、自社が自前で対応することも可能です。
●事例
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp. 26-27, 128-137
ふくはうちテクノロジー株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「特許出願の一つ一つに対して「メンテナンス戦略」を策定した。その特許出願が、どの程度のレベルで権利化できるかを予測し、今後、どのような方針・タイミングで明細書の補正を特許事務所に依頼し、どの部分を分割出願するように特許事務所に連絡するべきか等の具合的な戦略プランを策定した。」
●参考情報
・各種申請書類一覧
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/search/result/10939.html?event=FE0006
・基準・便覧・ガイドライン
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/index.html
・お助けサイト 〜通知を受け取った方へ〜
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/basic/otasuke-n/
各種出願について
特許庁側から何らかの通知があったときに
参考になる情報があります。
・知的財産相談・支援ポータルサイト
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/type.html
「産業財産権」の項目として、
主に特実意商の権利化に関する情報が
示されています。
「営業秘密・知財戦略」の項目や、
「海外展開の知財支援」の項目もあります。
・制度・手続(審判)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/index.html
2176外国への出願・国毎の知財対応
●テーマ名(詳細版)
外国への出願
外国の国毎の知財対応の検討
●テーマの説明
このテーマは、外国へ出願(特許・意匠・商標)を行うことに関するものです。特許・意匠・商標といった権利は、国毎に付与されるものです。そのため、自社の事業が外国に関わる場合には、その外国においても権利の取得を検討することになります。
・外国情報の収集
外国へ出願する際には、国毎の社会、市場、業界、法制度、法の実効性(特に知的財産権に関する権利行使の実効性)などの情報を集めることが大事です。下記の参考情報や相談先を適宜活用するとよいでしょう。
・費用対効果の検討
外国への出願する際には、国内での出願以上に費用(コスト)が嵩みがちです。そのため、費用対効果を勘案して、出願の可否などを判断することになります。ここでも、何を「効果」と捉えるかについては、自社の経営戦略、経営上の知的財産活動の位置付け・期待する効果、その出願の経営上の位置付け・目的・期待する効果が関係します。
・権利意識の高い国への対応
下記の事例によれば、権利意識の高い国々において事業を行う場合には、自社が知的財産権(例えば、特許権)を有していることが重要です。現地パートナー探しにも影響があるようです。
・特許に代えて意匠という例
中小企業においては、知的財産権の権利行使の実効性が弱い国などには、特許出願に代えて(費用が相対的に安価で、権利侵害がされているかわかりやすい)意匠登録出願を行う事例があるようです。
●参考テーマ
・0121、2181…外国関連
外国に出願するに際して、情報収集や援助制度の調査を行いたい場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング
〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月
特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.23-32
株式会社シード
「意匠も重視。
特許の実効性が定かでない発展途上国などでは、模倣していることがわかりやすい意匠のほうが効果的。
意匠は特許よりも取得コストが抑えられる。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.41-49
株式会社エルム
「外国でパートナーを求めると必ず、特許を取っているかを確認される。欧米では特許がないと相手にされない。外国では権利に敏感。
自社の出願に対して、外国では競合他社からアクションを起こされることがよくある。
模倣品が出ないような特許の取り方をしっかり考えることが重要。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月
特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.93-99
鍋屋バイテック株式会社
「欧州や米国で製品を販売する際には知財で保護することが不可欠であるが、特許は費用がかかり、権利を守るという点でも盲点がある。そのため、新製品は意匠で抑える戦略をとっている。社名、略称、ロゴの商標は主要国で登録している。」
●参考情報
・外国知的財産権情報
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/index.html
・新興国等知財情報データバンク
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://www.globalipdb.inpit.go.jp/
・中小企業の海外への特許出願を行う場合の注意事項 知財経営の視点から
パテント, Vol.72, No.6, pp.104-110, (2019)
https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3249
・海外知財訴訟費用保険制度
全国中小企業団体中央会
https://www.chuokai.or.jp/insu/chizai-insu_about.htm
・知的財産権保護の情報
日本貿易振興機構(JETRO)
https://www.jetro.go.jp/themetop/ip/
・ASEANに関する知的財産に関する情報
日本貿易振興機構(JETRO)
https://www.jetro.go.jp/world/asia/asean/ip.html
タイ・ベトナム・インドネシアの技術ライセンス契約・共同研究開発契約・職務発明契約のひな形があります。
・知財総合支援窓口の知財ポータルの「よくあるご相談」
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://chizai-portal.inpit.go.jp/faq/
●相談先
・知財総合支援窓口
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://chizai-portal.inpit.go.jp/
知的財産が関係する相談先の第一候補です。
・海外展開知財支援窓口
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/gippd/service/
2181外国への出願に対する援助制度
●テーマ名(詳細版)
外国への出願に対する援助制度の利用
●テーマの説明
このテーマは、外国へ出願(特許・意匠・商標)に関連して、公的機関からの援助を得ることに関するものです。下記の参考情報が示すように、各種の支援がありますので、活用するとよいでしょう。なお、支援への応募が可能である期間が限定されていることがありますので、注意が必要です。
●参考情報
・中小企業等外国出願支援事業
中小企業庁、特許庁、日本貿易振興機構(JETRO)
https://seido-navi.mirasapo-plus.go.jp/supports/789
・外国出願費用の助成(中小企業等外国出願支援事業)
日本貿易振興機構(JETRO)
https://www.jetro.go.jp/services/ip_service_overseas_appli.html
・中小企業等海外侵害対策支援事業
特許庁
https://www.jpo.go.jp/support/chusho/shien_kaigaishingai.html
・令和3年度中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金
(中小企業等海外侵害対策支援事業)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/support/chusho/shien_gaikokusyutugan.html
https://www.jpo.go.jp/support/chusho/document/shien_kaigaishingai/pamph16.pdf
・中小企業のための模倣品・冒認出願対策セミナー
(動画)
日本貿易振興機構(JETRO)
https://www.jetro.go.jp/biz/seminar/2020/dba6eacfc7788d2d
2601半導体回路配置法による保護
●テーマ名(詳細版)
半導体回路配置法による保護
●テーマの説明
このテーマは、回路配置利用権を登録することに関するものです。半導体集積回路に関する創作を行う場合に検討することになるでしょう。なお、回路配置利用権をとることと、特許出願を行うことの両方を行うことも可能です。
●参考情報
・ソフトウェア情報センター(SOFTIC)
(回路配置利用権登録の登録機関)
2606種苗法による保護
●テーマ名(詳細版)
種苗法による保護
●テーマの説明
このテーマは、植物の新品種の育成者権を登録することに関するものです。保護対象となるものは、栽培される全植物及び政令で指定されたきのこです。
●参考情報
・品種登録ホームページ
農林水産省
http://www.hinshu2.maff.go.jp/
3101営業秘密管理(ノウハウ秘匿)
●テーマ名(詳細版)
営業秘密管理(ノウハウ以外も含む)
ノウハウ秘匿管理
秘密保持のためのシステム構築
ライセンシングとともに、ノウハウを開示する場合における秘密保持
退職者による技術・ノウハウ流出防止
自社の情報の開示・不開示の制御
ノウハウの技術化・マニュアル作成
技術・ノウハウの承継
●テーマの説明
このテーマは、営業秘密(技術的なノウハウも含む)の管理を行うことに関するものです。自社の経営戦略において、対外的に公開しないと定めたものは秘密が保持されるように適切に管理する必要があります。また、不正競争防止法において営業秘密として保護されるためには、秘密管理性・有用性・非公知性の三要件を満たすことが必要とされており、やはり「秘密管理性」を担保することが重要です。
営業秘密の管理のための規程や体制の整備については、下記の参考情報に示される情報を参考にするとよいでしょう。また、下記の相談先に相談することも可能です。(なお、下記の参考情報のひとつには、スタートアップのベンチャー企業のケースでは、営業秘密管理規程の早期の導入が、社員間の信頼関係に与える影響を考慮すべき場合がある旨の指摘があります。このあたりは、ケースバイケースな面もありそうです。)
営業秘密の取り扱いでは、以下のような、様々なケースの検討が必要になることがありえます。
・ライセンス付与に伴うノウハウ開示
自社と他社の間で特許権等の実施権(ライセンス)の付与が行われる場合には、それに伴い、秘匿されていたノウハウの開示もありえます。その場合に、そのノウハウの取り扱いを適切に行うことが必要となります。企業間の提携中に、第三者にノウハウが漏洩することがあれば、致命的な信用問題となりかねません。
・退職者による営業秘密の流出防止
退職者が営業秘密を持ち出さないように、事前に対策を行うことが望ましいです。例えば、就業時に守秘義務についての契約をすることや、営業秘密を持ち出せないシステム構築を検討することが挙げられます。
・対外的な情報開示の制御
他社と関わる際や、対外的な広報を行う際において、自社の情報のうち、どの時期に誰にどの情報まで開示してよいのかを明確にしておくことが望ましいです。そうでないと、意図しない秘密漏洩が起こる可能性があります。大企業との交渉時や、情報提供を要求された時や、工場見学等を要求された時には、特に注意が必要です。
・ノウハウの技術化・マニュアル作成
自社のノウハウ・技能が属人的なものである場合、そのノウハウ・技能を、自社のものとして確実に定着させる対策をとることが望ましいです。例えば、ノウハウ・技能を、より客観的に表現できるようにし明文化する「技術化」・「マニュアル作成」を検討することになるでしょう。
・ノウハウの承継
ノウハウ・技能の承継も重要な課題です。ノウハウ・技能の承継は、上記の「技術化」や「マニュアル作成」で対応できる部分と、人から人に地道に承継させる手順を踏む部分がありえます。ノウハウ・技能を有する従業員等が退職する際に慌てることにならないように、事前準備が重要です。
●参考テーマ
・3126…先使用権確保のための証拠保全
秘匿する対象(例えば、技術・ノウハウ)を、他社が独自に開発して特許出願に至る危険性がある場合。
・4116…他社との契約における注意点
他社と秘密保持契約を行う場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.93-99
鍋屋バイテック株式会社
「製造装置を自社で開発・内製している。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp. 26-27, 128-137
ふくはうちテクノロジー株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「知的財産戦略の策定を実効性のあるものとして自社内に定着させるために、営業秘密管理体制の整備(各種規定・マニュアル策定等)を行った。
規程やマニュアルの策定、運用、監査まで行うもの。
他社から持ち込まれる営業秘密の取り扱いも厳密に規制しているので、大企業側にとっても技術提携先としての安心感を得られると考えられる。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.28-29, 73-83
株式会社オプナス
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「「営業秘密管理規程の策定」「情報管理マニュアルの策定」を行った。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.107-113
大丸産業株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「大企業から知財(特許・製造ノウハウ等)・人材・商標などを譲り受けて事業を行っている。
自社が有するノウハウを強く認識したことを踏まえて、ノウハウ管理規程を作成した。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.72
テフコ青森株式会社
「本社で一括して製造することで、品質の管理を行い、製造ノウハウの散逸を防いでいる。」
●参考情報
・営業秘密・知財戦略相談窓口
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/tradesecret/service/
・中小企業経営者のためのノウハウの戦略的管理マニュアル
不正競争防止法による営業秘密の保護 及び 先使用権制度の活用について
東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/knowhow/knowhow_all.pdf
・不正競争防止法
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/index.html
・営業秘密 〜営業秘密を守り活用する〜
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html
・営業秘密管理指針
平成15年1月30日 最終改訂平成31年1月23日
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/guideline/h31ts.pdf
・秘密情報の保護ハンドブック 企業価値向上に向けて
平成28年2月
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/full.pdf
・【参考資料1-6】秘密情報の保護ハンドブック
〜企業価値向上にむけて〜
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/reference1-6.pdf
・各種契約書等の参考例
(情報管理規定、秘密保持契約、製造請負契約、業務委託契約、共同研究開発契約)
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/reference2.pdf
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/word/reference-2_word.docx
・秘密情報の保護ハンドブックのてびき
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/170607_hbtebiki.pdf
・「営業秘密」を管理して会社を守り、強くしよう!
