経営手がかりシート・2156
(令和3年(2021年)9月版)
2156特許庁からの通知に対する応答
●テーマ名(詳細版)
特許庁からの通知に対する応答
拒絶査定不服審判請求
審決取消訴訟
知財に関する期限管理
<<テーマの説明音声データ>>
●テーマの説明
このテーマは、特許庁に出願(特許出願・意匠登録出願・商標登録出願)した後、特許庁から通知があったときに応答を行うことに関するものです。
特許庁からの通知には大きく分けて、方式審査(審理)に伴う通知と、実体審査(審理)に伴う通知があります。
・方式審査(審理)対応と期限管理
方式審査(審理)に伴う通知に対する正しい応答内容はほぼ決まっていますので、間違えずに応答することが大事です。その際、応答期限の管理には注意が必要です。
・実体審査(審理)対応
実体審査(審理)に伴う通知に対しては、応答する際に提出する書類の種類はほぼ決まっているものの、書類に記載する内容には、自社(出願人)の意向が強く反映されます。
例えば、特許出願において、審査官から拒絶理由通知が行われた場合に、出願人としては指定期間内に意見書や手続補正書を提出することになるのが通常です。ここで、意見書における出願人の主張や、手続補正書における補正内容(特に、特許請求の範囲の記載の補正内容)は、出願人がその特許出願をどのようにしたいかに応じて定まることになります。その際には、自社(出願人)における、経営戦略・知的財産活動の経営上の位置付けや期待する効果(何を効果と捉えるのか)・その特許出願の経営上の位置付けや目的や期待する効果などを、総合的に考慮することになるでしょう。
・分割出願の検討
特許出願における出願後の対応として、適時に、特許法第44条で規定される分割出願を行うことも、選択肢に入れておいたほうがよいでしょう。特に、その特許出願が自社(出願人)にとって重要な出願であるほど、分割出願の是非を考慮することは重要です。本来は、特許法第37条違反(単一性要件違反)の旨の拒絶理由通知を受けたときに、単一性を満たさないとされた部分を、別の出願(分割出願)にする、という対応の仕方をするのが、典型的です。しかしながら、実際には、分割出願の制度は、特許網を構築するために戦略的に用いられることも多いです。
・審判と裁判
拒絶理由通知の後に、さらに、審査官から拒絶査定を受けた場合には、拒絶査定不服審判を請求する選択肢があります。また、拒絶査定不服審判でも請求不成立審決(拒絶審決、Z審決)を受けた場合には、知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起することができます。審査官は単独審であるため、恣意的な運用をしていないとしても、出願毎・審査官毎に判断にブレが生じるのはありうることです。そのため、自社にとって特に重要な出願の場合は、審判や裁判も辞さないという判断があり得ます。
・外部専門家への依頼等
特許庁から通知があったときの応答は、専門性が高い面があり、外部の専門家(弁理士)に依頼するか、少なくとも、外部の専門家(弁理士)の助言や見解を得ることが無難であることが多いです。それでも、自社に、知的財産に関する人材・知識・体制が整っていれば、自社が自前で対応することも可能です。
●事例
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp. 26-27, 128-137
ふくはうちテクノロジー株式会社
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「特許出願の一つ一つに対して「メンテナンス戦略」を策定した。その特許出願が、どの程度のレベルで権利化できるかを予測し、今後、どのような方針・タイミングで明細書の補正を特許事務所に依頼し、どの部分を分割出願するように特許事務所に連絡するべきか等の具合的な戦略プランを策定した。」
●参考情報
・各種申請書類一覧
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/search/result/10939.html?event=FE0006
・基準・便覧・ガイドライン
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/index.html
・お助けサイト 〜通知を受け取った方へ〜
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/basic/otasuke-n/
特許庁側から何らかの通知があったときに
参考になる情報があります。
・知的財産相談・支援ポータルサイト
工業所有権情報・研修館(INPIT)
https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/type.html
主に特実意商の権利化に関する情報が
示されています。
「営業秘密・知財戦略」の項目や、
「海外展開の知財支援」の項目もあります。
・制度・手続(審判)
特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/index.html
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