経営手がかりシート・0626
(令和3年(2021年)9月版)
0626提携(共同研究開発を含む)
●テーマ名(詳細版)
技術力・競争力の源泉・知財を根源とする提携(技術連携・共同研究開発を含む)
●テーマの説明
このテーマは、自社の事業を行うに際して、自社と他社の提携を行うことに関するものです。このような提携は、自社の資源のみで事業を行うことによる利益よりも、他社の資源を活用することにより自社の事業における利益が大きくなる場合などに、検討されます。
他社との提携の態様は様々です。例えば、技術連携や、共同研究開発や、自社と他社の多様な役割分担が挙げられます。
他社との提携を行いつつも、自社の経営戦略・ビジネスモデルの実現による利益の確保を行うためには、自社が主導権をとれるか対等の立場となる根拠(よりどころ)が必要となります。その根拠(よりどころ)として、知的財産権を活用できます。
他社と提携する際には、他社との契約や、提携の成果として生まれる知的財産権の扱いに注意を払う必要もあります。
下記の事例によれば、提携先(共同研究開発の相手方)が大学である場合(産学連携の場合)には、独特の配慮すべきこと(リスク要因や注意点)があるようです。
●参考テーマ
・0101、0616…自社の強み(競争力の源泉)の明確化・経営戦略・ビジネスモデルの構築
他社との提携・共同研究開発などを検討するに際して、自社の強み(競争力の源泉)を明確に認識する場合や、経営戦略・ビジネスモデルを検討する場合。
・4116…他社との契約における注意点
他社と提携するために、各種契約を行うことを検討する場合。
・4131…ライセンスの客体となる自社の権利の選択上の注意点
自社の権利に関する実施権(ライセンス)を他社に付与する場合において、対象となる権利の選択を検討する場合。
・3101…営業秘密管理
他社と提携する際において、秘密管理について検討する場合。
●事例
・ココがポイント! 知財戦略コンサルティング 〜中小企業経営に役立つ10の視点〜
2009年3月 特許庁
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247689
pp.41-49
株式会社エルム
「下請けをせずに、製造や販売などの面でパートナーを求める場合、自社より大きな会社であるパートナーと対等に取引するには特許を持つしかない。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.29, 98-106
株式会社ハルナ
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「企業及び大学との研究開発の協力・提携を積極的に行ってきた。
量産技術については大手メーカーの協力を得てきた。」
・中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006
中小機構
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1247703
pp.114-121
株式会社東亜電化
地域中小企業知的財産戦略支援事業におけるモデル支援事業(2004年度(平成16年度))。
「新規技術開発の一環として地元大学と共同研究をしてきた。そこで得られた成果による有望な技術に対して、共同研究開発等の申し入れが内外の大手企業から寄せられた。その際に、他企業へのライセンシングと自社展開との線引き、ノウハウなどを含めた技術の囲い込み等に検討すべきことを抱えていた。
大学との共同研究や技術移転は企業にとって有効な戦術である。ただし、大学からの技術移転は知的財産権の確保が不十分な場合が多い。また、大学側との人的なつながりの維持が時としてビジネス上の判断を大きく左右する、などのリスク要因が存在する。
共同出願に係る権利は、共有相手先の意向が強く反映された権利内容になっていると考えられる。自社の経営戦略・研究開発戦略にマッチした権利の取得・維持・活用・実施等を、共有相手先と交渉の上、明確にする必要がある。また、共同出願に係る特許とは別に独自プロセス・独自ノウハウの取り扱い体制の構築を図る必要がある。
第三者へのライセンシング供与を視野に置いた、産学連携における共同研究相手との権利関係の整理に取り組んだ。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.64
株式会社オプトニクス精密
「従来は、自社技術をノウハウとして秘匿保護することを基本方針としていた。技術流出を防止するため、内製を基本としていた。
しかしながら、社内資源の限界から特定の顧客への依存度が高くなる傾向にあり、経営の不安定化の要因となっていた。
そこで、顧客層と事業分野を広げるために、独自技術を顧客等と提携して共同利用する事業モデルへの転換を進めることになった。新しい事業モデルのためには、自社が提供する技術を明確にし、自社への利益配分を確保するために、技術資産の権利化が不可欠となった。
こうした事情から、ノウハウ管理のみではなく、特許出願・権利化を含めた知的財産活動が活発化することになった。」
・中小企業支援知的財産経営プランニングブック
平成23年3月 特許庁
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/chizai_planning.html
https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/chizai_planning/all.pdf
p.67
株式会社エクセル電子
「現在のグローバルな市場展開を考えると、有力な海外メーカーとの提携を含めた新しい事業モデルの構築が必要になるが、パートナーとの関係を主導するのに知的財産権は有力なツールとなる。」
●参考情報
・経営デザインシート
内閣府知的財産戦略推進事務局
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html
現在と今後の自社を取り巻く環境を把握し、
経営課題などを明確にするために
一枚のシートで検討しようとするものです。
・知的財産の価値評価について
2017年 特許庁、発明協会アジア太平洋工業所有権センター
・弁理士による知的財産価値評価パンフレット 特許編
2013年12月 弁理士会知的財産価値評価推進センター
https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/03/patent20150826.pdf
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※令和4年2月10日改訂
※令和4年1月25日改訂
※令和3年9月16日改訂
※令和3年9月13日改訂
※令和3年9月11日改訂
※令和3年9月10日改訂
※令和3年9月8日改訂
※令和3年9月5日新設