経済産業省 協力:(独)中小企業基盤整備機構
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/sonota/eigyou_himitu.pdf
・高橋政治,「ノウハウ秘匿と特許出願の選択基準およびノウハウ管理法」,現代産業選書
・野中帝二,安部純一(富士通総研),”組織における知の継承 知の継承における五つの誤解”,tokugikon,no.268, 2013.01.28
http://www.tokugikon.jp/gikonshi/268/268tokusyu2-3.pdf
・野中帝二,安部純一,白石一洋,”技術・技能伝承への取組み”,FRIコンサルティング最前線,Vol.1, pp.138-143, 2008
https://www.fujitsu.com/downloads/JP/archive/imgjp/group/fri/service/case/BA_3.pdf
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
主として、支援者向けのコンテンツです。
中小企業に対して
知的財産戦略を含む支援を行う一連の流れが
示されています。
しかしながら、
企業内で自ら経営課題を検討する際にも
この資料が提示する手法は参考になります。
p.45
「スタートアップのベンチャー企業のように、営業秘密管理規程を守ることを重視するより、社員間の信頼関係を重視することを優先すべき時期もあり、営業秘密管理規程の導入のタイミングには留意が必要である。」
●相談先
・営業秘密・知財戦略相談窓口
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/tradesecret/service/
https://www.inpit.go.jp/katsuyo/tradesecret/madoguchi.html
3126先使用権確保のための証拠保全
●テーマ名(詳細版)
先使用権確保のための証拠保全
●テーマの説明
このテーマは、ある技術やノウハウ等について、特許出願等を行うという選択肢は取らずに、秘匿するという判断を行った場合に、自社が先使用権を有することの証拠を残すことに関するものです。先使用権とは、特許法第79条(実用新案法第26条で準用する場合も含む。)や意匠法第29条で規定されるものです。技術やノウハウ等について秘匿した場合に、他社が後発的に独自に同じものを開発する可能性があります。その他社が特許出願等を行って、特許権等を取得すると、時期的に後発の他社が特許権等を保有するという状況がありえます。その状況であっても、先発である自社は先使用権を有します。しかしながら、裁判では、先使用権を有することの証拠が必要となるので、予め、先使用権を有することの証拠を保全しておくことが勧められます。
先使用権を有することの証拠を残すことを検討するに際して、下記の参考情報で示される情報は参考になるでしょう。また、下記の相談先に相談することも出来ます。
●参考テーマ
・3101…営業秘密管理
先使用権の根拠となる技術・ノウハウの秘密性を適切に維持することを検討する場合。
●参考情報
・先使用権制度について
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/senshiyo/index.html
・中小企業経営者のためのノウハウの戦略的管理マニュアル
不正競争防止法による営業秘密の保護 及び 先使用権制度の活用について
東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/knowhow/knowhow_all.pdf
・先使用権制度の円滑な活用に向けて −戦略的なノウハウ管理のために−(第2版)
平成28年5月 令和元年9月改定 特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/senshiyo/document/index/senshiyouken_2han.pdf
・高橋政治,「ノウハウ秘匿と特許出願の選択基準およびノウハウ管理法」,現代産業選書
●相談先
・営業秘密・知財戦略相談窓口
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/tradesecret/service/
https://www.inpit.go.jp/katsuyo/tradesecret/madoguchi.html
3601著作権法に関する活動
●テーマ名(詳細版)
著作権法に関する活動
●テーマの説明
このテーマは、自社が有する著作物等を著作権等で保護することに関するものです。
著作権等は、著作物等の創作により生じるものであり、本来的には何らかの登録は不要です。
一つの対象が、著作権としても、他の権利(例えば特許権)としても、保護されることがあります。例えば、プログラムやデータベースが該当します。このような場合、一方の権利が他方の権利の代替となるというわけではありません。端的に言えば、著作権は「表現」を保護するものであるのに対し、特許権は「技術的思想の創作」を保護するものであり、保護対象が一致するわけではないからです。
自社が第三者の著作権等の侵害行為を行っていないかを注意することも重要です。特許権よりも著作権等のほうが、うっかり侵害しやすい性質があります。
・ソフトウェア開発における著作権管理上の留意点
ソフトウェア開発を行い、開発したソフトウェアの使用許諾を他者に与える業務を行う場合には、ソフトウェアの著作権等の扱いには注意が必要です。使用許諾と著作権の扱いは同じではないことを認識することが大事です。
例えば、開発したソフトウェアの使用許諾を他者に与えるとともに、当該ソフトウェアの著作権等も当該他者に譲渡した場合には、自社の今後のソフトウェア開発に支障が生じることがありえます。具体的には、自社で、今までに開発したソフトウェア資源(例えば、ソースコード)を使い回して、新たなソフトウェアを開発した場合に、他者に譲渡した著作権等の侵害が成立することが想定されます。以上のような事情から、ソフトウェアの使用許諾を他者に与える契約を行う場合には、当該ソフトウェアの著作権等の取り扱いを慎重に定めることが肝要です。
・開発したソフトウェアを著作権等で保護することの限界
ソフトウェア開発を行い、開発したソフトウェアの使用許諾を他者に与える業務を行う場合に、当該ソフトウェアを著作権等のみで保護することには、一定の限界があります。
例えば、他者にソースコードは開示しないようにしつつ、当該他者にオブジェクトコードを提供した場合であっても、当該他者がリバースエンジニアリングとクリーンルーム方式を用いて、自社の著作権を侵害することを回避しつつ、当該他者が、自社のソフトウェアを実質的に参考にした新たなソフトウェア開発を行うことが可能です。ここでいう、リバースエンジニアリングとは、オブジェクトコードからソースコードを復元することです。また、クリーンルーム方式とは、オリジナルのソースコードから技術的思想を抽出することを行った後で、当該技術的思想を参考にして新たなソースコードを開発する際において、新たなソースコードを開発する者(または、組織)が、オリジナルのソースコードを参照しないようにすることです。クリーンルーム方式を採用することにより、オリジナルのソースコードに関する著作権を侵害しないことを担保します。
他者がリバースエンジニアリングとクリーンルーム方式を用いることを阻止するためには、ソフトウェアの技術的思想に関する特許権を取得しておくことが有効です。なお、自社が他者にソフトウェアを提供する際に、リバースエンジニアリング禁止条項を契約に含めることは、独占禁止法違反となる可能性が高いと言われています。
●参考情報
・著作権
文化庁
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/
3606不正競争防止法に関する活動
●テーマ名(詳細版)
不正競争防止法に関する活動
デッドコピー防止(意匠の代替)
表示の保護(商標の代替)
●テーマの説明
このテーマは、不正競争防止法に関わる事項のうち、営業秘密以外の面を検討することに関するものです。不正競争防止法では様々な行為を不正競争と規定しており、そのような不正競争によって営業上の利益を侵害された(または、侵害されるおそれがある)場合に、差止請求や損害賠償請求等を行えます。
(営業秘密に関する不正競争を除く)不正競争には、商標権侵害に類似する「周知表示混同惹起行為」(不正競争防止法第2条第1項第1号)及び「著名表示冒用行為」(不正競争防止法第2条第1項第2号)、意匠権侵害に類似する「商品形態模倣行為」(不正競争防止法第2条第1項第3号。いわゆるデッドコピー行為。)が含まれます。
自社が権利を取得していなくても、他社の不正競争により損害を受けるようなケースでは、不正競争防止法による対応を検討することがありえます。また、他社が権利を取得していなくても、自社が不正競争を行わないように注意が必要です。
●参考テーマ
・2116、2136…意匠出願関連
急場は、不正競争防止法によるデッドコピー禁止規定を利用しつつも、意匠登録出願も検討する場合。
・2121、2141…商標出願関連
不正競争防止法による表示の保護だけに頼らず、商標登録出願も検討する場合。
●参考情報
・不正競争防止法
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/index.html
4116他社との契約における注意点
●テーマ名(詳細版)
他社との契約における注意点
秘密保持契約
共同研究開発契約
独占禁止法(優越的地位の濫用)・下請法を踏まえた注意点
自社の権利に関するライセンス契約
他社の権利を導入するライセンス契約・権利移転
●テーマの説明
このテーマは、自社と他社が契約すること、より広くは、自社と他社が関わりを持つことに関するものです。自社と他社が関わりを持つ場面では、後になって思わぬ事態を招かないように注意が必要です。特に、契約を交わす場合は、契約の拘束力を認識して、より慎重になることが望まれます。
契約等に関しては、ひとつひとつの契約を丁寧に検討することと、自社が不利にならない契約となるように予め準備しておくこと(例えば、自社から契約書の様式を提示すること)が、重要です。下記の事例や参考情報を参照するとよいでしょう。例えば、下記の参考情報には、各種契約(秘密保持契約・共同研究開発契約・ライセンス契約・特許権譲渡契約を含む。)のひな形・文例が示されています。当該ひな形・文例を参考に、自社独自の契約書の様式を用意しておく手法もあります。
下記の事例では、他社との関わりの段階(フェーズ)ごとに必要になる契約を予め明確にしておくことにより、リスクの軽減を図っているようです。
契約等の妥当性については、自社における検討に加えて、外部の専門家(弁護士など)の助言や見解を得ることもできます。
・企業間の力関係に偏りがある場合
大企業である他社との関係では、力関係の偏りや、法律の知識の差を背景に、不利な取引や契約を強いられそうになる場面が想定されます。(特に、他社が定めた様式の契約書での契約を、当該他社が一方的に求めてくる場面は注意が必要です。)
その場合は特に、下記の参考情報に示される情報の検討や下記の相談先での相談、あるいは、外部の専門家(弁護士など)との相談、独占禁止法や下請法の知識・運用の確認などを最大限活用して、他社との適正な関係を築くようにしたいところです。
●参考テーマ
・0626、0631、0636、0641、1616、3101…提携・M&A・OEM・ファブレス・ライセンス・秘密保持
他社と契約する際に、契約そのもの以外にも考慮することがある場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.33-40
田川産業株式会社
「共同研究において、大企業と共同出願するという手もあると聞いたことがある。
大企業は、模倣品等が出たときの対処方法等を知っているゆえ、大企業と利害を共通にすることで、発明(特許)を守ってもらうという発想。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.41-49
株式会社エルム
「パートナー等との契約書は、細かい文言までチェックする必要がある。
契約書にコピー製品の製造を認めるような条項が入っていたら、特許権を行使できなくなる。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.59-68
株式会社ナベル
「かつて、取引のあった素材メーカーに開発を依頼した製品を競合他社に横流しされてしまったことがある。
提案型の企業として、自社技術を横展開するため、顧客との守秘義務を厳格に守ることが前提となる。例えば、ある顧客が工場に来る際には、他の顧客の製品・図面等を全て、工場の外に出すなど、万全の配慮をしている。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp. 26-27, 128-137
ふくはうちテクノロジー株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「知的財産戦略の策定を実効性のあるものとして自社内に定着させるために、法務体制の整備(契約書ひな形作成等)を行った。
過去の契約によって自社がどのような制約を受けているのかを正確に把握しておく必要がある。契約環境を図や一覧表にまとめておくことが得策である。
ここでの制約とは、例えば、自社権利を他社にライセンスする際に、独占的実施権を設定した場合に、自社の営業活動範囲が制約されることである。したがって、独占的実施権を設定するときは、将来の事業展開を予測しながら慎重に行う必要がある。
つまり、ライセンス契約は「お金」と「活動の制約」の両方を配慮する必要がある。
社外との契約関係について、契約モデルを可視化した。他社との契約関係をフェーズ毎に分析することがビジネスリスクを軽減することにつながる。フェーズ毎に、必要となる契約の種類を明確にしておく。例えば、サンプルを提供するフェーズ(最初のフェーズ)では、秘密保持契約・情報開示契約を行う。試作装置納入のフェーズ(次のフェーズ)では、研究開発委託契約・共同研究開発契約・ノウハウ実施許諾契約など目的にあった契約を締結する。装置販売のフェーズ(最後のフェーズ)では、売買契約のみならず、特許ノウハウ実施許諾契約も行う。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.107-113
大丸産業株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「大企業から知財(特許・製造ノウハウ等)・人材・商標などを譲り受けて事業を行っている。今後の事業を検討し直すにあたって、今一度、譲渡元の大企業との契約内容の確認を行った。
ただ一般には、大企業からの移転された技術は、その完成度、知的財産権の確保などの観点から考えた場合、リスク要因は比較的少ないと考えられる。
その一方で、技術を有する大企業の立場は強く、技術移転やライセンスに際して、中小企業側に不利な契約がなされるケースも多い点に注意が必要である。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.121-127
アーベル・システムズ株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「半導体の設計あるいは応用技術を収入源としてるファブレス指向の企業である。収入源としては、特許開示収入、開発業務支援収入、OEM供給事業収入がほぼ同額である。半導体の設計・応用技術とは別に、いくつかの要素技術も所有している。
(主としてノウハウについての)オプション契約の際には、将来の契約(本契約としてのライセンス契約)の道筋を考えたライセンス契約内容を明確にすることが重要である。このような契約に関しては、節目節目に専門家(弁理士や弁護士)に確認することが重要である。
