経営手がかりシート・3601
(令和3年(2021年)9月版)
3601著作権法に関する活動
●テーマ名(詳細版)
著作権法に関する活動
●テーマの説明
このテーマは、自社が有する著作物等を著作権等で保護することに関するものです。
著作権等は、著作物等の創作により生じるものであり、本来的には何らかの登録は不要です。
一つの対象が、著作権としても、他の権利(例えば特許権)としても、保護されることがあります。例えば、プログラムやデータベースが該当します。このような場合、一方の権利が他方の権利の代替となるというわけではありません。端的に言えば、著作権は「表現」を保護するものであるのに対し、特許権は「技術的思想の創作」を保護するものであり、保護対象が一致するわけではないからです。
自社が第三者の著作権等の侵害行為を行っていないかを注意することも重要です。特許権よりも著作権等のほうが、うっかり侵害しやすい性質があります。
・ソフトウェア開発における著作権管理上の留意点
ソフトウェア開発を行い、開発したソフトウェアの使用許諾を他者に与える業務を行う場合には、ソフトウェアの著作権等の扱いには注意が必要です。使用許諾と著作権の扱いは同じではないことを認識することが大事です。
例えば、開発したソフトウェアの使用許諾を他者に与えるとともに、当該ソフトウェアの著作権等も当該他者に譲渡した場合には、自社の今後のソフトウェア開発に支障が生じることがありえます。具体的には、自社で、今までに開発したソフトウェア資源(例えば、ソースコード)を使い回して、新たなソフトウェアを開発した場合に、他者に譲渡した著作権等の侵害が成立することが想定されます。以上のような事情から、ソフトウェアの使用許諾を他者に与える契約を行う場合には、当該ソフトウェアの著作権等の取り扱いを慎重に定めることが肝要です。
・開発したソフトウェアを著作権等で保護することの限界
ソフトウェア開発を行い、開発したソフトウェアの使用許諾を他者に与える業務を行う場合に、当該ソフトウェアを著作権等のみで保護することには、一定の限界があります。
例えば、他者にソースコードは開示しないようにしつつ、当該他者にオブジェクトコードを提供した場合であっても、当該他者がリバースエンジニアリングとクリーンルーム方式を用いて、自社の著作権を侵害することを回避しつつ、当該他者が、自社のソフトウェアを実質的に参考にした新たなソフトウェア開発を行うことが可能です。ここでいう、リバースエンジニアリングとは、オブジェクトコードからソースコードを復元することです。また、クリーンルーム方式とは、オリジナルのソースコードから技術的思想を抽出することを行った後で、当該技術的思想を参考にして新たなソースコードを開発する際において、新たなソースコードを開発する者(または、組織)が、オリジナルのソースコードを参照しないようにすることです。クリーンルーム方式を採用することにより、オリジナルのソースコードに関する著作権を侵害しないことを担保します。
他者がリバースエンジニアリングとクリーンルーム方式を用いることを阻止するためには、ソフトウェアの技術的思想に関する特許権を取得しておくことが有効です。なお、自社が他者にソフトウェアを提供する際に、リバースエンジニアリング禁止条項を契約に含めることは、独占禁止法違反となる可能性が高いと言われています。
●参考情報
・著作権
文化庁
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/
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●ご感想について
ご感想などのメールは、
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※令和4年1月26日改訂
※令和3年12月21日改訂
※令和3年9月17日改訂
※令和3年9月12日改訂
※令和3年9月11日改訂
※令和3年9月10日改訂
※令和3年9月8日改訂
※令和3年9月5日新設