経営手がかりシート・1661

(令和3年(2021年)9月版)

 

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1661特許法上の発明該当性の検討

 

●テーマ名(詳細版)

  特許法上の発明該当性に関する検討

 

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テーマの説明

 このテーマは、自社の経営戦略・ビジネスモデルの根幹をなす自社の強み(競争力の源泉)が、特許法上の保護対象となり得るか否かを検討することに関するものです。

 特許法第2条第1項では、特許法における「発明」の定義を「自然法則を利用した技術的思想の創作(のうち高度のもの)」としており、同法第29条第1項柱書にて「発明について特許を受けることができる。」としています。つまり、特許法第2条第1項は、特許法上の保護対象となる(特許権を付与する対象となる)「発明」とは何かを定義するものです。

 自社の経営戦略・ビジネスモデルの根幹をなす自社の強み(競争力の源泉)が、特許法上の「発明」として表現出来るか否かが、直ちには明らかでない(、あるいは、一見して、特許法上の「発明」として表現出来ないようにみえる)ことがあります例えば、いわゆるビジネスモデルそのものなどです。このような場合に、特許出願をすぐに断念するのは得策ではありません

 特許出願が特許法第29条第1項柱書の要件(発明該当性要件)を満たすか否かの判断は、特許庁においては、特許法第2条第1項や、特許・実用新案審査基準や、特許・実用新案ハンドブックに沿って行われます。特許庁の実務上も、裁判例においても、発明該当性は広く認められる傾向にあります。(なお、発明該当性の有無と、進歩性(特許法第29条第2項関連)の有無は、個別に検討すべきことである点に、ご注意ください。)

 自社で検討する場合には、特許・実用新案審査基準や、特許・実用新案ハンドブックを参照にするとよいでしょう。(下記の参考情報に挙げたリンクにより、審査基準やハンドブックにアクセス出来ます。)その際に、特許請求の範囲における記載ぶりによって、発明該当性が認められるか否かが左右されることもありますので注意が必要です。また、自社では判断が難しい場合などは、弁理士のうち、発明該当性の判断経験の多いひとに助言を求めることもありえます。

 

ビジネスモデルと密接した特許出願における発明該当性の考え方

 ビジネスモデルと密接した特許出願が特許法第29条第1項柱書の要件(発明該当性要件)を満たすためには、ほとんどの場合、特許出願の特許請求の範囲(請求項)に記載されたものが、特許法第2条に規定されている「自然法則を利用した技術的思想の創作」であると言えることが重要です。

 詳しくは、特許出願が特許法第29条第1項柱書の要件(発明該当性要件)を満たすか否かは、特許出願の特許請求の範囲(請求項)に記載されたものが、特許法第29条第1項柱書に規定されている「産業上利用することができる発明」であると言えるか否かにより定まります。そして、特許法第29条第1項柱書に規定されている「発明」であると言えるか否かは、特許法第2条に規定されている「発明」の定義である「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」に当てはまるか否かにより定まります(ただし、ここでいう「高度なもの」の部分は実質的な要件とはなりません。)。

 特許出願の特許請求の範囲(請求項)に記載されたものが、特許法第2条に規定されている「自然法則を利用した技術的思想の創作」であると言えるためには、特許請求の範囲(請求項)に記載されたものが、何らかの理由付けで「自然法則を利用した」ものであると言えることが必要です。(正確な規定ぶりは、下記の参考情報で挙げた特許・実用新案審査基準や特許・実用新案審査ハンドブックを参照していただくとして、)大まかに言えば、(1)制御対象や処理対象に何らかの自然法則性(自然法則の利用)がある、または、(2)制御や処理を実現するハードウェアとソフトウェアの組み合わせ(協働)に何らかの自然法則性(自然法則の利用)がある(コンピュータの単なる使用ではない)と言えれば、発明該当性の要件を満たすことができます。((1)が特許・実用新案審査基準の第3部第1章で扱われ、(2)が特許・実用新案ハンドブック附属書B第1章で扱われています。)

 ビジネスモデルと密接した特許出願の場合、上記の(1)を満たすことができるケースは少なく、多くは、上記(2)を満たすように、特許請求の範囲(請求項)、明細書、及び、図面を記載することになります。

 

参考テーマ

 

0616…経営戦略・ビジネスモデルの構築

 経営戦略・ビジネスモデルの構築を検討することにより、他社に利用されたくない自社の強み(競争力の源泉)を明確にする必要がある場合。

 

●参考情報

 

特許・実用新案審査基準

特許庁

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/index.html

特許庁審査官はこの基準を踏まえて

特許出願の審査を行うことになっています。

 

特許・実用新案審査基準 発明該当性及び産業上の利用可能性

特許庁

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/03_0100.pdf

 

特許・実用新案審査ハンドバック

特許庁

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/index.html

特許・実用新案審査基準とセットで

運用されます。

事実上、

特許・実用新案審査基準の一部

のような扱いです。

 

特許・実用新案ハンドブック 附属書B 第1章 コンピューアソフトウェア関連発明

特許庁

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/document/index/app_b1.pdf

 

 

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