経営手がかりシート・5621

(令和3年(2021年)9月版)

 

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5621体制作り(組織・フロー・書式)

 

●テーマ名(詳細版)

  技術力・競争力の源泉・知財を管理・発掘・活用・育成するための体制作り

  知財戦略から研究開発戦略への支援

  知財戦略から事業戦略への支援

  各戦略のPDCAサイクルを回すための体制作り

  研究開発部門・他部門(営業部門等)・知財部門の連携

  IPランドスケープ

 

<<テーマの説明音声データ>>

 

テーマの説明

 このテーマは、自社の強み(競争力の源泉)を維持・強化することや、知的財産に関する活動を行うことを通じて、経営に資するための、自社の体制作りに関するものです。まずは、自社の経営戦略・ビジネスモデル(自社の事業において何を利益の源泉とするかの設計)を認識することと、経営戦略における、知的財産に関する活動の位置付け・想定する効果(何を効果と捉えるか)を設定・想定することが前提となります。これらの認識・設定・想定に沿って、自社の体制整備を行います。

 自社の体制作りは、概ね、(ハード的ともいえる)組織の構築、(ソフト的ともいえる)業務フローの策定、(ハードとソフトが動作するためのベースとなる)規則や各種書類の整備の3つの相に分けられます。この3つの相のそれぞれについて、どのようにするかを検討することになります。

 自社の体制作りを行う際には、知的財産に関する活動が、他の活動(研究開発活動、その他の事業活動)から乖離したものとならないように注意が必要です。ただし、そのためにどのような体制作りを行うのかは、自社の事情に寄ります。

 自社の体制作りを行う際には、自社の状況にあったものとすることも大事です。場合によっては、自社の規模が拡大するにつれて、自社の体制を変更していくこともありえます。下記の事例によれば、企業のトップが全てを直接把握することが難しくなった場合において、社内の共通の方式(制度)を整えることが大事であるようです。共通の方式(制度)を整える際のツールとして知的財産を活用できます。

 下記のように、事例が多くありますので、参考にするとよいでしょう。

 

ニーズを取り込む仕組み

 下記の事例によれば、営業活動の一環としてニーズなどの情報を集めて、社内で役立てる(例えば、研究開発に役立てる・営業に役立てる)ための仕組みを設けていることが多いようです。

 

発明が生まれてから特許を取得するまで

 下記の事例によれば、社内で発明が生まれてから、特許出願を行い、特許権を得るまでの工程に関する工夫もあるようです。

 例えば、社内で生まれた発明を特許出願するべく提案するための「発明提案書(発明戦略書、発明届出書)」の書式を工夫することにより、特許事務所に対して正確な発注を行うようにするケースや自社の事業における当該発明の位置付けを明確にするケースがあります。

 また、社内で生まれた発明を特許出願するか否かなどを判断するための「発明審議会」の態様を整えるケースがあります。

 さらに、研究開発の各段階において発明等を抽出するための「発明検討会」を設けるケースがあります。研究開発の各段階で発明等を抽出することにより、様々な概念レベルの発明を抽出することを意図したものとなっています。

 くわえて、「特許明細書チェックリスト」を設けることにより、外部の特許事務所が作成した明細書等の案を的確にチェック出来るようにしているケースがあります。

 

知的財産を担当する者の配置

 下記の事例によれば、知的財産の担当者を、兼任にするか、または、研究開発部門に近いところに配置するケースがあるようです。また、知的財産の担当者として、研究開発の経験を有するものをあてることもあるようです。特許に値する発明を見逃さないことに加え、研究開発部門と知的財産部門の連携を図ることが意図されています。

 下記の事例によれば、専任の知的財産の担当者を置くケースもあるようです。この場合は、自社の戦略を熟知した社員を知的財産の担当者にあてて、社内を自由に動くようにすることが意図されています。

 下記の事例によれば、経営陣が知的財産活動の実践に組み込まれるようにすることにより、迅速な意思決定がで出来ようにしていることがあるようです。

 

外部との協力関係

 下記の事例によれば、自社内の組織の構築とともに、外部との協力関係の見直しも検討対象とされるケースがあるようです。

 

