経営手がかりシート・5116
(令和3年(2021年)9月版)
5116営業活動・販売促進活動
●テーマ名(詳細版)
技術力・競争力の源泉・知財を踏まえた営業活動・販売促進活動
技術力・競争力の源泉・知財を踏まえた取引の有利化
技術力・競争力の源泉・知財を踏まえたインターネット上の宣伝
技術力・競争力の源泉・知財を踏まえたセミナー主催等の宣伝
技術力・競争力の源泉・知財を対外的に宣伝するための資料作り
●テーマの説明
このテーマは、知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)を根拠・背景として、対外的な活動を有利に行うことに関するものです。知的財産権(特許権等)について法律上定められた権利に直接的な根拠がある効果であるとは限りませんが、自社の事業において実質的な効果を得ることができる場面があります。
・顧客(将来の顧客)への宣伝
営業活動や販売促進活動において、自社の強み(競争力の源泉)を宣伝材料として用いることが挙げられます。その際には、知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)を宣伝するための資料を作成して、営業活動や販売促進活動に活用することがありえます。また、このような営業活動や販売促進活動の一環として、インターネット上での宣伝や、セミナーを主催することによる間接的な営業活動・販売促進活動もありえるでしょう。
ここでの宣伝は、自社の製品等そのものや権利そのものに限られず、自社の技術力の高さといった上位概念も、対象となりえます。
下記の事例によれば、技術力を有することを宣伝することにより、顧客等からニーズなどの情報が集まるようになるようです。
・取引先や提携先との関係
取引先・提携先との交渉や契約において、自社の強み(競争力の源泉)に基づき、主導権をとることも期待できます。また、自社に、知的財産をはじめとする、自社の強み(競争力の源泉)があれば、取引や提携を模索する段階において、取引先や提携先を見つけやすくなるでしょう。
・関係者に一定の安心感
また、自社の知的財産権を背景として、関係者(顧客や取引先)に、権利侵害関係の紛争に対する一定の安心感を与えることもできます。自社の知的財産権が強ければ、他社から知的財産権関係で攻撃(訴訟・警告書等)をされる可能性が低くなります。そうであれば、関係者(顧客や取引先)が知的財産権関係の攻撃に巻き込まれる危険性(リスク)を低くできます。
ただし、例えば、自社の製品等について、自社が何らかの特許権を有しているからといって、当該自社の製品等が、他社の有する特許権を侵害していないという法的な保障はありません。
●参考テーマ
・5101…知財活動の位置付け・波及効果の総論
知的財産に関する活動の位置付け・波及効果に関する幅広い検討を行う場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.59-68
株式会社ナベル
「特許出願することは、新規なものを作ったことを外部にアピールできるという効果に期待するところが大きい。
市場の反応を見極めることもできる。例えば、特許を活かした新製品ができると、メディアにその情報を流して、記事になるかどうか等をみることができる。
特許を取得したことにより、オリジナリティを有する企業であることをアピールすることも重要である。オリジナリティを生み出す力のある企業であることが知られれば、客先から様々な情報やニーズ(相談)が集まってくる。
逆に、自社が他社の技術を活用する条件は、当該他社に技術のオリジナリティがあるかどうかである。その際、必ずしも、他社が特定の国でのみ特許を取っていることが、他社へのマイナス評価となるわけではない。オリジナリティがあるところが一番技術力(さらには、クレームに対する対応力)を持っていると信じている。
特許制度の本質は、市場を活性化することにある。市場を活性化するために、特許の活かし方としてどういうものがあるのかを考えるのが本筋である。そもそも、20年の独占排他権とはいっても、中小企業のビジネスで20年も権利が必要なものなどほとんどない。以前、取引のあった他社と、特許で問題が生じて、内容証明を送ったら、当該他社は市場から撤退した上で、取引関係も途絶してしまったことがある。闇雲に他社を排斥すればよいというものでもない。」
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.85-92
株式会社ナミックス
「特許保有が、自社の技術力の提示、顧客の安心感につながる。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.29, 98-106
株式会社ハルナ
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「自社のビジネスモデル・技術内容を踏まえ、コア事業に関して特許調査・分析・特許マップの作成を行い、他社との技術の差別化度合いを測定した。そして、投資家に対する知財情報の情報開示に利用する「知的財産報告書」の作成を行った。
「知的財産報告書」は、社名や製品名の知名度が低い中小企業にとって、会社案内や製品案内とは焦点を変えた情報開示ツールである。技術力の開示がビジネスチャンス拡大の契機となることを期待している。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.48-57
株式会社糖質科学研究所
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2006年度(平成18年度))。
「自社の特許のリストを自社内で活用することで、自社特許及び関連特許の状況を自社内の各自が正確に把握できるようになった。また、ライセンス先や投資家に対する特許のPRも可能になった。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.58
テンパール工業株式会社
「自社製品の特徴に結びつく知的財産は、自社製品の強みをアピールする立場にある営業部門も含めて、自社のアイデンティティを示す存在となっている。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月
特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
pp.62-63
ゼネラルパッカー株式会社
「日本における袋詰用包装機械の市場では、用途毎に特定のメーカーのシェアが非常に高い。用途毎の顧客との結びつきからその用途に強いメーカーが形成されてきた。その結果、強いメーカーには特定の用途に必要な技術の蓄積、その用途の機械を購入する顧客との信頼関係という強みが生まれた。その強みが参入障壁として高いシェアに結びついていると考えられる。
しかしながら、国内市場の成熟によって競争が激化し、この分野でも特許紛争が生じるようになった。顧客を特許紛争などの問題に巻き込んでしまい、顧客との信頼関係に悪影響を与える懸念がある。
一種の品質保証的な観点から(顧客との信頼関係を強固にするという意識から)、自社製品に関する知的財産を適切に保護しておく必要性が高まった。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月
特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.72
テフコ青森株式会社
「自社の知的財産活動は、納品先に権利侵害の問題が及ばないように顧客を保全することでもある。知的財産は、顧客の信頼を勝ち取るための営業ツールとしても活用されている。」
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※令和4年2月10日改訂
※令和4年1月26日改訂
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※令和3年9月13日改訂
※令和3年9月11日改訂
※令和3年9月8日改訂
※令和3年9月5日新設