経営手がかりシート・1651
(令和3年(2021年)9月版)
1651知財の取得維持のコスト
●テーマ名(詳細版)
知財の取得・維持のためのコストの時系列見積もり
特許権を取得するコストと、特許権を取らないことによるリスクの比較検討
特許庁に支払う料金の減免
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●テーマの説明
このテーマは、知的財産権の取得のための費用(コスト)を見積もることに関するものです。経営における活動では、費用(コスト)と効果の関係を比較検討することが常であるところ、知的財産活動においても同様です。比較検討の結果として、知的財産活動をどのようにするか(例えば、知的財産権の取得を行うか否か)を判断することになります。
・費用(コスト)の見積もり
知的財産活動のうち、特許等の出願や権利化の費用(コスト)は、事前に見積もりやすいです。
経営戦略における知的財産活動全体や個々の出願(特許出願など)の位置付け・目的・期待する効果(何を効果と捉えるか)を踏まえて、出願数を見積もることになります。一般には、独占排他的地位を確保するために特許網を構築する必要がある場合には、出願数が多くなります。しかしながら、法的な効果以外の効果を期待する場合(例えば、営業的ツールとして知的財産(特許)を用いる場合)や、一製品一特許で済む技術分野の場合は、出願数が少なくなりえます。
個々の出願に係る費用(コスト)のうち、特許庁などに支払う料金は明確です。中小企業であれば、特許庁に支払う料金に関する減免制度を利用することもできます。下記の参考情報に挙げたリンク先「2019年4月1日以降に審査請求をした案件の減免制度(新減免制度)について」をご参照ください。例えば、特許出願に関する審査請求料と、特許査定後の特許料(最初の10年分)が、中小企業の場合で半額となり、小規模企業の場合で三分の一になります。
出願を行うための業務のうち、自社が自前で行うことと、外部の専門家(弁理士など)に依頼することをどのように切り分けるのかによって、個々の出願に係る費用のうち、外部の専門家(弁理士など)などに支払う報酬を見積もることになります。ただし、出願に関して、自社が自前で行う業務の比重を高めるためには、自社における人材確保・育成や体制整備等が必要になります。
・効果の見積もり
知的財産活動のうち、特許権等を取得することによる効果(、または、特許権等を取得しないことによる危険性(リスク))の見積もりは、一律に定められたものはありません。効果の見積もりは、自社が、経営戦略における知的財産活動全体や個々の出願(特許出願など)の位置付け・目的・期待する効果(何を効果と捉えるか)を、どのように定めているかによります。
ある市場・製品に関する自社の独占排他的地位を確保することが特許網構築の目的であれば、特許網構築を行わなかった場合における、他社参入による自社の売り上げや利益の低下の見積もり(時系列的な見積もり)が、必要になります。この見積もりのためには、競合他社の動向の予測なども必要になるでしょう。
独占排他的地位を確保することが知的財産活動全体や特許出願の目的ではなく、他に目的があれば、その目的に沿った効果の見積もりをすることになります。場合によっては、すぐには金額に表せない効果であっても、自社の目的に沿ったものであれば、それで十分であると判断できることもありえます。
・費用(コスト)と効果の見積もりを踏まえた判断
このように、知的財産権の取得のための費用(コスト)と、取得による効果を見積もることで、自社の意思として、費用(コスト)をかけて、知的財産権の取得を行うか否かを判断することができます。このような判断が、翻って、経営戦略における、知的財産活動の位置付け・期待する効果(何を効果と捉えるか)を再検討する契機ともなりえます。
●参考テーマ
・1646、1666…特許出願の目的の明確化・特許出願する対象の技術を絞る検討
知的財産(特許)を取得・維持するコストの見積もりや、知的財産(特許)を取らないことによるリスクを見積もる前提として、目指す特許出願数を明確にする必要がある場合。
・0101、0131、0136、1601…市場・業界・競合他社の分析
知的財産(特許)を取らないことによるリスクを見積もる前提として、他社の動向を予測する必要がある場合。
・1671…出願がノウハウ秘匿か(一般公開か)の選択判断
ある技術やノウハウを特許出願するか、ノウハウ秘匿するか(あるいは、一般公開するか)を判断する必要がある場合。
●参考情報
・産業財産権関係料金一覧
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/hyou.html
・2019年4月1日以降に審査請求をした案件の減免制度(新減免制度)について
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/index.html
・知的財産相談・支援ポータルサイト
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/type.html
「産業財産権」の項目として、
主に特実意商の権利化に関する情報が
示されています。
「営業秘密・知財戦略」の項目や、
「海外展開の知財支援」の項目もあります。
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※令和4年2月12日改訂
※令和4年1月25日改訂
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※令和3年9月18日改訂
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※令和3年9月12日改訂
※令和3年9月11日改訂
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