規則や各種書類の整備

 下記の事例によれば、規則や各種書類の整備の対象として、「職務発明規程」、「秘密保持契約書」のひな形「共同研究開発契約書」のひな形が挙げられています。

 下記の事例によれば、知的財産に関する活動に関する方針を定める際に、出願・ライセンス・係争などにおける具体的なケースでの判断基準を示すようにしていることがあるようです。このことにより、実務上の個々のケース毎に判断のブレが生じることを避けようとしています

 

知的財産活動の定着のための研修

 下記の事例によれば、知的財産に関する活動の定着のために、知的財産担当者や技術者に対して、知的財産に関する勉強会などの実施を行うことがあるようです。

 

●事例

 

・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜

2009年3月 特許庁

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689

pp.14-22

株式会社ニッコー

営業担当者に、客先とのやりとりを全て、営業日報に記録させている。(ニーズを拾っている。)営業日報は社長が毎日閲覧している。有望な情報があれば、必要に応じ技術者を交えて検討する。」

 

・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜

2009年3月 特許庁

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689

pp.33-40

田川産業株式会社

営業担当者が集めてくるユーザーサイドの現場の声開発部門に伝えることが重要。」

 

・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜

2009年3月 特許庁

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689

pp.69-76

しのはらプレスサービス株式会社

「本社機能はシンクタンクとし、プレゼンテーション資料の作成見積書などの作業は、本社が担う現場の営業は、考える機能とした。このようにして、全情報をデータウェアハウスに集約した。」

 

・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜

2009年3月 特許庁

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689

pp.85-92

株式会社ナミックス

「知財管理を一元化した。しかしながら、知財に関する全社的な方針を、事業部門毎にブレークダウンする能力が足りずに悩んでいたところで、特許庁のモデル事業(地域における中小企業知的財産戦略支援事業)の話があって、応募した。

開発テーマが多岐にわたり、トップが直接みていくことが難しくなると、事業計画や進捗状況をチェックするためには共通の方式が必要になる。計画・プロセスの共通化の要素として知財がある。」

 

・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006

中小機構

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703

pp.84-91

ナミックス株式会社

地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。

戦略的特許出願、権利化体制の確立に関しては、自社の現状にあわせた職務発明取り扱いシステムノウハウ管理体制等を図った。知的財産戦略ロードマップとリンクさせたものであることに留意した。」

 

・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜

2009年3月 特許庁

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689

pp.93-99

鍋屋バイテック株式会社

「顧客からの問い合わせ・注文・どのように製品を使っているか・どのような要望があるか等、ニーズ(営業情報)を、自社のコンタクトセンターに集約している。集約した情報を営業スタッフが共有できるようにしている。顧客は、製品の説明ではなく、自分が抱えている問題をどのように解決できるかを聞きたがっている情報共有によって、営業スタッフが顧客にソリューションをアドバイスできるようになった。」

 

・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006

中小機構

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703

pp. 26-27, 128-137

ふくはうちテクノロジー株式会社

地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。

知的財産戦略の策定を実効性のあるものとして自社内に定着させるために、特許出願体制の整備発明戦略書の作成)を行った。

自社の事業展開を考慮して発明をどのように守っていきたいのかという具体的なイメージを決定する「発明戦略書」を策定した。まず、特許調査を行って、発明提案書の中の複数のアイデアがどの程度の競争力があるのかを分析する。この分析に基づいて、「上位アイデア(可能であれば権利化してみたいチャレンジ的なもの)」「中位アイデア(権利化の狙い目)」「下位アイデア(どうしても権利化を図っておきたい落とし所)」というようにアイデアを三つのレベルで階層化する。この階層化をもとに発明戦略書を作成した。

発明戦略書を作成するだけでも、発明と事業の関係が具体的にイメージできるようになり、出願戦略に直結する。

訴訟やライセンス交渉を想定しながら、アイデアの優先順位を決定することも必要である。その場合は、他社の活動をカバーすることに出願の重点がおかれる。つまり、他社の視点から出願戦略を練ることになる。

スタートアップのベンチャーでは、知的財産のテクニカルな部分については、はじめからその企業では消化しきれない可能性があり、むしろ、その企業にあった弁理士を紹介することが有効な場合もありうる。また、営業秘密の管理については、ある程度組織が大きくなってから実践することが現実的であるかもしれない。」