非独占的通常実施権によるライセンス契約を推進する手法として、対象とする特許を公的機関に扱ってもらうことや、交渉経過・内容を透明化するために、特許流通アドバイザーなど、第三者を同席させることなども、実現性のあるものである。ライセンシーが大企業の場合でもライセンス契約締結交渉をより進めやすくなる場合もあると期待できる。
また、独占的な通常実施権の付与により高いライセンシング料を得ることも選択肢として考えられる。」
●参考情報
・知財取引に関するガイドライン
中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/chizai_guideline.html
ガイドラインでは、
「契約締結前」
「試作品製造・共同開発等」
「製造委託・製造販売・請負販売等」
「特許出願・知財権の無償譲渡・無償許諾」
の観点があります。
契約書のひな形もあります。
具体的には、
秘密保持契約書、共同開発契約書、
開発委託契約書、製造委託契約書の
ひな形があります。
・知的財産取引検討会報告書
中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/chizaitorihiki/2021/210331chizaitorihiki_report.pdf
知財取引の適正化の話題と、
中小企業による知財の活用の話題が
あります。
契約のひな形もあります。
・中小企業経営者のための技術契約マニュアル
東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター
(秘密保持、共同研究、業務委託(受託)、共同出願、実施許諾(ライセンス)、譲渡、オプション、OEM/ODM、技術指導)
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/gijutsukeiyaku/
・公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/index.html
独占禁止法・下請法に関する一連の情報が
あります。
特に、
企業間で力関係に偏りがあるときに
参考になります。
・優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方
平成22年11月30日 公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/hourei_files/yuuetsutekichii.pdf
企業間の力関係に偏りがあるときに
参考になります。
・知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針
平成28年1月21日改正 公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/chitekizaisan_files/chitekizaisangl.pdf
独占禁止法と
特許法等や著作権法との関係について
示されています。
特に、
権利行使が行われる際に、
その行為が独占禁止法違反にならないか
確認する際に、参照します。
・スタートアップとの事業提携に関する指針
(秘密保持契約・共同研究契約・ライセンス契約・契約全般)
令和3年3月29日
公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/startup.html
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/startup/startup.pdf
・共同研究開発に関する独占禁止法上の指針
平成29年6月16日改定 公正取引委員会
https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/kyodokenkyu.html
・不正競争防止法
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/index.html
・営業秘密〜営業秘密を守り活用する〜
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html
・営業秘密管理指針
平成15年1月30日 最終改訂平成31年1月23日 経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/guideline/h31ts.pdf
・秘密情報の保護ハンドブック 企業価値向上に向けて
平成28年2月 経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/full.pdf
・【参考資料1-6】秘密情報の保護ハンドブック 〜企業価値向上にむけて〜
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/reference1-6.pdf
・各種契約書等の参考例
(情報管理規定、秘密保持契約、製造請負契約、業務委託契約、共同研究開発契約)
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/reference2.pdf
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/word/reference-2_word.docx
・秘密情報の保護ハンドブックのてびき
経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/170607_hbtebiki.pdf
・下請代金支払遅延等防止法ガイドブック 知って守って下請法 〜豊富な事例で実務に役立つ〜
公正取引委員会・中小企業庁
https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/shittemamotte.pdf
企業間の力関係に偏りがあるときに
参考になります。
・技術移転とライセンシング
2011年 特許庁 (社)発明協会アジア太平洋工業所有権センター
特許権譲渡契約書・特許ライセンス契約書・ノウハウライセンス契約書・秘密保持契約書・オプション契約書の文例があります。
・ASEANに関する知的財産に関する情報
日本貿易振興機構(JETRO)
https://www.jetro.go.jp/world/asia/asean/ip.html
タイ・ベトナム・インドネシアの技術ライセンス契約・共同研究開発契約・職務発明契約のひな形があります。
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
主として、支援者向けのコンテンツです。
中小企業に対して
知的財産戦略を含む支援を行う一連の流れが
示されています。
しかしながら、
企業内で自ら経営課題を検討する際にも
この資料が提示する手法は参考になります。
p.46
「ライセンス等の契約締結において、十分に理解しないままに自社に不利な条件を飲まされてしまうことを回避するためには、相手方が提示した書式をそのまま用いるのではなく、自社が希望する標準的な条件を盛り込んだひな形を用意しておくことが望ましい。」
●相談先
・公正取引委員会
相談・届出・申告の窓口
https://www.jftc.go.jp/soudan/madoguchi/index.html
独禁法・下請法に関する相談はこちら。
・弁護士知財ネット
4131ライセンス対象の自社権利の選択
●テーマ名(詳細版)
ライセンスの客体となる自社の権利の選択上の注意点
●テーマの説明
このテーマは、自社の権利の実施権(ライセンス)を他社に付与する際に、ライセンス対象とする自社の権利を選ぶことに関するものです。
ライセンス料を確保することは知的財産権により利益を得るひとつの手法です。その反面、自社の権利による独占排他性が失われることになります。そのため、(ファブレス企業のように、ライセンス料を得ることが経営戦略・ビジネスモデルそのものである場合は除き、)なるべく、ライセンスの対象に、自社の経営戦略・ビジネスモデル上の根幹をなす、利益の源泉となる権利を含めないようにすることを、通常は検討します。ライセンス料を得られるという側面のみでなく、自社の経営戦略・ビジネスモデル全体(事業から利益を得る構造全体)に対する影響を考慮して、自社の権利の実施権(ライセンス)を他社に付与するか否かを検討することが望まれます。
●参考テーマ
・1616、4116…ライセンス
ライセンスに関する契約等の観点を検討する場合。
4601他社権利を回避・無効化
●テーマ名(詳細版)
他社の権利を自社が侵害しないようにするための行動
他社の知財の無力化のための活動
●テーマの説明
このテーマは、他社の権利を自社が侵害しないようにすることや、必要に応じて他社の権利を無力化することに関するものです。
・事前に調査して侵害を予防
まずは、自社が、他社の動向を予め調査して、他社の権利を自社が侵害する恐れを生じさせないようにすること(侵害を予防すること)が大事です。このような調査を「侵害予防調査」と呼ぶことがあります。侵害予防調査の結果を踏まえて、自社の研究開発活動を定めて、侵害を未然に防ぐことができます。
・侵害の恐れが生じたときの対応
侵害予防の措置をしてもなお、他社の権利を自社が侵害する恐れが生じた際に、自社がとりうる行動は、大きく分けて二つあります。第一に、他社の権利を変化させるか無効化して、その結果として、自社の事業・製品等・行動が他社の権利を侵害しないものとすることです。第二に、他社の権利を侵害しないように自社の事業・製品等・行動を制御(変更)するか、または、他社の権利の実施権を得る等の措置をとることです。
他社の権利が特許権で、他社の権利を変更または無効化することを目指す場合には、いくつかの手段があります。まず、他社が特許出願した後で、かつ、特許権が成立する前に、特許庁に他社の特許権成立を阻止する根拠となる先行技術文献の情報を提供することが可能です。次に、他社の特許権が成立した後であれば、特許異議申立や無効審判請求が可能です。なお、特許侵害訴訟が提起された場合には、裁判のなかで特許法第104条の3に基づく主張(特許が無効にされるべきものである旨の主張)が可能です。
他社の権利が特許権で、他社の権利を変更または無効化することが難しい場合は、他社の権利を侵害しないように、他社の権利に関係する事業への関与の回避・製品等の設計変更・他社からの実施権(ライセンス)取得・他社の権利の買い取りなどの措置を講じることがありえます。
●参考テーマ
・0151…知財ミクロ分析
他社の権利と自社の事業の法的関係を検討する場合。
・4616…他社から権利侵害の警告書等を受けたときの対応
他社から権利侵害の警告書等を受けた場合の対応内容を検討する場合。
●参考情報
・角渕由英,”侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ 〜特許調査のセオリー〜”,知財ぷりずむ,Vol.18, No.208, pp.8-38 (2020.01)
https://www.tectra.jp/akiyama-patent/wp-content/uploads/sites/2/2020/01/topics020.pdf
・角渕由英,「侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ 〜特許調査のセオリー〜」現在産業選書
4616警告書等を受けたときの対応
●テーマ名(詳細版)
他社から権利侵害の警告書等を受けたときの対応
●テーマの説明
このテーマは、他社の権利を侵害している旨の警告書等を、他社から受けた場合に対応することに関するものです。
・警告書等を受けたときは早急に対応を
警告書等を受けている状況は、場合によっては、急を要する事態となっていることもあります。例えば、特許侵害訴訟が提起された場合は、被告側のほうが時間的に切迫することが多いです。(原告側は、訴訟を提起する前に十分に準備していることが想定されます。)このことからみて、警告書等を受けた場合には、早急に、専門家(弁護士、弁理士など)に相談することが望ましいです。
・警告書等を受けたときの判断フロー
例えば、他社の特許権を自社製品が侵害している旨の警告書を受けた場合には、まず、他社の特許権が実際に有効であるかを確認します。
次に、他社の特許権を自社製品が本当に侵害しているのかを検討します。侵害しているか否かの判断は、文言侵害や均等論といった観点があり、専門性が高いです。専門家(弁理士など)の助言や見解を得ることが望ましいです。なお、侵害しているか否かの判断のために、判定制度を利用することも可能です。
ここで、他社の特許権を自社製品が侵害しているようであれば、無効審判請求などで他社の特許権を無効化するか、他社の特許権に関係する事業への関与の回避・自社製品の設計変更・他社権利の実施権(ライセンス)取得・他社からの権利の買い取りなどを検討することになります。もし自社製品のほうが時期的に先発であれば先使用権を主張することが可能です。
●参考テーマ
・0151…知財ミクロ分析
他社の権利と自社の事業の法的関係を検討する場合。
・4601…他社の知財の無力化のための活動
権利侵害の根拠とされた権利の無力化を試みる場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.85-92
株式会社ナミックス
「大手メーカーから警告を受けたときに、自社が先に商品化していたため、先使用権で解決したことがある。」
●参考情報
・知的財産相談・支援ポータルサイト
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/type.html
「産業財産権」の項目として、
主に特実意商の権利化に関する情報が
示されています。
「営業秘密・知財戦略」の項目や、
「海外展開の知財支援」の項目もあります。
・自社製品に対し、権利侵害との警告を受けた場合の対応を教えてください。
工業所有権情報・研修館(INPIT) 知的財産相談・支援ポータルサイト
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/search/result/388609.html?event=FE0006
4621他社を監視・警告・輸出入差止
●テーマ名(詳細版)
自社の権利を侵害する他社の動きの監視
自社の権利を侵害する他社の動きに対する警告等
自社の権利を侵害する物品の輸出入差止
●テーマの説明
このテーマは、自社の権利を他社が侵害することに関するものです。
・侵害されたか否かが分かりやすい権利を取得
まずは、自社の権利を他社が侵害していることを知ることができる必要があります。そのためにも、自社の権利としては、他社による侵害の有無が明確に分かりやすいものが望ましいです。
・侵害されたときの対応と注意点
自社の権利を他社が侵害している疑いをもったときの対応としては、すぐに訴えを提起することもあり得ますが、通常はまず他社に対して警告書を通知します。この際は、外部の専門家(弁護士、弁理士など)に相談することが望ましいです。
なお、権利侵害しているとの疑いのある他社にとっての取引先に、自社の権利を他社が侵害している旨を流布する行為を行うと、権利侵害ではないと裁判等で判断された場合に、不正競争防止法第2条第1項第21号違反として、逆に訴えられる恐れがあります。
・税関における輸出入差止
自社の権利を侵害している他社製品が外国から輸入される場合には、税関に対して、他社製品の輸入差し止めを申し立てることができます。輸出される場合も同様です。なお、税関による差し止めで用いやすい権利は(見た目でわかりやすい)商標権です。
●参考テーマ
・0151…知財ミクロ分析
自社の権利と他社の事業の法的関係を検討する場合。
●参考情報
・知的財産相談・支援ポータルサイト
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/type.html
「産業財産権」の項目として、
主に特実意商の権利化に関する情報が
示されています。
