経営手がかりシート・2111

(令和3年(2021年)9月版)

 

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2111請求の範囲と明細書等のバランス

 

●テーマ名(詳細版)

  特許請求の範囲と明細書等のバランスの検討

 

<<テーマの説明音声データ>>

 

テーマの説明

 このテーマは、特許出願に必要な書類のうちの、特許請求の範囲、明細書、図面の作成の際に、適正化された書類作成を行うことに関するものです。

 

書類作成に当たって両立すべき目標

 特許出願を行うに際しては、「特許法上の要件を満たすこと」、「自社の目的に沿った特許権を取得すること」、「出願公開による情報の開示は必要最小限にとどめること」、「書類作成の金銭的・時間的コストを抑えること」を念頭に、書類作成の適正化を行うことが望ましいです。その際に、特許請求の範囲に記載する内容と、明細書及び図面に記載する内容と、この両者の内容の対応関係・バランスに注意を払うことになります。

 

特許法上の実体的要件

 特許法上の要件としては、特に、特許請求の範囲に関する要件である、「発明該当性要件(特許法第29条第1項柱書)」、「明確性要件(特許法第36条第6項第2号)」と、特許請求の範囲と明細書等(明細書及び図面)の関係に関する要件である、「サポート要件(特許法第36条第6項第1号)」、「委任省令要件(技術上の意義)(特許法第36条第4項第1号、特許法施行規則第24条の2)」、「実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)」が重要です。これらの特許法上の要件を満たすという制約の範囲内で、「自社の目的に沿った特許権を取得すること」、「出願公開による情報の開示は必要最小限にとどめること」、「書類作成の金銭的・時間的コストを抑えること」を目指して、明細書、特許請求の範囲、図面を作成することになります。

 

書類作成手法の双方向性

 実際の書類作成にあたっては、特許権の権利範囲を示す特許請求の範囲をどのように記載したいかということを、明細書及び図面の記載ぶりに反映するトップダウンの方向性と、発明の実施例等を示す明細書及び図面にどのようなことを記載することになりそうかということを、特許請求の範囲の記載ぶりに反映するボトムアップの方向性の、互いに逆方向の2つの方向性で検討することになるでしょう。

 

明細書及び図面の記載の詳細さの程度

 明細書及び図面の記載の詳細さは、あくまでも、特許請求の範囲により表現される発明(特許権を取得しようとする発明)に対応して定めるべきものです。

 「実施可能要件」(特許法第36条第4項第1号)」に関してありがちな誤解は、技術者として最終製品レベルを作り上げることが出来る程度に詳細な設計仕様を、明細書及び図面に記載しなければならない、と思うことです。しかしながら、これでは、技術やノウハウの不必要な流出になりかねません。つまりは、「出願公開による情報の開示は必要最小限にとどめること」という目的からはずれることになります。また、明細書及び図面の記載があまりに詳細であると、「書類作成の金銭的・時間的コストを抑えること」という目的からもはずれることになります。

 逆に、技術流出を恐れるあまり、明細書及び図面の記載が足りない状況であると、上記で挙げた特許法上の要件を満たさず、特許権を取得できないこともありえます。このように、明細書及び図面の記載が短ければ短いほどよいというほど単純な話でもありません。

 つまりは、特許請求の範囲と、明細書等(明細書及び図面)は、正しい対応関係を確保しながら、記載する必要があります。

 

資料及び外部専門家

 以上のことは、自社が自前で検討することが可能です。その場合は、「特許・実用新案審査基準」や、「特許・実用新案審査ハンドブック」を十分に吟味した上で、書類作成に取りかかる必要があるでしょう。

 外部の専門家(弁理士)の助言・見解を得ることも有益です。特に、弁理士のうち、審査官・審判官として十分な経験があるひとであって、自社の技術分野に近い分野の経験があるひとから、助言・見解を得ることが有益であると考えられます。

 

参考テーマ

 

2106…特許または実用新案登録の出願書類の作成

 出願書類の作成手順全般を確認する必要がある場合。

 

●参考情報

 

特許・実用新案審査基準 (特に第U部第1章と第2章)

特許庁

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/index.html

特許庁審査官はこの基準を踏まえて

特許出願の審査を行うことになっています。

 

特許・実用新案審査ハンドブック

特許庁

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/index.html

特許・実用新案審査基準とセットで

運用されます。

事実上、

特許・実用新案審査基準の一部

のような扱いです。

 

 

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