 

・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006

中小機構

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703

pp.58-63

フィーサ株式会社

地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。

知財経営のPDCAサイクルの構築を行った。

PLAN段階では、研究開発活動の年間スケジュールを明確にした。

DO段階では、開発管理と知財管理を組織的に行うようにした。具体的には、R&D部署、設計部署、企画室、発明審議会が一体的に連携できるようにした。発明審議会では、出願の要否、審査請求の要否、権利維持・放棄の判断、外国出願の要否、実績補償金の決定、職務発明規定の改訂を決定する。

CHECK&ACTION段階では、知財活動の成果を検証するために、個別の事業での、事業ポジションの強化・確立に関する検証を行った。ここで、共同作業形態でパテントマップの作成を行った。この結果、経営陣及びR&D部署内で知財意識の啓発がなされ、他社の動向が社内知識化(共通認識化)された。このような検証結果をロードマップ、開発計画、知財計画に反映させた。」

 

・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006

中小機構

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703

pp.28-29, 73-83

株式会社オプナス

地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。

「「発明検討会の開催」「発明提案書の見直し」「特許明細書チェックリストの導入」を行った。

研究開発工程における各段階(企画・設計・試作)の開発レビューと、「発明検討会」を常に連動させるようにした。これにより、従前から行われていた、試作品完成後における実施例レベルの下位概念的発明の抽出だけでなく、企画段階などにおける上位概念的発明(基本発明)の抽出も行えるようにした。

発明検討会」では、(1)アイデアやデザインを適時抽出すること(発明等の抽出)と、(2)他人の知的財産権を侵害しないことを確認すること(侵害の検討)の二点を目的としている。

発明提案書の見直し」により、自社から特許事務所に、取得したい権利内容、従来技術に対する効果、発明のバリエーション(応用例、変形例)を正確に伝えることを図った。

特許明細書チェックリストの導入」により、特許事務所が作成した明細書原稿を簡易・的確にチェック出来るようにした。」

 

・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜

2009年3月 特許庁

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689

pp.50-58

株式会社オナプス

知財担当者は兼務にしている。兼務にする理由は、同じ立場のひとには提案や相談を持ちかけやすいことと、専任にしてしまうと日本語でも実際の感覚が伝わらないことがあること。図面を描いて設計した人が特許に値しないと思っていても、それを発掘出来ることも期待できる。」

 

・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006

中小機構

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703

pp.92-97

株式会社緑マーク

地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2005年度(平成17年度))。

知的財産管理体制の整備上、最初に行うべきことは、最高意思決定機関の設置、キーマンの設置、外部人材・機関との関係の見直しとされた。

業務フローとしては、発明から特許に至る届け出フロー発明の評価フローが必要であるとされた。また、発明者が使用する「発明等の届出書」、発明評価の資料となる「発明等の評価書」も必要であるとされた。

知的財産関連の規定類の整備としては、「職務発明規則」の作成、「秘密保持契約書」例、「共同開発契約書」例が必要とされた。

知的財産管理体制の運用が定着するように知的財産担当者・技術者に対して知的財産に関する勉強会、模擬発明委員会の実施を行った。」

 

・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006

中小機構

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703

pp.121-127

アーベル・システムズ株式会社

地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。

半導体の設計あるいは応用技術を収入源としているファブレス指向の企業である。収入源としては、特許開示収入開発業務支援収入OEM供給事業収入がほぼ同額である。半導体の設計・応用技術とは別に、いくつかの要素技術も所有している。

第三者の力を借りて、自社技術のポジションを正確に把握した上で、特許戦略策定権利化に向けてのアクションを、専門家(弁理士、弁護士)に適宜相談して実施することが、必要なことがある。」

 

・中小企業支援知的財産経営プランニングブック

平成23年3月 特許庁

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf

pp.66, 79

株式会社名南製作所

「製品開発に特化したファブレス企業である。

日常的に、開発業務を経験した特許室のスタッフが開発現場に入り込むことによって、新製品の特徴となる機能を効率的に保護する知的財産活動を推進している。

発明者からの書式に基づいた提案を待つのではなく、特許室のメンバーが開発部門に入り込み新製品に活かし得る発明を拾い上げて特許出願に結び付けている

特許室のメンバーは全員開発業務の経験者であるため、開発部門とのコミュニケーションもとりやすい知的財産業務と開発業務が密接に結びつき、効果的な知的財産活動を実践している。