「営業秘密・知財戦略」の項目や、
「海外展開の知財支援」の項目もあります。
・権利侵害を発見した場合の対応について教えてください。
工業所有権情報・研修館(INPIT) 知的財産相談・支援ポータルサイト
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/search/result/388603.html?event=FE0006
・知的財産侵害物品の取締り
税関
https://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/index.htm
権利侵害品が
輸入・輸出されることを差し止めたいときに
参考になります。
・日本国税関による知的財産侵害物品の水際取締り
税関
https://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/pages/borderenforcement-jpinjp.pdf
・税関の制度紹介
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/chidan/zeikan.html
・中澤直樹,”税関の知的財産に関する水際取締り 弁理士の関与も交えて”,パテント, Vol.66, No.8, pp.62-72 (2013)
https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/201306/jpaapatent201306_062-072.pdf
5101知財活動の位置付け・効果
●テーマ名(詳細版)
経営戦略上の知財活動の位置付け・知財活動に期待する波及効果の検討
技術力・競争力の源泉・知財を意識することによる企業行動の最適化
●テーマの説明
このテーマは、自社の経営戦略における、知的財産に関する活動の位置付け・知的財産に関する活動に期待する効果をどのように設定・想定するか(何を効果と捉えるか)を検討することに関するものです。このような設定・想定を自社なりに行ってこそ、自社における知的財産に関する活動をどのような方針で行うか、どのような体制を築くか、知的財産に関する活動の評価点をどこにおくか、といった自社にとっての知的財産に関する活動の具体的な態様を適正に設計することができます。自社の経営戦略における、知的財産に関する活動の位置付け・知的財産に関する活動に期待する効果を検討する前提として、自社の経営戦略・ビジネスモデル(自社の事業において何を利益の源泉とするかの設計)を明確にしておくことが必要となるでしょう。
経営戦略における、知的財産に関する活動の位置付け・知的財産に関する活動に期待する効果としては、様々なものがありえます。特許庁に登録する知的財産権(特許権等)について法律上定められた権利(例えば、差止請求権・損害賠償請求権)を活用した効果(例えば、ある市場・製品等についての独占排他的地位の確保)だけではありません。法的に定められた権利から直接的に導き出されるものではないものの、経営戦略上における実質的な効果として、今まで多くのことが論じられてきています。下記の参考情報(事例集もあります。)に示される情報を参考にして、自社なりの検討を行うとよいでしょう。
経営戦略における、知的財産に関する活動の位置付け・期待する効果は、大きく分けて、自社の内部に向けたものと、自社以外の外部に向けたものがあります。
・自社の内部に向けた効果
知的財産に関する活動の位置付け・知的財産に関する活動に期待する効果のうち、自社の内部に向けたものとしては、少なくとも、以下のものが挙げられます。
自社における知的財産を明確化すること(場合によっては権利化のための活動をすること)により、自社内(自社の従業員間)で、自社が有する強み(競争力の源泉)の認識(あるいは、今後獲得すべき強みの認識)が確かなものになります。このことが、自社の経営戦略・ビジネスモデル(自社の事業において何を利益の源泉とするかの設計)の認識・改善につながります。また、自社をとりまく環境の状況把握にもつながるでしょう。
自社において知的財産を重視することにより、自社内(自社の従業員間)で、知的財産を生み出すことや発掘することや適正に守ることへの意識が強くなり、自社の強み(競争力の源泉)を強化することに向けて、自社内が活性化することが期待できます。また、知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)を踏まえて、自社内(自社の従業員間)での士気の向上も期待できます。
・自社以外の外部に向けた効果
知的財産に関する活動の位置付け・知的財産に関する活動に期待する効果のうち、自社以外の外部に向けたものとしては、少なくとも、以下のものが挙げられます。
まずは、既に指摘しました、知的財産権の法的権利に基づいて、ある市場・製品等についての独占排他的地位の確保を行えることです。または、多くの権利が交錯する市場や業界の場合は、独占排他的地位までは至らず、相対的な競争力を強くするまでであることもありえます。
知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)を根拠・背景として、対外的な活動を有利に行うこともできます。具体的には、営業活動や販売促進活動において、自社の強み(競争力の源泉)を宣伝材料として用いることができます。取引先・提携先との交渉や契約において、自社の強み(競争力の源泉)に基づき、主導権をとることも期待できます。また、自社の知的財産権を背景として、自社との取引について、取引先に一定の安心感を与えることもできることがあります。
知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)が明確になっていることにより、金融機関等からの融資・投資を受けやすくなることもあります。必ずしも、知的財産を担保とした融資になるとは限りませんが、通常の融資・投資においても、より有利になることが期待できます。金融機関等にとっては、融資・投資先の強み(競争力の源泉)や経営戦略・ビジネスモデル(自社の事業において何を利益の源泉とするかの設計)が明確となっていれば、融資・投資の肯定的な判断につながりやすいと期待できます。
以上で列挙したものはあくまでも例ですので、自社に即した、経営戦略における、知的財産に関する活動の位置付け・知的財産に関する活動に期待する効果(何を効果と捉えるか)を、個別具体的に見定めることが大事です。
●参考テーマ
・0616…経営戦略・ビジネスモデルの構築
経営戦略・ビジネスモデルの検討を踏まえて、知的財産に関する活動の位置付けや期待する波及効果を検討する場合。
・1646…特許出願の目的の明確化
知的財産に関する活動と、個々の特許出願について、整合がとれた企業行動をとることを配慮する場合。
・5601、5606、5116、5131…知財活動の位置付け・波及効果の各論
知的財産に関する活動の位置付け・波及効果の各論としての、士気向上・社内人材の育成や啓蒙・営業(販売促進)活動・融資(投資)受け入れについて検討する場合。
●参考情報
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル
2008年3月 特許庁
・戦略的な知的財産管理に向けて
−技術経営力を高めるために−
<知財戦略事例集>(案)
2007年4月
特許庁
・鈴木正剛,”弁理士による知財経営コンサルティング 支部研修プロジェクト”,パテント, 2010, Vol.53, No.4, pp.85-93
・平野隆之,”知財経営コンサルティング委員会の活動報告”,パテント, 2013,Vol.66,No.14, pp.84-93,
・濱田修,外4名,”弁理士の相談業務の道しるべ「知財経営コンサルティングフロー」の紹介,パテント,2014, Vol.67, No.15, pp.26-37
・丹羽匡孝,”中小企業支援における知財経営コンサルティングスキルの活用”,パテント, 2016, Vol.69, No.2, pp.44-49
・田中康子,西原広徳,”知財経営コンサルティング委員会の経営支援”,パテント, 2016,Vol.69, No,8, pp.18-27
・「中小企業の経営課題に応える知的財産活動のポイントと支援のあり方」
経済産業省関東経済産業局
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chizai/chizai_katsudo_point.html
・中小・ベンチャー起業等を支援するための特許庁のこれまでの取組み
2013年11月28日
特許庁
・知的財産戦略に関する基礎資料
2018年10月
内閣府知的財産戦略推進事務局
・中小企業の海外への特許出願を行う場合の注意事項 知財経営の視点から
パテント, Vol.72, No.6. pp.104-110, (2019)
https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3249
・公的試験研究機関知的財産管理活用ガイドブック
平成28年4月
特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/kyozai/public_research_guidebook.html
・公的試験研究機関の知的財産管理レベルチェックシート
特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/kyozai/document/public_research_guidebook/guide_99_2.pdf
・特許庁各種パンフレット一覧
特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota-info/panhu.html
・中小企業経営者のための知的財産戦略マニュアル
2019年1月
東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/manual/senryaku/rmepal000001vypy-att/senryaku_all.pdf
・支援マニュアル
(中小企業支援者向け)
中小機構
https://www.smrj.go.jp/tool/supporter/regional1/index.html
本来は、支援者向けのコンテンツです。
しかしながら、
企業内で自ら経営課題を検討する際に
参考になる検討手法が示されています。
「初期診断」のみならず、
「創業」「売上拡大」「新商品開発・販売」
「経営力・生産性向上」
「事業承継・知的資産」
といった個別の項目についても、
検討手法が示されています。
・新事業創造に資する知財戦略事例集
「共創の知財戦略」実践に向けた取り組みと課題
2021年
特許庁
https://www.jpo.go.jp/support/example/document/chizai_senryaku_2021/chizai_senryaku.pdf
・経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】
2020年6月
特許庁
https://www.jpo.go.jp/support/example/document/chizai_senryaku_2020/all.pdf
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング
〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月
特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月
特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
主として、支援者向けのコンテンツです。
中小企業に対して
知的財産戦略を含む支援を行う一連の流れが
示されています。
しかしながら、
企業内で自ら経営課題を検討する際にも
この資料が提示する手法は参考になります。
pp.13-14
「知的財産活動の効果の在り方は多様である。
従来、知的財産活動の効果というと、知的財産権の排他的効果を活かして事業を独占する、というパターンを意識しやすいが、そのイメージに固執すると知的財産活動のもつ可能性を狭めてしまうおそれがある。」
「自社における知的財産活動の経営戦略上の目的・位置付けを明確にすることが求められる。事業分野、事業環境、事業モデルや企業規模などが異なるそれぞれの企業において、抱えている経営課題は様々である。これに対して、知的財産活動の効果も様々であるため、それぞれの企業が抱えている経営課題に対して、知的財産活動のどのような効果を活かすことができるのか、その目的・位置付けを十分に検討することが必要である。」
p.53
「知的財産活動の経営戦略上の目的・位置付けを設定するためには、現状から経営課題を的確に把握すること、知的財産活動を実践することによって生じ得る効果を理解しておくことという2つの要素が求められる。」
p.54
「知的財産を明確化することによる効果は以下の3つ。
「無形財産を可視化する」
「無形財産を財産化する」
「創意工夫を促進して社内を活性化する」」
pp.54-55
「知的財産が外部にはたらく力を活かすことによる効果は以下の5つ。
「競合者間における競争力を強化する」
「取引者間における主導権を確保する」
「顧客の安心を保障する」
「自社の強みを顧客に伝える」
「協力関係をつなぐ」」
p.57
「技術開発やデザイン活動の結果である知的財産を、知的財産を生み出した企業の特許権・意匠権・商標権として登録すれば、その知的財産は(属人的なものではなくて)企業の財産と呼べる状態となる。(無形財産の財産化)」
pp.57-58
「知的財産活動に発明者等への報奨制度を絡めることによって、社員のやる気、創意工夫を促し、社内を活性化することが期待できる。(創意工夫を促進して社内を活性化する)
サービス業や受注生産型の製造業においては、競争力を強化するために、自社全体のレベルアップを求められるケースが多い。そのため、上記の創意工夫の促進による社内の活性化は考慮に値する。」
p.58
「知的財産が自社の強みを示すアイデンティティとなり、企業全体のモチベーションの向上に結びつくこともある。」
p.59
「知的財産権によって独自技術を囲い込むことばかりに目を奪われないことも肝要である。
市場の拡大・発展という視点から、大企業へのライセンスやOEMを行うこともありうる。
特許によって自社の強みを維持するために、技術要素だけでなくビジネスモデル全体の競争力という視点から知的財産権による保護の在り方を考えることもありうる。」
p.61
「業種によっては地域性が強く、製品・サービス・知的財産権の力だけで市場シェアを高めることが難しい場合もある。地域によって自社実施とライセンスを使い分けることもありうる。」
pp.61-62
「素材メーカーや部品メーカーでは、納品先の完成品メーカー等が、自社が購入する素材や部品に関する特許権を取得した場合、完成品メーカーが価格決定の主導権を握ることになる。シェアが高い素材メーカーや部品メーカーであっても、納品先との関係で主導権を握れるように、自社製品に関連する知的財産権を確保しておくことが必要となるケースもある。(取引者間における主導権を確保する)」
p.62
「盤石な顧客基盤を有していたとしても、自社製品が競合他社の特許を侵害していて、顧客に侵害警告等が行われてしまった場合、強みであるはずの顧客との信頼関係に大きなダメージが生じてしまうおそれがある。自社が顧客に提供する製品に活かされている知的財産について、的確に権利を取得しておくことが、紛争リスクへの有効な対策になる。(顧客の安心を保障する)」
p.63
「中小企業が知的財産権を根拠に自社だけで市場をコントロールしようとすると、経営資源の制約から市場そのものの成長が妨げられることや、予期せぬ経営リスクが顕在化してしまうことがある。」
「中小企業の経営戦略において、基礎研究、量産、販売などの面での他社との連携は有力な選択肢のひとつであり、他社との協力関係の構築を目的に知的財産活動を推進すべき場合もある。(協力関係をつなぐ)」
