経営手がかりシート・1646
(令和3年(2021年)9月版)
1646特許権取得目的の明確化
●テーマ名(詳細版)
特許出願する場合の権利取得目的の明確化
権利化する発明の特定
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●テーマの説明
このテーマは、特許出願を行う際に、経営戦略における、当該特許出願(、または、権利取得後の特許権)の位置付け・目的・期待する効果を予め明確にしておくことに関するものです。知的財産活動全体についても、経営戦略における位置付け・期待する効果を明確にしておくことは大事ですが、個々の特許出願についても、改めて、同様のことを検討しておくことは有益です。
特許権を取得する目的は、法律上定められた権利を確保することのみならず、法律で定められた権利自体ではないものの、自社の経営に実質的に及ぼす効果を利用することでもあり得ます。
・法律上定められた権利等
法律上定められた権利の代表的な例は、特許権を侵害する第三者の行為を差し止める差止請求権と、特許権を侵害した第三者に賠償を請求する損害賠償請求権があります。また、特許権を根拠とする契約として、第三者と実施権(専用実施権・通常実施権など)を設定する(見返りとしてライセンス料の支払いを受ける)こともありえます。
・経営に実質的に及ぼす効果
法的に定められた権利自体ではないものの、自社の経営に実質的に及ぼす効果は、様々なものがあります。このような効果として、例えば、自社の特許権の取得により、顧客・取引先・提携先から自社の技術力に対する信用や信頼を得ることが挙げられます。この場合は、必ずしも自社の特許網により他社の参入を阻止するというスキーム(自社の特許網により独占排他的地位を確保するというスキーム)に拘ることはなく、特許出願する数も少なくすむことがありえます。また、(特許出願ではなく論文の公開という形でもよいことですが、)他社による権利化を阻止するための先行文献の提供という目的で、特許出願を行うケースもあります。
・目的に応じた対応
特許出願のそれぞれに対する目的により、権利化に至るまでの自社の対応も変わることがあります。例えば、基本特許として上位概念のままで権利化を目指す特許出願と、製品や実施例レベルの権利を確保することを目的としているため下位概念による権利化でも差し支えない特許出願とでは、出願時・出願後の自社の対応も異なります。具体的には、特許出願のそれぞれに対する目的に応じて、特許出願毎に、特許権の権利範囲を示す特許請求の範囲(請求項)に記載する発明(技術的思想)を何にするか、発明特定事項として何を記載して何を記載しないかを明確にすることを検討します。
特許出願の目的に応じて、自社の特許出願の数に影響があります。一般には、法律上定められた権利により独占排他的地位を確保することを目的とした場合は、必要な特許出願数が多くなる傾向にあります。
●参考テーマ
・0616…経営戦略・ビジネスモデルの構築
特許出願の目的を明確にするに際して、経営戦略・ビジネスモデルの検討を行う場合。
・5101、5601、5606、5116、5131…経営戦略上の知財活動の位置付け・期待する波及効果の検討
特許出願の目的を明確にするに際して、当該特許出願を介した知的財産に関する活動の位置付け・期待する波及効果を検討する場合。
・1651…知財の取得・維持のためのコストの時系列見積もり
特許出願の目的を明確にして、目指す特許出願数を明確にしたことを踏まえて、知財の取得・維持のためのコストを見積もる場合。
●事例
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.82
株式会社ササキコーポレーション
「出願は、権利化・防衛・牽制という目的別にルール化されている。」
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※令和4年1月25日改訂
※令和3年9月16日改訂
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※令和3年9月10日改訂
※令和3年9月8日改訂
※令和3年9月5日新設