知的財産関連費用の予算化や、知的財産業務のフローや書式の定式化を行わず、必要に応じて機動的な対応を行っている。これを可能にするために、社員の間で「(知的財産を含めた)開発重視」の価値観が共有されることが必要になる。ほとんどの社員に開発部門を経験させる人事制度、知的財産を含む開発業務をテーマとした定期的な勉強会が、こうした価値観の共有に役立っている。」

 

・中小企業支援知的財産経営プランニングブック

平成23年3月 特許庁

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf

pp.68-69

ミツカワ株式会社

「「今までにないものを作り出す」という自己提案型の開発スローガンは、開発課のみならず技術課や営業課にも徹底されている。

知的財産活動は、社長と知的財産担当役員を筆頭に、現場の知的財産担当者(兼務)によって実践されている。経営陣が知的財産活動の仕組みに組み込まれていることで、迅速な意思決定プロセスにも対応できる体制を取っている。」

 

・中小企業支援知的財産経営プランニングブック

平成23年3月 特許庁

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf

p.71

株式会社オーティス

明文化した「知的財産権管理方針」を定めて、知的財産活動の強化に取り組んでいる。

開発成果を適切に保護して事業の独占または優位化を目指すことを基本方針にしている。

その一方で、他社へのライセンス供与も考慮し得ることも定めている。市場シェアを追求するためでなく、市場そのものの発展にも意識を置いている。

「知的財産権管理方針」には、「出願方針」「ライセンス方針」「係争方針」にわけて、具体的な事案における基本的な判断基準が示されている。目的が明確であっても、個々の実務において判断にブレが生じてしまうと成果に結び付けることが出来ないため、このようにして、知的財産活動の実効性を高めている。」

 

・中小企業支援知的財産経営プランニングブック

平成23年3月 特許庁

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf

p.78

精電舎電子工業株式会社

「大企業の要望により生産方式の共同開発に参加して製造機械を納品するなどの取引が多いため、特許を持つことで対等な立場に立ちたいという視点で早期から知的財産に関する取り組みを行ってきた。

知的財産戦略は自社の戦略を熟知した社員が立てるのがベストと考えたことから、社内に専任の知的財産担当者を置くに至った。

経営企画室という社長直属の組織に知的財産担当者を置き、経営層と営業部門・開発部門の中間に据えた

公的機関の中小企業向け特許関連支援策を活用し、特許庁知的財産専門官・東京都知的財産アドバイザー等の外部協力者の支援を得るという環境のもと、知的財産を広く知る担当者が社内を自由に動くことができる組織体制社内の活性化に役立ち、迅速な経営判断を行うに至っている。

知的財産担当者は、開発の初期段階から、顧客と相対する技術営業担当者から潜在的ニーズを聞き出し権利取得の可能を探っている

知的財産担当者は、開発担当者から、自社技術シーズの他社との比較などの相談を受け、相対的なポジショニングを調査して、経営判断の材料を作っている

知的財産担当者は、多くの社員と会話し、日常の素朴な疑問や発想を拾い上げ、必要により特許庁のデータベースで調査した特許調査レポートをフィードバックして、特許情報を活用して知的財産を生み出す空気を積極的に作り出している。」

 

・中小企業支援知的財産経営プランニングブック

平成23年3月 特許庁

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf

p.80

テンパール工業株式会社

開発部門に特許担当を置いていること、出願業務を社内で行っていること、の2つが特徴となっている。

知的財産活動専門部署を設けるのではなく、開発部門のなかに特許担当を配置している。この配置によって開発担当者と特許担当者の距離を近づけ、密接に情報交換を行うことで、開発業務と一体で知的財産活動が行われる仕組みが担保されている。特許出願等の知的財産活動への意識やハウツーも、開発業務に一体のものとして開発部門になかに根付いている。」

 

・中小企業支援知的財産経営プランニングブック

平成23年3月 特許庁

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf

p.83

株式会社今泉鐵工所

技術者を集めた研修の実施、職務発明規程報奨制度の整備といった、設計・開発に携わるメンバーが積極的にアイデア出しに関わるための仕組みが導入されている。

事業が新たなステージに向かうのにあわせて、知的財産活動についても組織的な対応のための仕組み作りが進められている。」

 