p.64
「共同事業を進めるための核となる要素が知的財産権として明確になっていれば、その排他的効力がグループとしての競争力の基盤にもなる。また、共同事業者間において利益配分を求める際の根拠にもなる。」
p.71
「知的財産活動の目的や位置付けを関係者間に浸透させるための手法として、知的財産活動の基本方針を文書化して、社内に伝えることがある。」「知的財産活動における個々の行動の判断基準となるような指針を、できるだけ明確に示す。」
p.73
「開発重視の企業であれば、日常的な業務フローや研修などにおいて開発と一体の活動として知的財産活動を位置付ければ、知的財産活動の意義はおのずから社内の開発部門に浸透する。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
・知財金融ポータルサイト
特許庁
●相談先
・スタートアップの
知財コミュニティポータルサイト
IP BASE
特許庁
5116営業活動・販売促進活動
●テーマ名(詳細版)
技術力・競争力の源泉・知財を踏まえた営業活動・販売促進活動
技術力・競争力の源泉・知財を踏まえた取引の有利化
技術力・競争力の源泉・知財を踏まえたインターネット上の宣伝
技術力・競争力の源泉・知財を踏まえたセミナー主催等の宣伝
技術力・競争力の源泉・知財を対外的に宣伝するための資料作り
●テーマの説明
このテーマは、知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)を根拠・背景として、対外的な活動を有利に行うことに関するものです。知的財産権(特許権等)について法律上定められた権利に直接的な根拠がある効果であるとは限りませんが、自社の事業において実質的な効果を得ることができる場面があります。
・顧客(将来の顧客)への宣伝
営業活動や販売促進活動において、自社の強み(競争力の源泉)を宣伝材料として用いることが挙げられます。その際には、知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)を宣伝するための資料を作成して、営業活動や販売促進活動に活用することがありえます。また、このような営業活動や販売促進活動の一環として、インターネット上での宣伝や、セミナーを主催することによる間接的な営業活動・販売促進活動もありえるでしょう。
ここでの宣伝は、自社の製品等そのものや権利そのものに限られず、自社の技術力の高さといった上位概念も、対象となりえます。
下記の事例によれば、技術力を有することを宣伝することにより、顧客等からニーズなどの情報が集まるようになるようです。
・取引先や提携先との関係
取引先・提携先との交渉や契約において、自社の強み(競争力の源泉)に基づき、主導権をとることも期待できます。また、自社に、知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)があれば、取引や提携を模索する段階において、取引先や提携先を見つけやすくなるでしょう。
・関係者に一定の安心感
また、自社の知的財産権を背景として、関係者(顧客や取引先)に、権利侵害関係の紛争に対する一定の安心感を与えることもできます。自社の知的財産権が強ければ、他社から知的財産権関係で攻撃(訴訟・警告書等)をされる可能性が低くなります。そうであれば、関係者(顧客や取引先)が知的財産権関係の攻撃に巻き込まれる危険性(リスク)を低くできます。
ただし、例えば、自社の製品等について、自社が何らかの特許権を有しているからといって、当該自社の製品等が、他社の有する特許権を侵害していないという法的な保障はありません。
●参考テーマ
・5101…知財活動の位置付け・波及効果の総論
知的財産に関する活動の位置付け・波及効果に関する幅広い検討を行う場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.59-68
株式会社ナベル
「特許出願することは、新規なものを作ったことを外部にアピールできるという効果に期待するところが大きい。
市場の反応を見極めることもできる。例えば、特許を活かした新製品ができると、メディアにその情報を流して、記事になるかどうか等をみることができる。
特許を取得したことにより、オリジナリティを有する企業であることをアピールすることも重要である。オリジナリティを生み出す力のある企業であることが知られれば、客先から様々な情報やニーズ(相談)が集まってくる。
逆に、自社が他社の技術を活用する条件は、当該他社に技術のオリジナリティがあるかどうかである。その際、必ずしも、他社が特定の国でのみ特許を取っていることが、他社へのマイナス評価となるわけではない。オリジナリティがあるところが一番技術力(さらには、クレームに対する対応力)を持っていると信じている。
特許制度の本質は、市場を活性化することにある。市場を活性化するために、特許の活かし方としてどういうものがあるのかを考えるのが本筋である。そもそも、20年の独占排他権とはいっても、中小企業のビジネスで20年も権利が必要なものなどほとんどない。以前、取引のあった他社と、特許で問題が生じて、内容証明を送ったら、当該他社は市場から撤退した上で、取引関係も途絶してしまったことがある。闇雲に他社を排斥すればよいというものでもない。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.85-92
株式会社ナミックス
「特許保有が、自社の技術力の提示、顧客の安心感につながる。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.29, 98-106
株式会社ハルナ
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「自社のビジネスモデル・技術内容を踏まえ、コア事業に関して特許調査・分析・特許マップの作成を行い、他社との技術の差別化度合いを測定した。そして、投資家に対する知財情報の情報開示に利用する「知的財産報告書」の作成を行った。
「知的財産報告書」は、社名や製品名の知名度が低い中小企業にとって、会社案内や製品案内とは焦点を変えた情報開示ツールである。技術力の開示がビジネスチャンス拡大の契機となることを期待している。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.48-57
株式会社糖質科学研究所
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
「自社の特許のリストを自社内で活用することで、自社特許及び関連特許の状況を自社内の各自が正確に把握できるようになった。また、ライセンス先や投資家に対する特許のPRも可能になった。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.58
テンパール工業株式会社
「自社製品の特徴に結びつく知的財産は、自社製品の強みをアピールする立場にある営業部門も含めて、自社のアイデンティティを示す存在となっている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月
特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
pp.62-63
ゼネラルパッカー株式会社
「日本における袋詰用包装機械の市場では、用途毎に特定のメーカーのシェアが非常に高い。用途毎の顧客との結びつきからその用途に強いメーカーが形成されてきた。その結果、強いメーカーには特定の用途に必要な技術の蓄積、その用途の機械を購入する顧客との信頼関係という強みが生まれた。その強みが参入障壁として高いシェアに結びついていると考えられる。
しかしながら、国内市場の成熟によって競争が激化し、この分野でも特許紛争が生じるようになった。顧客を特許紛争などの問題に巻き込んでしまい、顧客との信頼関係に悪影響を与える懸念がある。
一種の品質保証的な観点から(顧客との信頼関係を強固にするという意識から)、自社製品に関する知的財産を適切に保護しておく必要性が高まった。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月
特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.72
テフコ青森株式会社
「自社の知的財産活動は、納品先に権利侵害の問題が及ばないように顧客を保全することでもある。知的財産は、顧客の信頼を勝ち取るための営業ツールとしても活用されている。」
5131有利な条件で融資・投資受入
●テーマ名(詳細版)
技術力・競争力の源泉・知財を活かして有利な条件で融資・投資受入
●テーマの説明
このテーマは、知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)を活かして、有利な条件で、投資・融資を受けようとすることに関するものです。知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)が明確になっていることにより、金融機関等からの融資・投資を受けやすくなることもあります。必ずしも、知的財産を担保とした融資になるとは限りませんが、通常の融資・投資においても、より有利になることが期待できます。
融資や投資への判断材料を提供するために、「知財ビジネス評価書」や「知的財産報告書」のような資料を用意することもできます。また、そのような資料の作成まではしないとしても、金融機関等との話し合いの際に、自社の強み(競争力の源泉)や経営戦略・ビジネスモデル(自社の事業において何を利益の源泉とするかの設計)を明確に説明できるようにしておくことが、融資・投資につながります。
●参考テーマ
・5101…知財活動の位置付け・波及効果の総論
知的財産に関する活動の位置付け・波及効果に関する幅広い検討を行う場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.77-84
株式会社昭和
「製品開発や事業化にともなって、経営が安定し、好条件で金融機関から借り入れができ、商社等から資本参加してもらっている。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.85-92
株式会社ナミックス
「最近では銀行も「特許はどうなっているのか」と聞くようになってきている。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.65-72
株式会社アクロス
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「共同出願を用いた資金調達は難しい面がある。
出願する発明とノウハウとして秘匿する発明を明確に区別することにより、投資家への開示(ディスクロージャー)の観点からみて好ましいものとなった。
自社の有する知的財産の整理をすることにより、知的財産のうちどの部分を切り出して、資金調達スキームに乗せるのかが明確になった。
資金調達スキームとして、SPC(特別目的会社)スキームやSPV(特別目的事業体)スキームを検討した。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.29, 98-106
株式会社ハルナ
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「自社のビジネスモデル・技術内容を踏まえ、コア事業に関して特許調査・分析・特許マップの作成を行い、他社との技術の差別化度合いを測定した。そして、投資家に対する知財情報の情報開示に利用する「知的財産報告書」の作成を行った。
「知的財産報告書」の作成により、技術力の優位性に関する認知度を向上させて会社の信用を高めるとともに、将来の株式公開に備えることを意図した。
「知的財産報告書」の導入効果が高いのは、株式公開等により外部投資家の資金を調達する時期であると考えられる。
実際には、「知的財産報告書」そのものを積極的に利用しなかったものの、その過程での成果である、「技術内容の分析」「事業・研究開発・知的財産の相互関係の整理」を活用することで自社商品の優位性について説得力のある説明ができたことが、融資のきっかけの一つになったと、自社では考えている。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.107-113
大丸産業株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「大企業から知財(特許・製造ノウハウ等)・人材・商標などを譲り受けて事業を行っている。
「知的財産報告書」のレベルまではいかないまでも、これまで頭のなかで考えていた知的財産戦略を明確に示すことで資金調達の一助となる可能性が高まっている。
資金調達をベンチャーキャピタルと銀行に依頼した際に、本知財戦略プロジェクトでの検討結果・報告が大きな信用力となり、ベンチャーキャピタルからの出資、銀行からの融資が実現した。」
●参考情報
・令和2年度に提供した「知財ビジネス評価書」のサンプル
・「知財ビジネス評価書」ごとの特徴
・令和2年度に知財ビジネス評価書を作成した評価会社一覧
特許庁
https://www.jpo.go.jp/support/chusho/kinyu-katsuyo.html
「知財ビジネス評価書」は、
金融機関等に融資の判断に資する情報を
提供することが意図されています。
・知的財産情報開示指針
特許・技術情報の任意開示による企業と市場の相互理解に向けて
平成16年1月 経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/pdf/2shishin.pdf
・知財金融ポータルサイト
特許庁
5601技術等人材の確保育成・士気向上
●テーマ名(詳細版)
技術力・競争力の源泉を担う人材の確保・育成
社内ノウハウ(技能)向上のための方策・評価制度
技術力・競争力の源泉・知財を踏まえた自社内の士気向上
●テーマの説明
このテーマは、自社の強み(競争力の源泉)を維持・強化するために、人的な側面でどのような方策を行うのかを検討することに関するものです。この方策にも、知的財産を活用することができます。
知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)を対外的に宣伝することにより、自社の知名度向上・イメージ向上につながって、人材確保がしやすくなることがありえます。知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)を踏まえて、自社内(自社の従業員間)での士気の向上も期待できます。
知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)を重視・強化する方針と仕組みを導入することにより、自社内の人材育成にもつながります。例えば、技術・ノウハウ・技能の習得に応じた評価制度を導入することも可能でしょう。また、自社の実情に即した研修制度の充実も検討対象となります。
●参考テーマ
・5101…知財活動の位置づけ・波及効果の総論
知的財産に関する活動の位置づけ・波及効果に関する幅広い検討を行う場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.23-32
株式会社シード
「人材を得るために、世に知られる会社になりたいので、特許を取るという側面もある。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.69-76
しのはらプレスサービス株式会社
「ベテランの社員から若手が話を聞く場を数多く設けている。研修制度では、教えてもらう、教える、ということが気軽に楽しくできるような仕掛けを作ることが大切である。
知財経営の結果として、社員全体の知的レベルが上がったと思う。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.77-84