・中小企業支援知的財産経営プランニングブック

平成23年3月 特許庁

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf

pp.84-85

株式会社石野製作所

「知的財産活動は知的財産担当を専任とする知的財産部が中心となっている。

年間の部門目標を基軸に、開発目標や人材研修にも知的財産が組み込まれた計画が設定され実行されている。」

 

・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜

2009年3月 特許庁

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689

pp.33-40

田川産業株式会社

戦略的な部分の判断は社長が行う。研究室のスタッフが、知財についてもある程度分かるようにしている。明細書の作成は、弁理士に依頼している。」

 

●参考情報

 

戦略的な知的財産管理に向けて −技術経営力を高めるために− <知財戦略事例集>(案)

2007年4月 特許庁 

https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/chizai_bunkakai/document/seisakubukai-10-shiryou/shiryou_3-3.pdf

 

経営戦略に資する知財情報分析・活用に関する調査研究報告書

令和3年3月 知的財産研究所

https://www.jpo.go.jp/support/general/document/chizai-jobobunseki-report/chizai-jobobunseki-report.pdf

IPランドスケープに関する調査です。

 

中小企業支援知的財産経営プランニングブック

平成23年3月 特許庁

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html

https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf

主として、支援者向けのコンテンツです。

中小企業に対して

知的財産戦略を含む支援を行う一連の流れ

示されています。

しかしながら、

企業内で自ら経営課題を検討する際にも

この資料が提示する手法は参考になります

 

p.14

知的財産活動を実際に動かしていくための仕組みを構築することが求められる。具体的には、社内での役割分担業務の流れを決める、必要な予算を割り当てる、外部の専門家との協力関係を築く、規程・マニュアル類を整備する、関係者を集めて社内研修を実施する、といった例を挙げることができる。」

「1つめのポイントは、中小企業のリソースに合った仕組みを構築しなければならない、ということである。」

「2つめのポイントは、知的財産活動の経営戦略上の目的・位置付けに沿った仕組みを構築しなければならない、ということである。」

「たとえば、特許によって市場を独占することを目的とするならば開発成果をもれなく拾い質の高い特許を取得するための仕組みが必要になる。」

受注生産型のメーカーサービス系の企業組織全体のレベルアップを目指し、知的財産活動を通じて創意工夫の促進や情報共有を図ることを目的にするのであれば全員参加型となることを重視した仕組みの導入が求められることになる。」

p.32

問診票で調べようとしている事項

知的財産活動の目的・経営戦略上の位置付け」「知的財産活動の意義(知的財産活動の経営戦略上の目的や位置付け)の浸透

知的財産活動を実践する仕組み」(「知的財産活動を推進する組織体制・役割分担(組織面)」「知的財産活動における業務の流れ等のルール(ルール面)」「知的財産活動に必要な規程・書類等の整備(様式面)」)

「知的財産に関する法制度や実務の理解」「社外の専門家との連携」「知的財産に取り組むことの意義や効果

「知的財産活動の具体的な成果

p.33

外部専門家が経営者にヒアリングで確認しようとする事項

知的財産活動の経営戦略上の目的・位置付け」(「知的財産活動の目的は明確かつ具体的か」「知的財産活動の目的は経営課題に沿っているか」「知的財産活動の目的が社内外の関係者に浸透しているか」)

「知的財産活動を実践する仕組み」(「組織体制・役割分担が整備されているか」「業務の流れ等のルールが定められているか」「規程・書式類が整備されているか」「上記3つは、知的財産活動の目的や企業のリソースに合致しているか」「上記3つが実際に運用されているか」)

法制度・実務、及び、知的財産戦略・知的財産経営に関する知識」(「知的財産に関する法制度や実務を理解しているか」「知的財産戦略・知的財産経営に関する理解は十分か」)

知的財産活動の成果」(「知的財産活動の具体的な成果が現れているか」)

p.42

「知的財産活動における業務の流れ等のルールとしては、職務発明の届け出の義務化特許出願の要否を判断する基準特許出願やライセンス契約などの業務フローなどが該当する。」