株式会社昭和
「大企業・大学・公的機関と対等な関係で共同開発し、共同で特許として登録されることや、自社や発明者の名前が世に出ることが、社員の大きなモチベーションアップになる。
大企業・公的研究機関との開発、製品の事業化等の成果で経営的に安定した。近畿経済産業局「明日の日本を支える元気なモノ作り中小企業300社」に選定されることで、こうした成果が全国や地域で紹介されたことにより、人材の獲得につながった。」
5606知財人材の確保育成・知財教育
●テーマ名(詳細版)
知財を担う人材の確保・育成
全社的な知財教育・啓蒙
戦略・戦術の策定や知財の活動を通じた社内人材の育成・啓蒙
●テーマの説明
このテーマは、自社の人材における知的財産に関する活動に対する能力を向上させることに関するものです。自社の経営戦略における、知的財産に関する活動の位置付け・知的財産に関する活動に期待する効果(何を効果と捉えるか)によって、自社内のどの範囲のひとに、どの程度の知的財産に関する活動のための能力を身につけてほしいと考えるのかが定まるでしょう。
・社内の認識の強化
自社における知的財産を明確化すること(場合によっては権利化のための活動をすること)により、自社内(自社の従業員間)で、自社が有する強み(競争力の源泉)の認識(あるいは、今後獲得すべき強みの認識)が確かなものになります。このことが、自社の経営戦略・ビジネスモデル(自社の事業において何を利益の源泉とするかの設計)の認識・改善につながります。また、自社をとりまく環境(現状と将来予測)の把握にもつながるでしょう。このような一連の取り組みにより、自社内の経営者や個々の従業員に、自社の知的財産に関する活動のための実践的な知識・認識が蓄積されていきます。
・論理的客観的思考力の育成
自社において、現状分析・研究開発・知的財産に関する活動(例えば、知的財産の権利化)などの一連の活動を行う際に、知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)を明文化・客観化する過程・訓練を経ることになります。このことによって、自社の事業を行って利益を確保するに至るまでの道筋に関する論理的な思考能力を、自社の経営者や個々の従業員が獲得することが出来ます。
・育成手法
以上で取り上げた例は、自社の日常の知的財産に関する活動において、主として、オンザジョブトレーニングOJTの形態で行われるものです。OJT以外にも、研修・勉強会を企画することもできます。
・知財系の資格
自社の人材における知的財産に関する活動のための能力を向上させるための分かりやすい方策として、知的財産に関わる資格を取得するか、資格に関連する知識を学ぶことも有効です。
中小企業においては、手始めに、二級知的財産管理技能士になるための検定試験(知的財産管理技能検定)の知識を学ぶことが適切です。弁理士試験よりも知的財産管理技能検定のほうが、企業内で活かしやすい知識をより効率的に身につけることができます。また、ひとりひとりが知的財産管理技能検定の知識の全分野を身につけることまでは要さず、まずは、自らの業務に関連が深い分野から学ぶことも可能です。
●参考テーマ
・5101…知財活動の位置付け・波及効果の総論
知的財産に関する活動の位置付け・波及効果に関する幅広い検討を行う場合。
●事例
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.28-29, 73-83
株式会社オプナス
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「「発明提案書の書き方講座」、「特許調査講座」などを開催した。このことにより、特許事務所に対して的確な出願依頼をしなければならないという意識を社内で共有した。
開発レビューに連動した「発明検討会」の開催により、特許出願する発明は、完成製品や完成図面だけできまるものではないことが、社内で理解されるようになった。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.59-68
株式会社ナベル
「社員が新事業を提案してきたときに、従来製品に対する進歩性等はどこにあるのかを突き詰めさせ、特許出願の対象となる発明の構成を自分で考えさせている。新しいことを考えた発明者自身が弁理士とやりとりをし、発明の構成を明確にしていくプロセスが重要である。自らの考えを、特許として認められるだけの文書に変えていく作業を通して「自己の客観化」が可能になる。「自己の客観化」は、組織を強固にするために必要なプロセスである。
特許を取得できたというのは結果であって、そこに至る綿密で論理的なプロセスが重要である。このプロセスを継続することにより信用がついてくる。その成果がやがてはキャッシュフローに代わってくる。
技術部門の担当者それぞれが社長や弁理士とコミュニケーションをとるという、多くの社員が参加する体制を敷いている。
技術部門だけでなく営業など他部門も含めて弁理士との勉強会を開いている。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.69-76
しのはらプレスサービス株式会社
「知財活動を全社で一致して行うため、社員全員が合宿を行い、意識合わせを行った。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.77-84
株式会社昭和
「特徴的な仕事をしたら何でも良いので文章化し、特許として権利化することを日常から心がけるようにと、社員に伝えている。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.30, 84-91
株式会社ナミックス
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「階層別研修、現場指導等により、知的財産管理能力アップを図った。
パテントマップのプレゼンテーションを技術者向けに行うことにより、技術者の知的財産マインドの向上を図った。
「特許の一般知識の研修」「明細書作成実習」「特許検索実習」を行った。
従前は、先行技術調査が後回しにされるケースがほとんどであった。
先行技術調査を日常的に実施し、パテントマップ等を活用しながら、その中の注目公報をウォッチングし、開発した成果がどのような位置付けにあるか、どのような権利になるか、また事業戦略にどのように活用出来るかという問題意識を持った取り組みの定着により、効率的かつリスクの低い研究開発活動が実施できるという認識が得られた。
マネージャー・リーダー階層に対しては、グループディスカッションの研修を行い、今後の自社の知的財産戦略推進の主導的な役割を果たしていく意識を促した。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.48-57
株式会社糖質科学研究所
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
「知的財産研修プログラムを実施した。研修は1日間の座学と実習を盛り込んだ基本的なもので、一般的な知財の実務知識と管理のポイントの習得と、商用データベースを使用した特許調査の実習を含む。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.58-63
フィーサ株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
「共同作業形態でパテントマップを作成することにより、経営陣及びR&D部署内で知財意識の啓発がなされ、現状の課題認識の明確化・他社の動向の社内知識化(共同認識化)がなされた。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.65-72
株式会社アクロス
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「従前は「発明があるから特許を出す」という特許への取り組み方であったが、事前に出願すべき特許に関して調査・検討(特許の棚卸し・対象技術の調査など)を行うという変化が社内に生まれた。また、商標権・意匠権等を利用してブランド力を強化していく取り組みを本格化させた。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.29, 98-106
株式会社ハルナ
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「自社のビジネスモデル・技術内容を踏まえ、コア事業に関して特許調査・分析・特許マップの作成を行い、他社との技術の差別化度合いを測定した。そして、投資家に対する知財情報の情報開示に利用する「知的財産報告書」の作成を行った。
「知的財産報告書」の作成により、作成過程の中で、技術内容を分析し、事業・研究開発・知的財産の相互関連を整理検討することにも意味がある。この検討作業が、自社の事業戦略・開発戦略・知的財産戦略についての社内の意識共有、体制整備に貢献した。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.107-113
大丸産業株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「大企業から知財(特許・製造ノウハウ等)・人材・商標などを譲り受けて事業を行っている。
社内のメンバーが、事業戦略の共通認識を持つようになり、知的財産戦略の重要性を認識するようになった。
特許戦略の整理と基本スタンスの確定を踏まえて、譲渡された基本特許を強化するためのコンセプト特許出願、特許を活用したマーケティング戦略を実行する意向である。
マーケティング戦略と知的財産戦略の方針を明確にし、新素材による成長を全社一丸となって目指している。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.56
オオクマ電子株式会社
「知的財産(特許)を提案型企業への意識変革のツールとすることに取り組んでいる。統括する責任者が、技術開発、営業、知的財産の全てを網羅的に横断する提案活動及び業務管理を実践する。業務が知的財産活動につながっていない場合には、責任者が修正や確認を行っている。
開発を行う際には、特許出願できるレベルであるかを基準として、その独自性や他社と比した優位性を確認している。特許出願の検討のなかで、類似技術との差異化が不十分の場合には開発レベルの修正まで言及する。営業を行う際にも、自社技術が知的財産で裏付けられているかを担当者自らが理解した上で営業活動に取り組むようにしている。
知的財産の法的な効力や権利としての活用以前に、知的財産に求められる新規性や客観性の考え方を、社員の意識改革に活用している。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
pp.56-57
株式会社オーティス
「自社製品に関連する特許権・意匠権・商標権が一覧できるように図示された「特許マップ」を作成している。「特許マップ」は社内で知的財産業務の関係者以外にも配布され、自社製品の特徴となる要素が知的財産権という形で明示され、社内に周知される仕組みになっている。
「特許マップ」の利用によって、開発部門や営業部門を含めた社内全体で自社製品の特徴や強みを共有できるようになっている。それに加え、知的財産権を侵害している可能性のある他社製品を営業部門が発見してくるといった効果も生じている。
知的財産活動を通じて明らかになった自社の強みを社内で共有し、営業活動や侵害対応にも効果を生じさせている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.78
精電舎電子工業株式会社
「開発部門に限らず、経営者から事務・営業担当者まで全社員でセミナーに参加するなど、正確な知的財産の理解に努めている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.79
株式会社名南製作所
「ほとんどの社員に開発部門を経験させる人事制度、知的財産を含む開発業務をテーマとした定期的な勉強会が、「(知的財産を含めた)開発重視」の価値観の共有に役立っている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.82
株式会社ササキコーポレーション
「改善提案・新規考案の評価制度と年度末の表彰、グループごとの改善活動など、社員の知的財産に対する認識を高める仕組みを実践している。社内の知的財産力向上が、自社ブランドで自己提案型事業を展開するために必要不可欠な経営要素と位置付けている。」
●参考情報
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
主として、支援者向けのコンテンツです。
中小企業に対して
知的財産戦略を含む支援を行う一連の流れが
示されています。
しかしながら、
企業内で自ら経営課題を検討する際にも
この資料が提示する手法は参考になります。
p.84
「社内セミナーの例として、「知的財産権に関する社内意識を高める啓発セミナー」「知的財産活動を進めるためのスキル習得セミナー(例:発明提案書作成指導、先行特許調査手法の指導)」「営業秘密管理勉強会」が挙げられる。」
p.85
「教育・研修については、社外のセミナーを有効活用する手がある。」
5621体制作り(組織・フロー・書式)
●テーマ(詳細版)
技術力・競争力の源泉・知財を管理・発掘・活用・育成するための体制作り
知財戦略から研究開発戦略への支援
知財戦略から事業戦略への支援
各戦略のPDCAサイクルを回すための体制作り
研究開発部門・他部門(営業部門等)・知財部門の連携
IPランドスケープ
●テーマの説明
このテーマは、自社の強み(競争力の源泉)を維持・強化することや、知的財産に関する活動を行うことを通じて、経営に資するための、自社の体制作りに関するものです。まずは、自社の経営戦略・ビジネスモデル(自社の事業において何を利益の源泉とするかの設計)を認識することと、経営戦略における、知的財産に関する活動の位置付け・想定する効果(何を効果と捉えるか)を設定・想定することが前提となります。これらの認識・設定・想定に沿って、自社の体制整備を行います。
自社の体制作りは、概ね、(ハード的ともいえる)組織の構築、(ソフト的ともいえる)業務フローの策定、(ハードとソフトが動作するためのベースとなる)規則や各種書類の整備の3つの相に分けられます。この3つの相のそれぞれについて、どのようにするかを検討することになります。
自社の体制作りを行う際には、知的財産に関する活動が、他の活動(研究開発活動、その他の事業活動)から乖離したものとならないように注意が必要です。ただし、そのためにどのような体制作りを行うのかは、自社の事情に寄ります。
自社の体制作りを行う際には、自社の状況にあったものとすることも大事です。場合によっては、自社の規模が拡大するにつれて、自社の体制を変更していくこともありえます。下記の事例によれば、企業のトップが全てを直接把握することが難しくなった場合において、社内の共通の方式(制度)を整えることが大事であるようです。共通の方式(制度)を整える際のツールとして知的財産を活用できます。
下記のように、事例が多くありますので、参考にするとよいでしょう。
・ニーズを取り込む仕組み
下記の事例によれば、営業活動の一環としてニーズなどの情報を集めて、社内で役立てる(例えば、研究開発に役立てる・営業に役立てる)ための仕組みを設けていることが多いようです。
・発明が生まれてから特許を取得するまで
下記の事例によれば、社内で発明が生まれてから、特許出願を行い、特許権を得るまでの工程に関する工夫もあるようです。
例えば、社内で生まれた発明を特許出願するべく提案するための「発明提案書(発明戦略書、発明届出書)」の書式を工夫することにより、特許事務所に対して正確な発注を行うようにするケースや自社の事業における当該発明の位置付けを明確にするケースがあります。
また、社内で生まれた発明を特許出願するか否かなどを判断するための「発明審議会」の態様を整えるケースがあります。
さらに、研究開発の各段階において発明等を抽出するための「発明検討会」を設けるケースがあります。研究開発の各段階で発明等を抽出することにより、様々な概念レベルの発明を抽出することを意図したものとなっています。
くわえて、「特許明細書チェックリスト」を設けることにより、外部の特許事務所が作成した明細書等の案を的確にチェック出来るようにしているケースがあります。
・知的財産を担当する者の配置
下記の事例によれば、知的財産の担当者を、兼任にするか、または、研究開発部門に近いところに配置するケースがあるようです。また、知的財産の担当者として、研究開発の経験を有するものをあてることもあるようです。特許に値する発明を見逃さないことに加え、研究開発部門と知的財産部門の連携を図ることが意図されています。
下記の事例によれば、専任の知的財産の担当者を置くケースもあるようです。この場合は、自社の戦略を熟知した社員を知的財産の担当者にあてて、社内を自由に動くようにすることが意図されています。
下記の事例によれば、経営陣が知的財産活動の実践に組み込まれるようにすることにより、迅速な意思決定が出来るようにしていることがあるようです。
・外部との協力関係
下記の事例によれば、自社内の組織の構築とともに、外部との協力関係の見直しも検討対象とされるケースがあるようです。
・規則や各種書類の整備
下記の事例によれば、規則や各種書類の整備の対象として、「職務発明規程」、「秘密保持契約書」のひな形、「共同研究開発契約書」のひな形が挙げられています。
下記の事例によれば、知的財産に関する活動に関する方針を定める際に、出願・ライセンス・係争などにおける具体的なケースでの判断基準を示すようにしていることがあるようです。このことにより、実務上の個々のケース毎に判断のブレが生じることを避けようとしています。
・知的財産活動の定着のための研修
下記の事例によれば、知的財産に関する活動の定着のために、知的財産担当者や技術者に対して、知的財産に関する勉強会などの実施を行うことがあるようです。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.14-22
株式会社ニッコー
「営業担当者に、客先とのやりとりを全て、営業日報に記録させている。(ニーズを拾っている。)営業日報は社長が毎日閲覧している。有望な情報があれば、必要に応じ技術者を交えて検討する。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.33-40
田川産業株式会社
「営業担当者が集めてくるユーザーサイドの現場の声を開発部門に伝えることが重要。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.69-76
しのはらプレスサービス株式会社
「本社機能はシンクタンクとし、プレゼンテーション資料の作成や見積書などの作業は、本社が担う。現場の営業は、考える機能とした。このようにして、全情報をデータウェアハウスに集約した。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.85-92
株式会社ナミックス
「知財管理を一元化した。しかしながら、知財に関する全社的な方針を、事業部門毎にブレークダウンする能力が足りずに悩んでいたところで、特許庁のモデル事業(地域における中小企業知的財産戦略支援事業)の話があって、応募した。
開発テーマが多岐にわたり、トップが直接みていくことが難しくなると、事業計画や進捗状況をチェックするためには共通の方式が必要になる。計画・プロセスの共通化の要素として知財がある。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.84-91
ナミックス株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「戦略的特許出願、権利化体制の確立に関しては、自社の現状にあわせた職務発明取り扱いシステム、ノウハウ管理体制等を図った。知的財産戦略ロードマップとリンクさせたものであることに留意した。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.93-99
鍋屋バイテック株式会社
「顧客からの問い合わせ・注文・どのように製品を使っているか・どのような要望があるか等、ニーズ(営業情報)を、自社のコンタクトセンターに集約している。集約した情報を営業スタッフが共有できるようにしている。顧客は、製品の説明ではなく、自分が抱えている問題をどのように解決できるかを聞きたがっている。情報共有によって、営業スタッフが顧客にソリューションをアドバイスできるようになった。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp. 26-27, 128-137
ふくはうちテクノロジー株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「知的財産戦略の策定を実効性のあるものとして自社内に定着させるために、特許出願体制の整備(発明戦略書の作成)を行った。
自社の事業展開を考慮して発明をどのように守っていきたいのかという具体的なイメージを決定する「発明戦略書」を策定した。まず、特許調査を行って、発明提案書の中の複数のアイデアがどの程度の競争力があるのかを分析する。この分析に基づいて、「上位アイデア(可能であれば権利化してみたいチャレンジ的なもの)」「中位アイデア(権利化の狙い目)」「下位アイデア(どうしても権利化を図っておきたい落とし所)」というようにアイデアを三つのレベルで階層化する。この階層化をもとに発明戦略書を作成した。
発明戦略書を作成するだけでも、発明と事業の関係が具体的にイメージできるようになり、出願戦略に直結する。
訴訟やライセンス交渉を想定しながら、アイデアの優先順位を決定することも必要である。その場合は、他社の活動をカバーすることに出願の重点がおかれる。つまり、他社の視点から出願戦略を練ることになる。
スタートアップのベンチャーでは、知的財産のテクニカルな部分については、はじめからその企業では消化しきれない可能性があり、むしろ、その企業にあった弁理士を紹介することが有効な場合もありうる。また、営業秘密の管理については、ある程度組織が大きくなってから実践することが現実的であるかもしれない。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.58-63
フィーサ株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
「知財経営のPDCAサイクルの構築を行った。
PLAN段階では、研究開発活動の年間スケジュールを明確にした。
DO段階では、開発管理と知財管理を組織的に行うようにした。具体的には、R&D部署、設計部署、企画室、発明審議会が一体的に連携できるようにした。発明審議会では、出願の要否、審査請求の要否、権利維持・放棄の判断、外国出願の要否、実績補償金の決定、職務発明規定の改訂を決定する。
CHECK&ACTION段階では、知財活動の成果を検証するために、個別の事業での、事業ポジションの強化・確立に関する検証を行った。ここで、共同作業形態でパテントマップの作成を行った。この結果、経営陣及びR&D部署内で知財意識の啓発がなされ、他社の動向が社内知識化(共通認識化)された。このような検証結果をロードマップ、開発計画、知財計画に反映させた。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.28-29, 73-83
株式会社オプナス
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「「発明検討会の開催」「発明提案書の見直し」「特許明細書チェックリストの導入」を行った。
研究開発工程における各段階(企画・設計・試作)の開発レビューと、「発明検討会」を常に連動させるようにした。これにより、従前から行われていた、試作品完成後における実施例レベルの下位概念的発明の抽出だけでなく、企画段階などにおける上位概念的発明(基本発明)の抽出も行えるようにした。
「発明検討会」では、(1)アイデアやデザインを適時抽出すること(発明等の抽出)と、(2)他人の知的財産権を侵害しないことを確認すること(侵害の検討)の二点を目的としている。
「発明提案書の見直し」により、自社から特許事務所に、取得したい権利内容、従来技術に対する効果、発明のバリエーション(応用例、変形例)を正確に伝えることを図った。
「特許明細書チェックリストの導入」により、特許事務所が作成した明細書原稿を簡易・的確にチェック出来るようにした。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.50-58
株式会社オナプス
「知財担当者は兼務にしている。兼務にする理由は、同じ立場のひとには提案や相談を持ちかけやすいことと、専任にしてしまうと日本語でも実際の感覚が伝わらないことがあること。図面を描いて設計した人が特許に値しないと思っていても、それを発掘出来ることも期待できる。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.92-97
株式会社緑マーク
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。
「知的財産管理体制の整備上、最初に行うべきことは、最高意思決定機関の設置、キーマンの設置、外部人材・機関との関係の見直しとされた。
業務フローとしては、発明から特許に至る届け出フロー、発明の評価フローが必要であるとされた。また、発明者が使用する「発明等の届出書」、発明評価の資料となる「発明等の評価書」も必要であるとされた。
知的財産関連の規定類の整備としては、「職務発明規則」の作成、「秘密保持契約書」例、「共同開発契約書」例が必要とされた。
知的財産管理体制の運用が定着するように、知的財産担当者・技術者に対して知的財産に関する勉強会、模擬発明委員会の実施を行った。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.121-127
アーベル・システムズ株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「半導体の設計あるいは応用技術を収入源としているファブレス指向の企業である。収入源としては、特許開示収入、開発業務支援収入、OEM供給事業収入がほぼ同額である。半導体の設計・応用技術とは別に、いくつかの要素技術も所有している。
第三者の力を借りて、自社技術のポジションを正確に把握した上で、特許戦略策定、権利化に向けてのアクションを、専門家(弁理士、弁護士)に適宜相談して実施することが、必要なことがある。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
pp.66, 79
株式会社名南製作所
「製品開発に特化したファブレス企業である。
日常的に、開発業務を経験した特許室のスタッフが開発現場に入り込むことによって、新製品の特徴となる機能を効率的に保護する知的財産活動を推進している。
発明者からの書式に基づいた提案を待つのではなく、特許室のメンバーが開発部門に入り込み、新製品に活かし得る発明を拾い上げて特許出願に結び付けている。
特許室のメンバーは全員開発業務の経験者であるため、開発部門とのコミュニケーションもとりやすい。知的財産業務と開発業務が密接に結びつき、効果的な知的財産活動を実践している。
知的財産関連費用の予算化や、知的財産業務のフローや書式の定式化を行わず、必要に応じて機動的な対応を行っている。これを可能にするために、社員の間で「(知的財産を含めた)開発重視」の価値観が共有されることが必要になる。ほとんどの社員に開発部門を経験させる人事制度、知的財産を含む開発業務をテーマとした定期的な勉強会が、こうした価値観の共有に役立っている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
pp.68-69
ミツカワ株式会社
「「今までにないものを作り出す」という自己提案型の開発スローガンは、開発課のみならず技術課や営業課にも徹底されている。
知的財産活動は、社長と知的財産担当役員を筆頭に、現場の知的財産担当者(兼務)によって実践されている。経営陣が知的財産活動の仕組みに組み込まれていることで、迅速な意思決定プロセスにも対応できる体制を取っている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.71
株式会社オーティス
「明文化した「知的財産権管理方針」を定めて、知的財産活動の強化に取り組んでいる。
開発成果を適切に保護して事業の独占または優位化を目指すことを基本方針にしている。
その一方で、他社へのライセンス供与も考慮し得ることも定めている。市場シェアを追求するためでなく、市場そのものの発展にも意識を置いている。
「知的財産権管理方針」には、「出願方針」「ライセンス方針」「係争方針」にわけて、具体的な事案における基本的な判断基準が示されている。目的が明確であっても、個々の実務において判断にブレが生じてしまうと成果に結び付けることが出来ないため、このようにして、知的財産活動の実効性を高めている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.78
精電舎電子工業株式会社
「大企業の要望により生産方式の共同開発に参加して製造機械を納品するなどの取引が多いため、特許を持つことで対等な立場に立ちたいという視点で早期から知的財産に関する取り組みを行ってきた。
知的財産戦略は自社の戦略を熟知した社員が立てるのがベストと考えたことから、社内に専任の知的財産担当者を置くに至った。
経営企画室という社長直属の組織に知的財産担当者を置き、経営層と営業部門・開発部門の中間に据えた。
公的機関の中小企業向け特許関連支援策を活用し、特許庁知的財産専門官・東京都知的財産アドバイザー等の外部協力者の支援を得るという環境のもと、知的財産を広く知る担当者が社内を自由に動くことができる組織体制が社内の活性化に役立ち、迅速な経営判断を行うに至っている。
知的財産担当者は、開発の初期段階から、顧客と相対する技術営業担当者から潜在的ニーズを聞き出し権利取得の可能を探っている。
知的財産担当者は、開発担当者から、自社技術シーズの他社との比較などの相談を受け、相対的なポジショニングを調査して、経営判断の材料を作っている。
知的財産担当者は、多くの社員と会話し、日常の素朴な疑問や発想を拾い上げ、必要により特許庁のデータベースで調査した特許調査レポートをフィードバックして、特許情報を活用して知的財産を生み出す空気を積極的に作り出している。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.80
テンパール工業株式会社
「開発部門に特許担当を置いていること、出願業務を社内で行っていること、の2つが特徴となっている。
知的財産活動専門部署を設けるのではなく、開発部門のなかに特許担当を配置している。この配置によって開発担当者と特許担当者の距離を近づけ、密接に情報交換を行うことで、開発業務と一体で知的財産活動が行われる仕組みが担保されている。特許出願等の知的財産活動への意識やハウツーも、開発業務に一体のものとして開発部門になかに根付いている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.83
株式会社今泉鐵工所
「技術者を集めた研修の実施、職務発明規程や報奨制度の整備といった、設計・開発に携わるメンバーが積極的にアイデア出しに関わるための仕組みが導入されている。