知的財産活動の目的が社内活性化であれば多くの社員が知的財産活動に参加するルールとする。」

知的財産活動の目的が新製品の競争力強化であれば新製品開発業務と知的財産活動を一体化した業務の流れを定める。」

p.54

「知的財産活動(知的財産制度を利用して知的財産を取り扱う企業活動)の例として次の例が挙げられる。

発明の発掘」「営業秘密(ノウハウ)の管理」「知的財産権のライセンス等の契約対応」「発明者への報奨制度の運用」「特許・意匠・商標等の出願と審査対応」「知的財産の維持管理」「知的財産権の侵害対応」」

p.76

「知的財産活動の体制整備の前に、まず、「会社が求める知的財産活動の成果」を具体的に決定する必要がある。」「経営者は常に費用と成果を天秤にかけながら様々な意思決定を行うゆえ、知的財産活動の具体的な成果を何とするのかを確認することは重要である。」

p.77

「知的財産活動の計画立案から、具体的な活動まで、階層的に意思決定の流れを整理していく。意思決定の流れの例としては、「知的財産基本計画立案業務(予算)」「知的財産活動の年間計画策定業務」「知的財産権の取得活動」「職務発明規定の運用」「知的財産契約対応」「知的財産創出活動」の流れが挙げられる。」

p.80

部門長以上のレベルでは、知的財産活動の全体的な意思決定の流れを十分に理解し、知的財産活動は部門間で横断的に行われることを把握することが重要である。なぜならば、知的財産活動は部門横断的であり、個々の部門における役割の中断が他の部門に大きな影響を及ぼすからである。」

p.81

「知的財産活動における全体的な意思決定の流れが決まったら、各業務の手続フローを明確にする。各業務フローは、誤解の余地がないように、出来るだけ細かく定義する。部門間の調整も円滑に進むように調整する。」

発明提案の業務フローの例として、「提案前の先行特許調査」「発明提案書作成」「発明提案書の承認」「知的財産部での受付」「発明審査会の開催」「発明譲渡証の作成」の流れが挙げられる。」

「知的財産活動業務は、発明提案以外に、知的財産権の各種手続ノウハウ管理手順発明報奨の支払いライセンス契約書の作成、社内の知的財産研修などがある。」

部門間を横断的に行う業務については、優先的に業務フローを策定する。」

「業務フローを確立する理由としては、業務を円滑に進めることに加えて、チェック機能を果たすこともある。」

p.82

「各業務には帳票が必要である。例えば、発明提案の業務フローには「発明提案書特許調査報告書)」「職務発明譲渡書(職務発明認定書)」「発明審査会用審査シート審査基準)」の帳票が必須である。」

p.83

業務フローと帳票がきまったら、必要に応じて、それらを社内規程として明文化し、社内ルールとして確定する。」

「必要となる規程の例として、「発明取り扱い規程発明報奨規程)」「就業規則」「営業秘密管理規程」が挙げられる。」

「会社を設立した当初は規定類が整備されていなくても、企業規模の拡大事業継承を経るためには、知的財産活動を、全社的・組織的なものとすることが求められる。」

 

●相談先

 

知財人材データベース

工業所有権情報・研修館(INPIT

https://chizai-jinzai-db.inpit.go.jp/

外部から支援する専門家を探すのに便利。

弁護士弁理士行政書士技術士

中小企業診断士一級知的財産管理技能士

INPIT事業関係者知財実務経験者

多めに掲載されています。

 

中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006

中小機構

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703

pp.138-191

知的財産戦略のために活用できる民間専門人材等のディレクトリ

中小企業が知的財産の戦略的活用を図るために、誰に相談すればよいかを探す際の参考になります。

ただし、2006年の情報なので、固有名詞的情報は古い点に注意が必要です。

挙げられている事業者の種類は以下のとおりです。

 

法律事務所

特許事務所

監査法人

中小企業診断士事務所

コンサルティングファーム

知的財産取引業者

技術士事務所

信託銀行

その他


 

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※令和4年2月12日改訂

※令和4年2月10日改訂

※令和4年1月27日改訂

※令和3年9月17日改訂

※令和3年9月16日改訂

※令和3年9月11日改訂

※令和3年9月8日改訂

※令和3年9月5日新設