事業が新たなステージに向かうのにあわせて、知的財産活動についても組織的な対応のための仕組み作りが進められている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
pp.84-85
株式会社石野製作所
「知的財産活動は知的財産担当を専任とする知的財産部が中心となっている。
年間の部門目標を基軸に、開発目標や人材研修にも知的財産が組み込まれた計画が設定され実行されている。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.33-40
田川産業株式会社
「戦略的な部分の判断は社長が行う。研究室のスタッフが、知財についてもある程度分かるようにしている。明細書の作成は、弁理士に依頼している。」
●参考情報
・戦略的な知的財産管理に向けて −技術経営力を高めるために− <知財戦略事例集>(案)
2007年4月 特許庁
・経営戦略に資する知財情報分析・活用に関する調査研究報告書
令和3年3月 知的財産研究所
IPランドスケープに関する調査です。
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
主として、支援者向けのコンテンツです。
中小企業に対して
知的財産戦略を含む支援を行う一連の流れが
示されています。
しかしながら、
企業内で自ら経営課題を検討する際にも
この資料が提示する手法は参考になります。
p.14
「知的財産活動を実際に動かしていくための仕組みを構築することが求められる。具体的には、社内での役割分担や業務の流れを決める、必要な予算を割り当てる、外部の専門家との協力関係を築く、規程・マニュアル類を整備する、関係者を集めて社内研修を実施する、といった例を挙げることができる。」
「1つめのポイントは、中小企業のリソースに合った仕組みを構築しなければならない、ということである。」
「2つめのポイントは、知的財産活動の経営戦略上の目的・位置付けに沿った仕組みを構築しなければならない、ということである。」
「たとえば、特許によって市場を独占することを目的とするならば、開発成果をもれなく拾い、質の高い特許を取得するための仕組みが必要になる。」
「受注生産型のメーカーやサービス系の企業が組織全体のレベルアップを目指し、知的財産活動を通じて創意工夫の促進や情報共有を図ることを目的にするのであれば、全員参加型となることを重視した仕組みの導入が求められることになる。」
p.32
問診票で調べようとしている事項
「知的財産活動の目的・経営戦略上の位置付け」「知的財産活動の意義(知的財産活動の経営戦略上の目的や位置付け)の浸透」
「知的財産活動を実践する仕組み」(「知的財産活動を推進する組織体制・役割分担(組織面)」「知的財産活動における業務の流れ等のルール(ルール面)」「知的財産活動に必要な規程・書類等の整備(様式面)」)
「知的財産に関する法制度や実務の理解」「社外の専門家との連携」「知的財産に取り組むことの意義や効果」
「知的財産活動の具体的な成果」
p.33
外部専門家が経営者にヒアリングで確認しようとする事項
「知的財産活動の経営戦略上の目的・位置付け」(「知的財産活動の目的は明確かつ具体的か」「知的財産活動の目的は経営課題に沿っているか」「知的財産活動の目的が社内外の関係者に浸透しているか」)
「知的財産活動を実践する仕組み」(「組織体制・役割分担が整備されているか」「業務の流れ等のルールが定められているか」「規程・書式類が整備されているか」「上記3つは、知的財産活動の目的や企業のリソースに合致しているか」「上記3つが実際に運用されているか」)
「法制度・実務、及び、知的財産戦略・知的財産経営に関する知識」(「知的財産に関する法制度や実務を理解しているか」「知的財産戦略・知的財産経営に関する理解は十分か」)
「知的財産活動の成果」(「知的財産活動の具体的な成果が現れているか」)
p.42
「知的財産活動における業務の流れ等のルールとしては、職務発明の届け出の義務化、特許出願の要否を判断する基準、特許出願やライセンス契約などの業務フローなどが該当する。」
「知的財産活動の目的が社内活性化であれば、多くの社員が知的財産活動に参加するルールとする。」
「知的財産活動の目的が新製品の競争力強化であれば、新製品開発業務と知的財産活動を一体化した業務の流れを定める。」
p.54
「知的財産活動(知的財産制度を利用して知的財産を取り扱う企業活動)の例として次の例が挙げられる。
「発明の発掘」「営業秘密(ノウハウ)の管理」「知的財産権のライセンス等の契約対応」「発明者への報奨制度の運用」「特許・意匠・商標等の出願と審査対応」「知的財産の維持管理」「知的財産権の侵害対応」」
p.76
「知的財産活動の体制整備の前に、まず、「会社が求める知的財産活動の成果」を具体的に決定する必要がある。」「経営者は常に費用と成果を天秤にかけながら様々な意思決定を行うゆえ、知的財産活動の具体的な成果を何とするのかを確認することは重要である。」
p.77
「知的財産活動の計画立案から、具体的な活動まで、階層的に意思決定の流れを整理していく。意思決定の流れの例としては、「知的財産基本計画立案業務(予算)」「知的財産権の年間計画策定業務」「知的財産活動の取得活動」「職務発明規定の運用」「知的財産契約対応」「知的財産創出活動」の流れが挙げられる。」
p.80
「部門長以上のレベルでは、知的財産活動の全体的な意思決定の流れを十分に理解し、知的財産活動は部門間で横断的に行われることを把握することが重要である。なぜならば、知的財産活動は部門横断的であり、個々の部門における役割の中断が他の部門に大きな影響を及ぼすからである。」
p.81
「知的財産活動における全体的な意思決定の流れが決まったら、各業務の手続フローを明確にする。各業務フローは、誤解の余地がないように、出来るだけ細かく定義する。部門間の調整も円滑に進むように調整する。」
「発明提案の業務フローの例として、「提案前の先行特許調査」「発明提案書作成」「発明提案書の承認」「知的財産部での受付」「発明審査会の開催」「発明譲渡証の作成」の流れが挙げられる。」
「知的財産活動業務は、発明提案以外に、知的財産権の各種手続、ノウハウ管理手順、発明報奨の支払い、ライセンス契約書の作成、社内の知的財産研修などがある。」
「部門間を横断的に行う業務については、優先的に業務フローを策定する。」
「業務フローを確立する理由としては、業務を円滑に進めることに加えて、チェック機能を果たすこともある。」
p.82
「各業務には帳票が必要である。例えば、発明提案の業務フローには「発明提案書(特許調査報告書)」「職務発明譲渡書(職務発明認定書)」「発明審査会用審査シート(審査基準)」の帳票が必須である。」
p.83
「業務フローと帳票がきまったら、必要に応じて、それらを社内規程として明文化し、社内ルールとして確定する。」
「必要となる規程の例として、「発明取り扱い規程(発明報奨規程)」「就業規則」「営業秘密管理規程」が挙げられる。」
「会社を設立した当初は規定類が整備されていなくても、企業規模の拡大や事業継承を経るためには、知的財産活動を、全社的・組織的なものとすることが求められる。」
●相談先
・知財人材データベース
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://chizai-jinzai-db.inpit.go.jp/
外部から支援する専門家を探すのに便利。
弁護士・弁理士・行政書士・技術士・
中小企業診断士・一級知的財産管理技能士・
INPIT事業関係者・知財実務経験者が
多めに掲載されています。
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.138-191
知的財産戦略のために活用できる民間専門人材等のディレクトリ
中小企業が知的財産の戦略的活用を図るために、誰に相談すればよいかを探す際の参考になります。
ただし、2006年の情報なので、固有名詞的情報は古い点に注意が必要です。
挙げられている事業者の種類は以下のとおりです。
法律事務所
特許事務所
監査法人
中小企業診断士事務所
コンサルティングファーム
知的財産取引業者
技術士事務所
信託銀行
その他
5641データベース・知財分析ソフト
●テーマ名(詳細版)
技術力・競争力の源泉・知財を記録・活用するためのデータベース作り
知財分析ソフトの導入
●テーマの説明
このテーマは、知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)について、コンピュータを利用した管理・分析を行うことに関するものです。例えば、データベースを整備することや、知的財産の管理・分析用のソフトウェアを利用することが挙げられます。
自社の事業の態様によって、データベースやソフトウェアとしてどのようなものを採用するのかが定まってくるでしょう。簡易的なもので済みそうでしたら、(エクセルなどで)自作することも可能です。また、商用のものも多く存在します。いずれにせよ、下記の参考情報を参考にするとよいでしょう。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.69-76
しのはらプレスサービス株式会社
「プレス機械のメンテナンス・リニューアル業において、35年間にわたる膨大なデータをIT活用(自前で作成した共有化システム)で誰でも共有化できるようにしている。これにより知的集約型産業にしている。また、データの共有化により、社内での標準化も図ることが出来る。
共有化システムでは、どのレベルで、どの人が、どういうふうに利用しなければならないかを明確にしている。
ノウハウを含めて全ての情報をデータウェアハウスに入れた。データウェアハウスの成長過程で、全く違うことが生み出される。この際に、ノウハウが掛け合わされるように入力していくことが重要である。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.48-57
株式会社糖質科学研究所
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
「簡易型の特許管理データベースを導入した。管理項目を必要最小限としたエクセル形式のものである。自社で保有する特許の出願状況などを自主管理可能としている。」
●参考情報
・「知財情報の有効活用のための効果的な分析方法に関する調査研究報告書」,
平成22年度 工業所有権情報・研修館 請負調査研究事業
平成23年3月 みずほ情報総研株式会社
https://www.inpit.go.jp/blob/katsuyo/pdf/shiryo/chizaijouhou2010.pdf
知財分析の具体的手法が
多く取り上げられています。
・ULTRA Patent(特許庁サイトでの紹介)
https://www.jpo.go.jp/support/general/ip-intelligence/intro-3.html
・野崎篤志,”Excelを使ったパテントマップ作成方法”,情報の科学と技術, 60巻8号, pp.333-339, (2010)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/60/8/60_KJ00006543518/_pdf/-char/ja
・野崎篤志, 無料の特許検索データベースJ-PlatPatとMS Excelで特許分析・パテントマップ作成
https://note.com/anozaki/n/nfc08d642f2a4
・弁理士会知財コンサルティング検討委員会,”知財コンサルティング・スキルとツール”,パテント, 2008, Vol.61, No.10, pp.14-28
https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/200810/jpaapatent200810_014-028.pdf
・乾智彦,”知的財産ローカルベンチマーク”,パテント, 2020, Vol.73, No.9, pp.70-83
https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3604
・鶴見隆,”特許情報のQFDへの活用”, Japio YEAR BOOK, 2012
https://www.japio.or.jp/00yearbook/files/2012book/12_3_06.pdf
・Patentfield(AI特許総合検索・分析プラットフォーム)
Patentfield株式会社
・PAT-LIST
(株)レイテック)
https://www.raytec.co.jp/system-tools/pat-list-gls
・パテントマップEXZ
インパテック(株)
https://www.inpatec.co.jp/software/patentmap
・科学技術情報プラットフォーム
科学技術振興機構(JST)
学術論文等を探すときに活用できます。
・知的財産ソリューションATMS
富士通(株)
https://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/manufacturing/ip/
・TRUE TELLER パテントポートフォリオ
野村総合研究所(NRI)
http://www.trueteller.net/patent/patent.html
・商標データベース
インターマーク(株)
・総合サブスクリプション製出願管理システムULT1
クエステルジャパン(株)
http://www.patentsearch-japan.com/Renewal/
・ぱっとマイニングJP
日本パテントデータサービス(株)
・Biz Cruncher
(株)パテント・リザルト
・特許調査支援サービスPatentSQUARE
パナソニック(株)
https://www.panasonic.com/jp/business/its/patentsquare.html
・SPEEDA
株式会社ユーザベース
6101国内活動に対する補助金申請
●テーマ名(詳細版)
国内での活動に対する補助金申請
●テーマの説明
このテーマは、知的財産に関する活動のうち、国内での活動について、公的な補助金を申請することに関するものです。例えば、下記の参考情報で示されるものがありますので、参考にするとよいでしょう。
●参考情報
・令和3年度「中小企業知的財産活動支援事業費補助金(中小企業知的財産支援事業)」
経済産業省関東経済産業局
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chizai/2021_chizai_hojyokin.html
・ミラサポplus
(中小企業向け補助金・総合支援サイト)
中小企業庁
中小企業向けの支援情報を発信しています。
支援制度、支援者・支援機関を探すときに
活用出来ます。
事例、経営のヒントも掲載されています。
6106知財活動の会計・税務上の扱い
●テーマ名(詳細版)
取得した特許権等に基づく会計・税務上の扱い
●テーマの説明
このテーマは、権利(特許権等)の取得に伴う、会計・税務上の扱いに関するものです。下記の参考情報で示されます国税庁の提供する情報を参考にするとよいでしょう。
●参考情報
・法令解釈通達 無体財産権
国税庁
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/07/01.htm
・法令解釈通達 固定資産の取得価額等
国税庁
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_03_01.htm
・法令解釈通達 減価償却資産の取得価額(令第126条関係)
国税庁
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/08/06.htm
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※令和3年9月11日改訂
※令和3年9月10日改訂
※令和3年9月8日改訂
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